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第19話 集落急襲




大宮剛、29歳。地元企業に就職したもののパチンコにはまり、二百万円の借金を作ってしまう。

借金を何とかしようと、競馬に手を出しさらに借金が増え五百万円に。


その後、色々と返済計画を練るもことごとく悪い方へ転がり、会社もクビになり借金は大台の一千万円に。

自己破産も考え、弁護士に相談したところこのダンジョンでの借金返済を勧められ今に至る。


「今は、ほとんど返済して残り百五十万円程度だな」


大宮さんは、このダンジョンに来て三年目だそうだ。

三年で一千万円の借金が、百五十万円まで返済したのか……。



九条聡、22歳。一応浪人生。大学受験失敗で地元に帰ったところ、姉の九条美弥子の借金返済の付き添いに付き合わされてここに来たそうだ。

姉の借金、一千七百万円は二人で分担して返済をすることに。これも、姉の結婚のためにと仕方なく請け負った。


「姉貴はすでに、半分の八百五十万円の返済を終えてさっさと日本へ帰還、今頃は結婚して幸せになっているはずだ、と思う」


九条さんはここに来て二年目。

ということは、お姉さんは二年以内で八百五十万円を返済したということか?


「二人とも、身の上話はそれくらいで。

高橋たちの証言が確かなら、そろそろゴブリンの集落にたどり着くわ」


俺たち地球組の九人の前を歩いていた、エルフの女性のシャロンさんが注意してくる。

よく見れば、すでに俺たち七人以外は全員戦闘準備を終えていた。


自分たちの話をしていた、大宮さんと九条さんもいつの間にか準備している。

俺たちはあわてて、昨日寝る前に魔力充填をしておいた予備の弾倉を無限鞄から取り出し、左の腰のベルトポーチに突っ込む。



「……準備いいわね?」


シャロンさんの確認に、俺たちは全員が頷く。

前衛は、獣人の三人とキャロルさんにミラさんの五人。

その後ろを、ギルドの職員の男性が槍を持って構える。

ギルドマスターは杖を構えて、シャロンさんは弓を構えている。


俺たち魔導銃組は、仲間を撃たないように左右に分かれてゴブリン退治をすることになった。


「注意する点は二つ。

まず、弾倉は捨てないことと仲間を撃たないこと。以上だ」

「ゴブリンは数が多いけど連携とかしないから、とにかく撃って倒すこと」


「「「「了解!」」」」


返事をしたのは俺たち男だけだが、中川明日香たちも作戦は分かっていると思う。

俺たちの返事を合図に、前衛が集落へ飛び込み戦い始める。


ギルドの男性職員は、槍を持ってギルドマスターとシャロンさんの護衛に着いた。

ギルドマスターは、支援魔法で前衛を助け、シャロンさんは弓で攻撃。


みんなも作戦通りに、左右に分かれて攻撃を始めた。




俺は、ギルドマスターたちの左側に陣取り、自動小銃型の魔導銃を構えて向かってくるゴブリンを撃ちまくった。

やはり、初心者用の魔導銃だけあって威力が小さいのか、三発当ててようやくゴブリンが光の粒子になり魔石になっていく。


つまり、三発当てないとゴブリンは倒せないのだ。


しかし、大宮さんと九条さんの魔導銃は違うようだ。

同じ左側からの攻撃になった大宮さんの武器は、俺たちが装備している自動小銃型の魔導銃のはずだが少し形が違う。


砲身となっている部分が少し長いか?

おそらくその長さの分、刻まれている魔法陣が多いのだろう。

それで、撃ち出される魔法の威力と速さが違うのだ。



ゴブリン一匹を仕留める魔法の『ファイアーアロー』の数が違えば、自ずと弾倉の交換が必要になるのは早い。

大宮さんが一回、弾倉を交換する間に俺たちは二回~三回も交換しなければならない。


いや、全弾命中しているわけでもないのでもっと多いか。

そんなことを考えている間にも、ゴブリンは次から次へと襲ってくる。


「ああ!ゴキ○○よりしつこいっ!」

「田辺さん、文句なんか言っている暇ないよっ!」

「分かってるわよっ!!」


俺の隣で撃ちまくる田辺さんに注意すると、怒鳴られてしまった。

ストレスが溜まるほど、ゴブリンはひっきりなしに襲い掛かってきている。


「弾倉交換!」

「了解!」


そう言って、高橋健太が自分の魔導銃の弾倉を交換する。

弾倉を交換する間、そのわずかの間にもゴブリンは襲ってくるからサポートしあうのだ。




そして、集落を急襲して二十分ぐらいが経過したころ、ようやくゴブリンが襲ってこなくなったが、ゴブリンがいなくなったわけではない。

現に、何匹かのゴブリンは俺たちを遠巻きに睨んでいる。


「……どうやら、ボスの登場のようですね」


ギルドマスターの呟きに、この場にいる全員が息をのんだ。

遠巻きに睨みつけているゴブリンの背後から、斧を担いだ三メートルはあろうかというゴブリンが出現する。


「いるとは思ったが、ゴブリンキングとはな。

九条君、ここは銃を変えた方がいいだろう。高橋さんたち、弾倉は大丈夫ですか?」


大宮さんは、九条さんに魔導銃の交換を薦め、俺たちの弾倉の残りを心配してくれる。

一応俺たちも戦力として数えてくれているのだな。


だが、俺の残りの弾倉は二つ。

昨日、弾倉を購入しておかなかったら弾切れってことに……。


しかし、俺たちでゴブリンキングとゴブリンの残りを倒すことができるのか……。







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