一品目 転生者
サンタクロースが居ないのは今どきの幼稚園児でさえ知っている常識だと思う
まー俺自身も前世の小学二年の時に夜遅くにトイレに起きたらサンタの恰好をした親父にばったりあってしまい、凄い気まずくなってしまったのは今でも懐かしい
因みにプレゼントはハンカチだった。
それがきっかけでの出来事なんだが・・・まぁ良いだろう
で、何でサンタクロース何か信じているかって言うと、ぶっちゃけ信じては居ない
自分が見てない。会ったことが無いだけでいるかもなぁ~とは思っている。
何せ自分自身が非常識な存在なのだ
自分が死んだ記憶がある
その後、神様と呼ばれる存在と話した
そして、輪廻転生を果たした
つまり二度目の人生である!!
転生特典や魔法や才能で人生イージーモードを謳歌してやろうと思ったが出来なかった
そもそも転生特典なんてものは存在しないし、魔法なんかがある世界でも無い現代社会の世界で有る訳だし、そもそも俺自身がやる気が無く怠惰と惰性で生きてるいわゆるバカ丸出しのダメ人間である
だから、一つだけで神様にお願いをした。
相手が神様であるのならば多少なりとも効果はあると信じて
二度目の人生の俺の名前を名付けて貰ったんだ
荒ぶる力を宿した姫と書いて荒姫銀
銀はぎんとしか読めないダルォっと思うかもしれないが、意外古い小説で銀と書いてすず読んでいる箇所があるから問題なし!!
そんな訳で、俺は転生者である。
転生者であるわけで・・・
転生者なんだけど
正直、転生なんてしなきゃよかったと今では思って居る
二度目の人生、家族とは上手くいかないし、小学・中学は最悪だったと言っても過言じゃなかった。
神様に名前を付けて貰ったのがそもそもの敗因なんだが、名は体を表すとはよく言ったものだ。
見た目が兎に角可愛い男の娘で、身長は低くて力持ち
そんな訳で家では父と母が内戦中
俺の両親はどこの誰が見ても平凡であり、普通であり、一般人である。
父の経歴だって保険調査員でも大学の講師でも元グリーンベレーの隊員って訳でもない。ただのしがないサラリーマンだ。
母も柔道家じゃないし、至って普通のパート兼主婦
そんな中でどっちにも似ていない俺が生まれたおかげで、浮気疑惑が浮上しているのだ。
ちなみに兄も妹もいるが反りが合わないから話してない
そんな訳で、家でも学校でも独りぼっちな俺は環境は置いといて気楽に自由に過ごしていたんだけど、何でか噂ってのはどこにでも飛び交うもので、当時の小学校では俺の話題で持ちきりだった。
ふふん、モテる男は辛いぜ
まぁそれは置いといて
どこの小学校でもそうだけどクラスに一人位は居る飛びぬけて可愛い女子で、しかもお金持ちのお嬢様系の奴がいるもんだ。
偏見かもしれないがそういう奴って性格がすっごい良いか、すっごい悪いかのどちらかだと思うんだよね。
ちなみに俺のクラスのは後者の悪い子で、何をするにも絡んでくる構ってちゃんだった。
はじめは身長が低い事をバカにしてきて、テストの点が低いと大きな声で暴露する鬼畜っぷり。
一人でいると取り巻き共を引き連れて「友達居ないの~?可哀想~ぷーくすくす」までがデフォである
止めに最も自信がある体育の授業でもバカにしたかったんだろうな
しかし運動で俺に勝とうなんて10年早いわw
圧勝です。圧勝しました。圧勝・・・しちゃったんだよね。
今まで散々コケにしていた相手に負けたとなって構ってちゃんのプライドに傷がついたんだよね。
それは物凄い落ち込んでて、一緒に居た取り巻きも数日後にはいなくなる程だった。
それからさらに数日後たまたま構ってちゃんが誘拐される所をこれまた、たまたま見ちゃったから、仕方なく助けてあげたのは別の話
まぁ、そんな訳で吊り橋効果が炸裂して構ってちゃんはヤンデレちゃんに進化しました。
Bボタンを必死に押したんだけどキャンセル出来ねーし、クーリングオフって出来ねーかな・・・
出来ねーよな。出来たら中学はもう少しまともに過ごせた。
あっちに行けば喧嘩を売られ、こっちに行っても喧嘩を売られ
気が付いたら、南中の銀姫と呼ばれて不良のトップになっていた。
後で知った事だけど、裏で糸を引いていたのはやっぱり構ってちゃんで、俺に勝てた奴と付き合うみたいな事を言いふらして居た。
いや、何で俺なんだよ!
だから、高校は違う所を受けに行った。わざわざ教師にも手伝って貰って、建前上は南高校だけど実際は、全く別の南之高校って進学校
もう、構ってちゃんに振り回されるのは嫌なんですぅ
暴力は振るいたくないんですぅ
なので進学先は誰にも教えてないし、引っ越した事も教えてないから普通に過ごせる。
そもそもスマホは持ってないから連絡は取れないし~
俺の青春は今から始まるんだ
ランラン気分で玄関のドアを開けたら春の日差しと共に少し肌寒いけど風が舞い込み
目の前にはヤンデレちゃんがいた
「すず♡お・は・よ・う」
俺氏膝を着いた瞬間でした。
何故だ!何故俺がこんな目に合わなきゃならないんだ
黒塗りのベンツに乗りながら、窓から見える景色を眺めつつ思考するも結局はあの時関わったのが敗因である以上逃れられぬ運命なのだろう
「お嬢様到着いたしました」
「富山ありがとう。さぁ学校に着いたし行くよ♡」
「じゃあ俺の膝から頭退かしてくれないか?」
俺の膝は枕じゃあないんだぞ
「うむむ、名残惜しいけど仕方ないね。じゃあ富山ありがとね」
「ふふ、それでは銀様、お嬢様の事よろしくお願いします」
はぁ~とため息を吐きながらも、新しく通う高校を見ながらどうか平穏にキャッキャウフフなラブコメ青春を送りたいと切に願ったが、それは儚い幻想だった