第44話 武器屋と魔道具屋で
「高橋健太さん、田辺美咲さん、小西葵さん、そして杉本美月さん。
返済完了おめでとうございます」
会議室で、パーティーメンバーと雑談すること十五分ほどで、受付嬢のお姉さんは、魔石の買取や宝剣の売却のお金を持って帰ってきた。
そして、すぐに借金返済の作業に入る。
今回、借金を完済したのが受付嬢さんに呼ばれたメンバーだ。
もちろん、中川明日香や杉本麻美も返済へとお金を回した。
しかし、もともとの借金が大きいため、全額返済とはならなかった。
今、俺たちの目の前で返済しているメンバーの『ステータスデバイス』を、例の白い箱に入れて白い箱の表面を指でなぞる。
すると、『ステータスデバイス』が白い箱から出てきて作業終了だ。
これを人数分済ませると、返済金を持って会議室を出ていった。
「さて、これであと二人やな。
頑張って、全員返済できるまで頑張るでぇ」
「うっス!」
中川明日香と杉本麻美は、複雑な表情をしていた。
パーティーの中で、二人だけのためにダンジョンに残って探索者を続けてくれているのは、心苦しかったからだ。
「中川さん、杉本さんもだけど、俺たちが二人のことを考えて残っていると考えてませんか?」
「……そうじゃないの?」
「ちゃうちゃう、俺たちが残るんはお金のためや。
このまま日本帰っても、収入やら貯金ゼロやで?だったら、このダンジョンで稼がせてもらわな割に合わんわ。
中川はんや杉本はんの借金はついでや、つ・い・で」
そう言うと、ニヤリと笑う高橋健太と俺。
中川明日香と杉本麻美は、その答えに驚くもののすぐに笑顔に変わった。
どうやら、俺たちの意図は伝わったようだ……。
▽ ▽ ▽
「いらっしゃいませ」
魔導銃専門の武器屋の女性店員の挨拶を聞きながら、俺と高橋健太と長谷川大輝は目的の展示コーナーに行く。
他のメンバーは、それぞれ自分に足りないものを探すらしい。
俺たちの向かった展示コーナーには、いくつもの散弾銃型の魔導銃が壁に並べられている。範囲魔法か威力魔法かで、種類が分かれるものの形はほとんど一緒だ。
「う~ん、水平二連魔導銃か上下二連魔導銃か悩むな……」
「……せや、魔導銃新しくするんも必要なことやけど、属性魔石を交換するんも手やないか?」
そういえば忘れていたけど、魔導銃は属性魔石を変えることができたんだよな。
この世界には、火・水・風・土・光・闇・炎・氷・雷・鉄・聖・影・無の十三属性あるらしい。
その中で一般的に出回っている属性が、火・水・風・土・光・氷・雷・無の八属性だ。
属性魔石一つ、銀貨五枚するようだけど今の俺なら一般に出回っている属性を購入することができる。
魔導銃と一緒に購入するのもいいかもしれないな……。
「そういえば、俺たちの魔導銃はすべて火属性だったな」
「俺も、他の属性魔石を買ってみるっス」
「今回俺は、属性魔石を買って終わりやな。
魔道具も買いたいし、もっと稼がなあかんわ……」
高橋健太は、借金を完済したことで報酬のほとんどを使ったそうだ。
どれだけ借金していたのか……。他のみんなもそうだけど、二度と借金なんてしないでほしい。
もちろん、俺もしたくない。
それはともかく、今回は散弾銃型の魔導銃を購入する。水平二連銃だ。
やっぱり、テレビでクレー射撃している人を見るとカッコよかったからな。
後、薬莢型の魔力タンクを三十個。
そして、一般向けの属性魔石を火以外で各種二個づつ購入。
合計は、金貨二十一枚か。
……この値段を安く済んだと思うのは、俺に余裕があるからだろうな。
「ありがとうございました~」
結局、この魔導銃専門の武器屋で魔導銃を購入したのは俺だけだった。
他のみんなは、属性魔石を購入して様子を見るそうだ。
まあ、アロー系の魔法でも属性が違えばダメージが変わるからな。
魔導銃専門の武器屋を出ると、今度は魔道具屋へ向かう。
杉本親子の分の『気配ゴーグル』の購入や、照明の魔道具などを購入する予定らしい。他にも、ダンジョン探索の役に立つものを探す気でいるようだ。
▽ ▽ ▽
「いらっしゃいませ~」
この魔道具屋は、本当に変わらないよな。
いつ来ても、○○・キホーテのような店内だ。ある意味安心する。
店に入ってすぐ、みんなそれぞれで行動していく。
今回俺は、単独で店内を回ってみるつもりだ。どこに何があるのか、ダンジョン探索に役立つものがないか探してみよう。
ウロウロと店内を見回っていると、あるものを発見する。
「ここは、野営用の道具だな。テントとか、ポット型湯沸かしの魔道具に、魔物除けの魔道具か。
こんな物まであるんだな……。
ん、ダンジョンの魔物には効かないと書いてある。何でここに置いてあるんだ?」
魔物除けの魔道具は、ランタンのような形をしていて、スイッチを入れるだけの簡単な使い方だった。
だが、取り扱い説明の注意欄に、ダンジョンの魔物には効果がありませんと記載されている。じゃあなぜ、ここで販売してんだってことになる。
……あ、ダンジョンの外に行く人用か。
どうもダンジョン探査だけに目を奪われすぎだな。
ここには、ダンジョンの外へ行く人もいるんだった……。
さて、他には何かないかな~。




