第26話 引き返してギルドへ
「とりあえず、俺たちも引き返すしかないな」
そう言うのは、盾を構えてゴブリンをモンスターハウスに留めていた戦士のアルスさんだ。左手に持つ大きな盾を見て、ため息を漏らしている。
「これは、修理が必要ね……」
「ゴブリンの攻撃でも、数が多いとこんなになるんですね……」
アルスさんと同じパーティーの魔法使いのローリーさんと、ニナちゃんがボロボロになった盾を見て感想を言う。
ヘンリーさんは、俺たちに探索者ギルドまで付き合ってくれないかとお願いしていた。
「戦利品なんかの分配のために、ギルドまで付き合ってくれるか?」
「そら、かまへんで。自分らもそれでええか?」
「あれだけのゴブリンを相手にして、弾切れですからいいですよ」
高橋健太の同意を求める意見に、俺たちは賛成した。
こんな浅い階層で、モンスターハウスに出くわすとはな……。
「それじゃあ、引き上げるぞ!」
ヘンリーさんが声をかけると、全員が頷き第一階層へ向かって歩き出した。
▽ ▽ ▽
「全部で、銀貨六百二十四枚ありました。
これにゴブリンの魔石とポーションの買取価格を足して、全員に均等に分配すると………」
第一階層にある探索者ギルドに来て、すぐに戦利品を買い取ってもらうことに。
そして、ヘンリーさんのパーティーと俺たちのパーティーで均等に分けることになった。本当なら、修理費のかかるアルスさんが多くもらうはずだが、均等に分配してくれとお願いされたのでそうすることにしたのだ。
「……計算できました。
えっと、ゴブリンの魔石が全部で三百十二個ありましたから、銀貨三枚と銅貨十二枚。ポーションは三本で銀貨三十枚となります。
後は、これをみなさんで均等に分配ですから一人、銀貨五十四枚と銅貨七十六枚になります」
銀貨五十四枚と銅貨七十六枚か。
これで俺の持ち金は、金貨一枚に銀貨一枚、そして銅貨七十五枚となった。
結構稼いだけど、借金にまだ回せないな……。
「モンスターハウスのゴブリンって、三百匹以上もいたんスね……」
「あの広い部屋の中ゴブリンだらけだったし、いてもおかしくないわ」
長谷川大輝とローリーさんが、モンスターハウスの光景を思い出し青い顔をしていた。
「それにしても、浅い階層であのポーションは運が良かったですね」
「そんなにいい物なんですか?」
受付の女性が、宝箱の中から出てきたポーションをほめている。
俺は浅い階層だったから、そんなに高いものではないと思ったのだが違っていたようだ。まあ、確かに一本銀貨十枚だからな……。
「ええ、あれは上級の治癒ポーションです。
これを使うと欠損以外の傷は、ほとんど治せるという代物ですよ」
「へ、へぇ~」
すごいものが出てきたんだな……。
これは手元に置いておいた方が、よかったかな?
「では、こちらが均等に分配した報酬です」
受付の女性が、換金室から出てきた男性職員からトレイに載った人数分の布の袋を受け取りカウンターの上に並べた。
それを俺たちは、一人一袋ずつ取っていく。
俺も受け取ると、すぐに中のお金を確認する。
……確かに、銀貨と銅貨が入っているが枚数が多くて数えられないな。
「本田さんって、すぐに確認するんですね」
「ん?まあ、これは癖みたいになっているからな……」
中川明日香が、俺が袋を受け取ってすぐ中身を確認するのが珍しかったようだ。
「本田さん、確認はギルドを出てからお願いします。
まるでギルドを信用してないように思われますので……」
「あ、これは申し訳ない。次からは、そうします……」
確かに、この確認の仕方は、探索者ギルドを信用してないように思われるな。
次からは気を付けよう……。
俺たちは報酬を受け取ると、探索者ギルドを出て解散となった。
ヘンリーさんたちは、防具の修理に懇意にしている鍛冶屋に行くそうだ。
で、俺たちは魔導銃専門の武器屋へ行くことにした。
「範囲攻撃用の魔導銃ってあったかな?」
「あ~、確か大宮さんや九条さんが使ってたやつでしょ?
私たちに買えるかな?かなりするみたいだったし……」
田辺美咲と小西葵の相談は、よくわかる。
今回のようなモンスターハウスだと、範囲攻撃の方が効率がいいんだよな。
「俺は、自動拳銃型の魔導銃を入れるホルスターが欲しいんっスよね。
そして、自動拳銃型をもう一丁買って二丁魔導銃とか……」
フム、長谷川大輝の意見、なかなかロマンがあるかも。
二丁拳銃か。ムフフ……。
「二丁魔導銃って、弾倉の交換はどうするつもりや?」
「……そういえば、弾倉って繰り返し使えたっスね」
それに、弾倉を交換した後固定するために、魔導銃の上についている小さなレバーを引かないといけないんだよな。
弾倉の交換は素早く行えるように、外しやすくなっている分外れやすい。
それを補うために、固定レバーなる物が備わっているんだよな。
この固定レバーを引いて、弾倉を固定することで少々乱暴に魔導銃を扱っても弾倉が外れないようになっている。
ホント、よく考えられているよ……。
俺たちは、魔導銃専門店に到着すると中へ入っていった。
とりあえず、ホルスターは購入しておくかな。




