第45話 アクセサリー
魔道具屋の店内を、キョロキョロしながら歩いていると中川明日香と杉本麻美を発見した。二人は、あるコーナーの前で陳列されている商品の話をしている。
「あ、本田さん。ここ、アクセサリーまで扱っているんですね。
びっくりしましたよ」
「え、アクセサリーですか?」
魔道具屋にそんなものまであったのか?と疑問に思いながら近づくと、確かにそこには、箱に入ったまま展示してある指輪が並べられていた。
まるで、宝石屋さんのようだ。
でも、俺の知っている指輪とは違い、宝石が付いているものがない。
これでは、指輪というよりただのリングだな……。
「これは、同じようなリングが並んでいますね……」
「そうなんです、これは全部金のリングなんですが、値段がバラバラなんですよね。
一番高いもので、金貨百枚するんですよ」
「金貨百枚……あ、これか。
う~ん、ん?リングの箱に何か書いてあるな……」
中川明日香が、並べられている金のリングについて愚痴をこぼしてくる。
確かに、金のリングが並べられているし値段もバラバラ。でも俺は、リングを入れている箱にある記載を発見した。
「えっと、『魔法耐性レベル六』と書いてありますね。
……魔法耐性?」
魔法耐性って、確かゲームなんかでは敵の魔法が効きにくくなるってものだったよな。それじゃあ、このリングをはめるだけで魔法が効きにくくなるのか?
……待てよ待てよ。
俺は、そこに在るリングの箱をじっくり観察する。
すると、各箱ごとに書かれているものが違っている。魔法耐性、物理耐性、毒耐性に麻痺耐性などなど。
「あの、本田さん?どうかしましたか?」
「これはすごいアクセサリーですよ、中川さん、杉本さん。
すぐにみんなを集めて、購入を考えてもらいましょう!」
俺が力強く二人に言うと、若干引いた感じで中川明日香と杉本麻美は仲間のパーティーメンバーを呼びに行った。
▽ ▽ ▽
「で、俺たちに見せたいもんってなんや?」
「俺、買いたい魔道具があったんスけど……」
「つまらないものだったら、怒りますよ本田さん」
少しご機嫌斜めなメンバーの中でも、高橋健太と長谷川大輝、そして田辺美咲が俺に圧を送ってくる。
……とりあえず、謝っておこう。
「買い物の途中で申し訳ない。
どうしても、みんなにこのアクセサリーを紹介しておきたくて呼んだんだ」
「アクセサリー?」
杉本美月が、興味津々といった表情で俺の前に陳列されているリングを見渡した。
だが、すぐに興味をなくしてしまう。
「本田さん、これ同じリングが並べられているだけじゃないですか?」
「……ちょい待ち、……これ同じやない」
箱を手に取って眺めていた高橋健太が、杉本美月の指摘を否定する。
「高橋さん?」
「美月はん、これ耐性効果が付与されてるんや」
高橋健太が、みんなに耐性効果について説明している。
みんながその説明で理解してくると、真剣にアクセサリーを選び始める。
このリングなどのアクセサリーに付与されている耐性は、段階で値段が変わっている。例えば、さっき手に取っていた魔法耐性のレベル六。
これで金貨百枚という値段だが、効果は魔法攻撃が効かなくなるというものだ。
ただ、どのくらいの魔法が効かなくなるのかは分からないが、リング一つで全く魔法が効かないというわけでもないだろう。
アクセサリー一つで、攻撃が効かなくなれば、防具の意味がなくなるからな。
後、複数のリングをはめても最初にはめたリングの効果しか出ないようになっているみたいだな。
箱の注意書きに書いてあった。
となると、一つだけしか選べないとはな……。
「う~ん、今後使うお金を計算すると、高いものは変えないわね……」
「……今回はあきらめるしかないですね」
中川明日香と杉本麻美は、まだ返済金が残っているためか購入をあきらめたようだ。ここで俺が、代わりに購入してプレゼントするとモテるんだろうか?
「お母さんの分は、私がプレゼントしてあげるわ」
「美月……、ありがとう」
俺が変なことを考えているうちに、杉本麻美には娘の杉本美月がプレゼントすると決まったようだ。
そして、中川明日香には……。
「それなら、私たちが明日香さんにプレゼントします」
「高いものは無理だけど、美咲ちゃんと私からの日頃のお礼に受け取ってください」
「……ありがとう、美咲ちゃん、葵ちゃん」
いつの間にか、問題が解決しパーティー内の雰囲気も良くなっている。
……とりあえず、自分の分を決めるかな。
「ありがとうございました~」
俺は、『魔法耐性レベル三』という金のリングを購入した。
これでも、金貨二十枚と安くはなかったが……。
アクセサリーを選んでからも、小一時間も魔道具屋で買い物を続けていた。
いろいろと、買いたいものがあるものだな……。
「それじゃあ、明日から第三階層に潜るつもりやけど、大丈夫やな?」
リーダーの高橋健太の確認に、俺たちは全員頷いて答える。
『ステータスデバイス』の地図を見ても、第二階層はほぼ埋まっているし、第三階層への坂道も発見している。
後は、オークがいたような隠し通路や部屋があるかもしれないが、そんなものはすぐには見つからないし、それなら先に進んでもいいだろう。
「なら、今日はゆっくり休むんやで?
それと、明日の準備は怠らんようにな」
明日はいよいよ第三階層か……。




