54 日常会話
投稿できていなくてすいませんでした!
「う.....フレンチトーストはもう一生食べません.....」
春馬と未来が帰宅後、楓はリビングのテーブルに突っ伏していた。
というのも原因は自分達が作った失敗作も含めた沢山のフレンチトーストを処理するためであって自業自得である。というか食べきって当然だ。
「いや、俺も食べてやったろ?」
「体のつくりが違います」
「まぁ、そうかもしれんが。ほれ、これでも飲んでろ」
水樹がテーブルの上に置いたのはマグカップに注がれた紅茶だった。
甘いものには意外と紅茶が合う。
「あ、ありがとうございます」
楓は両手でマグカップを持ち、息をふきかけある程度冷ましてから口へと運んだ。
「ふぅ」
そして脱力。
どうやら相当フレンチトーストがお腹にきていたらしい。
「あの二人が仲直りできて良かったです」
不意に楓が話し出した。
「ああ、そうだな」
「ありがとうございます」
「何で水面がお礼を?」
「それは.....私一人では到底解決できる問題ではありませんでしたから」
「そうかもな」
「そこは嘘でも『そんなことない』という場面では?」
「生憎俺はそんな理想の性格を持ち合わせていないんでね。それにお前まで混じってフレンチトースト作ってただろうが」
「確かにそうですね」
楓がクスリと笑った。
そんな楓の様子を見て水樹は、
「なんか最近水面すごく明るくなったよな」
「何ですか急に」
「いや、最初にあった時とのギャップが」
「人は誰しも変わるものですよ?それにいつも私が誰彼構わずこんなに喋ると思っているのですか?」
「あーそれはないかも」
「そこまで分かっているのなら峰崎くんも少しは変わっていますね」
楓の言葉の真意が掴めず、水樹は首を傾げた。
「鈍感が多少改善されたということです」
「鈍感って.....」
「自覚してなかったんですか?」
「これでも鋭い方だと思うぞ?」
「峰崎くんは自分を見直すべきかと」
「酷くないそれ!?」
「冗談です」
「あ、そう.....」
珍しく水樹は楓に振り回されていた。
「今のままでいいですよ。峰崎くんは」
そしてまた、らしくもない発言をする楓に再び調子を狂わされる。
「あーそうか?」
「はい」
「ありがとう?」
水樹は相変わらずの鈍感さだった。
そんな水樹に楓は苦笑する。その表情に水樹が少しドキリと感じたのはここだけの話である。
翌日、学校に行くと一風変わった空気が水樹が出迎える。
「よ!水樹」
「おはよう、峰崎」
「.....えっと、春馬はともかく神田までどうしてこの教室にいるんだ?」
ここは一組の教室。ちなみに未来は二組の人間でここにいるはずがないのだ。
「別にいいでしょ?ハルくんと話してただけだから」
「いや、まぁ付き合ってるんだしそれくらいは普通だろうけど...」
どうやら喧嘩を乗り越え二人の仲はより深まったらしい。それも朝っぱらから別のクラスでイチャイチャするくらいに。
(もしかして俺の手助けって間違いだったか?)
「ところで今週末水樹暇か?」
「今週末.....ああ」
「じゃあ勉強会やろうぜ!期末も近いし」
季節はもう既に11月後半。思い出せばもうすぐ期末テストだった。
「ああ、俺はいいけど.....」
そう言って水樹は教室の端で沢山の人に囲まれた楓を見る。
「ああ、楓ならもうOK貰ってるから」
「は?」
そう言って未来はスマホ画面を水樹に向ける。
そこには確かに楓との会話の形跡があり、楓は勉強会の申し出に快くOKしていた。
「てな訳であとは峰崎がいいかどうかって話だったんだけどいいのよね?」
「ああ....それよりも神田と水面っていつからそんなに親しかった?」
「つい昨日ね」
「昨日!?ってああ、そういうこと」
つまりは相談にのってくれた仲。もう友達でしょ?ということだ。
「さっきから何話してるの?」
さらに三人の会話に入ってきたのは千歳だった。
「ああ、冴枝さん。今週末水樹の家で勉強会しようって話してたんだよ。良かったら冴枝さんも来る?」
「え?いいの?」
千歳は念の為といった感じで水樹に視線を向ける。
「はぁ....別に二人も三人も変わらないよ」
つまりOKという事だ。
こうして週末に勉強会が開催されることが決まった。




