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ダンジョンで借金を返済することになった男の物語  作者: 光晴さん
ダンジョン探索

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30/201

第30話 罠




中川明日香が張り切る理由。

それは、本田誠司がキャロルさんたちに探索者ギルドで出会った後、町へ買い物に出ていくところまでさかのぼる。


実は、中川明日香も探索者ギルドを訪れていた。



『お母さん、お仕事もう始めたの?』

「うん、これからしっかり働いて、お母さん頑張るから」

『……夏休みには会えるかな?』

「う~ん、忙しいところだからわからないけど、なるべく休みを取って帰るよ。

お母さんも、あやちゃんに早く会いたいし」


この探索ギルドの中に、地球にいる家族と電話ができる施設がある。

これも、地球から人を連れてくるとき、必要になるだろうとギルドに作ったのだ。


このダンジョンへ借金を返済に来ている地球人からすれば、ここは出稼ぎ場所。それに、強制的に働かせられているわけではない。

なので、連絡ができるように特別にこの連絡施設を併設したそうだ。


中川明日香は、主婦だ。

子供も、女の子が二人いる。姉のあやが十歳で、下の子が七歳になる。


あるギャンブルにはまり、三千二百万円という借金を作ってしまった。当然夫は激怒したが、離婚ということにはならなかった。

やっぱり、子供のことを考えると別れることはできなかったらしい。


それに、子供たちは母親の私になついていたし……。

それから一年ほどは、なんとか借金を返すために頑張っていたけど、働けど働けど借金は減らなかった。


そこで、親戚の弁護士に相談して、このダンジョンでの返済を勧められたのだ。

出稼ぎという形をとり、家族と離れ離れになるが必ず借金を返済して戻ることを決意する。


子供たちと離れ離れになるのは悲しいが、借金を返し終わるまでは我慢だと、これは借金をした私への罰なんだと、そう思いながらここにいる。


この探索者ギルドの使い方なる冊子が受付に置かれていたのをもらって読んだとき、ここの存在を知りそれからは、利用させてもらっている。


「りんちゃんは、もう保育園に行ったのかな?」

『うん、さっきお父さんと一緒に出掛けたよ』

「それじゃあ、あやちゃんも学校に行く時間だね。

お母さんが帰るまで、勉強しっかりね?」


『……うん、私も頑張るからお母さんも頑張ってね?』

「ありがとうあやちゃん。

……そろそろ仕事に行かないといけないから、もう切るね?」

『……うん、バイバイ。またね』


そして、受話器を置くとその場にしゃがみ込んでしまう。

たった三畳ほどの電話ボックスのような部屋だが、電話以外置いてなくて広く感じてしまう。


板張りの床を見て、子供たちのために借金返済を頑張ろうと心新たに決意し立ち上がる。

中川明日香が張り切る理由、それは子供達のために。




▽   ▽    ▽




俺たちは、第二階層を壁に気を付けながら探索していく。

壁に気を付けるのは、モンスターハウスの件があったからだ。壁が崩れ、その先がモンスターハウスとは笑えない罠である。


そのため、なるべく壁のそばを歩かないように進んでいた。


「次の丁字路は、右に曲がろう。

右の道は、まだ通ったことがない道になっている」

「『ステータスデバイス』、ホント便利っスね」


今回の先頭は、伊藤拓也が受け持ち長谷川大輝が補佐をしている。

長谷川大輝が、自分の『ステータスデバイス』を見ながら進んでない道を示し、伊藤拓也がその道を俺たちに提案する。


この様にして、俺たち八人はダンジョンを探索していた。


時々現れる魔物のゴブリンは弱く、五、六匹で現れるものの俺たち八人の敵ではなかった。特に今回は、中川明日香が張り切ってゴブリンを討伐している。



そんな第二階層の探索が進んで、三時間ほどが経った頃、水場のある部屋を発見したため、俺たちは安全を確認したうえで休憩をとることにした。


「はぁ~、今日の探索は順調に進みますね」

「そうだよね。葵ちゃんの言う通り順調なんだけど、順調すぎる感じがするんだよね……」


小西葵と田辺美咲が言うように、ここまでの探査は順調だった。

昨日のモンスターハウスの件があって、素直に信じられないんだけど順調なダンジョン探査ができていた。


「せやけど、他の探索者には出会わんな。

入り口には、いっつもあんなに探索者がいんのに……」


確かに、今日も第二階層への入り口は行列ができていた。

パーティーごとに並んでいるため人数が多く感じるが、それでもダンジョンの中に入ると人と出会うことはない。


ダンジョン内は、パーティーごとに別空間になるとは知らされていないし、受付の冊子にもそんなことは書いていない。

では、どこへ行ったのか?


「この二階層は、素通りっスかね?」

「素通りにしても、坂を下りてきて先に入ったパーティーに出会わないのはおかしいだろ」


長谷川大輝と伊藤拓也が、巣の場に座って話していた時、水場となっていた噴水のふちに腰かけた俺が、何かを押してしまう。


「……え?」

「キャッ!!」


俺が何を押してしまったのかは分からないが、ガコンという音がしたかと思ったら、噴水で手を洗っていた中川明日香が、後ろへ飛ばされた。

そして、後頭部を強打し血を流して倒れてしまった。


俺たち全員、一瞬何が起こったのか理解できなかった……。







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