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第15話 報告とギルド登録




「この近くにゴブリンの集落?

ちょっと待って、え~と………あった。この地図で場所を教えてくれるかしら?」


応接室の資料棚にあった、このダンジョンの第一階層の地図を手に取り、ゴブリンの集落があった場所を俺たちに聞いてくる。

この女性が、探索者ギルド第一階層のギルドマスター、オフィリア・モーネスさんだ。


元探索者で、クランマスターの経験の腕を買われ今では探索者ギルドのマスターになった人だ。

で、俺たちが何故この人に会っているかは説明するまでもないだろう。


このダンジョン町に到着した後、すぐにこの探索者ギルドに向かったからだ。

キャロルさんたちが、すぐにゴブリンの異常発生と集落のことを知らせないと大変なことになるということで、真っ先に探索者ギルドに直行。


受付でゴブリンの大量発生と集落のことを知らせると、すぐに俺たち全員応接室へと案内され、今こうして地図を見ながら説明している所だ。


「フム、キャロルさんとミラさんが襲われたのがここ。

君たち七人が、ゴブリンの集落を確認したのがここね。

……結構森の奥にあるのね。数はどう?大体でいいんだけど」


「私たちを襲ったゴブリンは、全部で二十以上。後から後から増えていったわね。

彼女たちがいなかったらと思うと、ゾッとするわ」

「私たちが確認した集落には、四十近くいたかな?」


「せや、けど四十以上と考えたほうがええな。集落の周りにも、ゴブリンどもはうろついとったからな」


キャロルさんと中川明日香、それに高橋健太からの報告にオフィリアさんの表情が変わる。怖いぐらい真剣な顔で、地図を睨んでいる。

一分ほど地図を睨んだ後、すぐに立ち上がり応接室を出ていった。


けど、すぐに俺たちのことを思い出したのか顔だけのぞかせる。


「ごめん、悪いけどもう少し待っていてくれる?お茶、運ばせるから」


そう言うと、すぐに扉を閉めていった。

俺たちの返事も待たずに出ていくとは……。



「はぁ~、少し緊張しちゃった」

「そういえば、皆さんこのダンジョン町は初めてでしたね」

「そうっス」


報告を終えた中川明日香が深呼吸をする。

それと同時に、みんなの肩の力が抜けると、サラさんが俺たちがダンジョン町初心者であることを確認してきた。


「でしたらこの後、町を少し案内しましょうか?」

「え、いいの?ミラさん」

「いろいろ気になってたから、私楽しみ~」


ミラさんのダンジョン町案内に、田辺美咲と小西葵がうれしそうだ。

だけど、俺たちにはこの町でしなければならないことがある。門を離れるときに、探索者ギルドに登録するように注意を受けただろう。


「ねぇ、キャロルさん。この町で美味しい物って何があるんです?」

「美味しいもの?そうねぇ~」


中川明日香は、キャロルさんにこの町の美味しいものを聞いている。

そういえば、お腹空いたな。講習会でも、ここに来るまでの道中でも何も口にしていなかった。


「そういえば、この世界に来てから何も口にしてないな……」

「そうっスね、腹減ったっス」


今まで緊張していたからか、お腹が空いていたことも忘れていたらしい。

その時、ドアをノックする音がした。


————コンコンッ。


「はい!」


キャロルさんが返事をすると、ドアが開き薄い緑色の上着を着た金髪の女性が、お茶の乗ったカートを押して入ってきた。

この人はギルドに入ってきたときに、受付にいた女性の一人だ。


「皆様のお茶をお持ちしました。

どうぞ、そのままソファにかけてマスターが来るまで今しばらくお待ちください」


そう言って、俺たちにお茶を配ってくれる。

しかも、御茶菓子も一緒に配ってくれるところを見ると、できる女性なのかも。


「あ、ありがとうございます。

あの、一つお願いがあるんですがよろしいですか?」


お茶を受け取る際に、俺は受付嬢にお願いをした。

ここで、俺たち七人の探索者ギルドへの登録を済ませてしまおう。


「はい、何でしょうか?」

「キャロルさんとミラさん以外の、俺たち七人の探索者ギルドへの登録をお願いしたいんですが……」

「それでしたら、受付に移動してもらってもいいですか?

おそらく、ギルドマスターはもう少し時間がかかると思いますので」


というわけで、俺たち七人はギルドの受付へ移動し登録を済ませることになった。

その間、キャロルさんとミラさんはこの応接室で待つそうだ。

俺たちも登録を済ませたら、再びこの応接室へ戻らないと。




「では、皆様『ステータスデバイス』を出してもらえますか?」


受付嬢のエマさんに言われて、俺たちはカウンターの上にそれぞれの『ステータスデバイス』を置く。

そこへ、エマさんが白い箱を取り出し、一つ一つ『ステータスデバイス』を差し込んでは抜き、差し込んでは抜いていく。


そして、七人全員の『ステータスデバイス』を作業し終わると登録が完了した。


「……登録って簡単にできるのね」

「『ステータスデバイス』は、最初に起動させるときに持ち主様の魔力を登録します。各ギルドに登録する際は、そのデバイスに登録されている魔力で登録しますからすぐに終わるんですよ。

この『ステータスデバイス』ができてからは、本当に登録などが簡単でスムーズに終わるようになりました。

昔は、登録でもひと悶着あったり、実力を確認したり、中には自らの実力を偽る人までいるし、登録したらしたで登録管理も大変で……」


なんか受付嬢の愚痴が始まったんだが、どうすればいいんだ?と横のみんなを見ると、全員困った顔になっていた。

これは、しばらく聞くしかないか……。







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