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第17話 町を案内されて




次の日、俺は久しぶりに寝坊をしてしまった。

キャロルさんとミラさんが紹介してくれた宿屋は、キャロルさんが常連となっている宿屋だった。


新人の探索者を連れて、ダンジョンに潜るときは必ず利用する宿屋らしく、ある程度融通が利くので人数が多い俺たちが止まることもできたらしい。


「あ~、そういえば朝食の後、町を案内してくれるって昨日言ってたな……」


俺は、ベッドのそばに置かれた『ステータスデバイス』に表示された時間を見ながら後悔していた。

時間は午前八時を表示している。


昨日言われた朝食は、午前七時。すでに、俺に朝食を食べている時間はない。

しかも早く着替えて、支度を済ませて宿の入り口に行かなければ俺だけ置いて行かれるだろう。

俺はすぐに起きると、支度を済ませて宿の入口へ急いだ。



「遅刻やで本田はん」


宿の入り口にいた、高橋健太が俺をからかう。

他のみんなは朝食後、トイレなどを済ませてくるらしい。


「そう言うなら、起こしてくれてもいいじゃないですか?男性陣全員同室なんですから……」

「起こしたで?それも三人交代で」


……どうやら、俺は二度寝三度寝をしてしまったようだ。

でもまあ、こうして町の案内に間に合ったのだから良しとしておこう。


そうこうしているうちに全員が集まり、俺は全員に遅刻したことを謝った。

みんなは俺が遅刻したことより、朝食を取り損ねたことを心配していた。

まあ、昼食までぐらいならもつだろう……。




▽   ▽    ▽




今日、町の案内を請け負ってくれたのはキャロルさんだ。

本当はミラさんが案内したかったみたいだが、数えるほどしか来たことがなかったため今回はキャロルさんに任せることにしたらしい。


「クレスバールのダンジョンの第一階層にあるこの町は、第二階層へと続く下り坂の手前にできた町です。

ダンジョンにできている町は、基本ダンジョン探索の支援のための町ですから住民と呼べる人はあまりいません」


そう、ダンジョンの中にある町は探索者の支援のためにできた町なので、支援関係者かその家族以外住む人はあまりいない。


武器防具関連の鍛冶屋や、武器を売る商人に防具を売る商人。

探索者ギルドで働く人たちの、住居やそれを管理する人たち。

ダンジョンの外と貿易をして、食料や小物を売る商人。

さらに、探索者たちを受け入れる宿屋の従業員や家族などなどだ。


「あとはダンジョンのある王国、つまりこのダンジョンなら『フォルディール王国』の派遣兵士たちかな」


ダンジョンから魔物があふれる厄災『スタンピード』が起きたとき、町の外にある外壁の門を閉じる役目をおった兵士たちだ。

町の中に人がいようとも、外壁にあるあの門を閉めてダンジョンの外の人たちを救う使命があるらしい。


……しかし、重い役目をおっている兵士たちだよな。

ダンジョンの中にある町の人たちの命よりも、ダンジョンの外の人たちの命を取らなくてはいけないのだから。


「でも、ダンジョン町ごとに外壁は築かれてますから、交代要員の兵士も含めて下層に潜らないといけないんですよね……」


……ますます、大変な兵士たちである。




「さて、まずは装備通りを案内しますね。

この通りは、武器屋、防具屋、靴屋に服屋と装備に関するものが売っている店が集まった通りです。

武器屋にしても、剣や槍といったものを扱っている店や、皆さんの持っている魔導銃を扱った店など結構専門化されているんですよ。

どうです?魔導銃の店に行きますか?」


ちょうど、この通りにある魔導銃専門店の前に到着したので、俺たちに聞いてきた。

……俺たちの持ち合わせは、講習会の後にもらった銀貨五枚だけだがどんなものがどれだけの値段か確認しておくことも必要だろう。


「キャロルさん、お願いします」

「はい、では入りましょうか」




魔導銃専門店は、地球でいうところのアメリカなんかである銃を売っているお店みたいだ。映画やテレビドラマなんか見たことがあったため、あまり違和感がなかった。


しかし、並べられている魔導銃は多種多様だ。

一言に『魔導銃』といってもいろんな姿形がある。

魔導拳銃でも、シリンダータイプもあれば自動拳銃タイプもあるし、ショットガンタイプのものも見つけた。


ポンプアクション方式を用いている魔導銃や、クレー射撃に使うような魔導銃もあった。だが、すべてに共通するのが銃口が無いことだろう。


本当に魔導銃の種類には不思議なものが多い。


「本田さん!これ、まさかのガトリング銃っスよ!」

「高橋さん、これって狙撃用ですよね?スコープが付いているし……」

「何で、バズーカがここにあんねん」


散弾魔導銃用の薬莢も見つけたけど、無造作に置いてあるな。

……いや、見本か?これ。

中身が入ってないから、大丈夫なのか……。


魔導銃の弾倉から推測するに、この薬莢に魔法一発分の魔力を込めた魔石が詰め込まれているはずか。

撃ってみたいな~と、ショットガンを構えるもその値段に驚く。


「これ、金貨二十七枚するのか……」


日本円にして、270万円。

今の俺では、とてもじゃないが手が出ない。

借金返済も大変そうだが、装備を充実させるのも大変そうだ……。








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