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28 誕生日は楽しむものです

評価、感想お待ちしています。

 ゲームセンターの奮闘から丁度2日がすぎた8月8日。

 今日は楓の誕生日だった。


 しかしそんなことを意識しているのはどうやら水樹だけらしく楓は朝から何一つ変化がなかった。


 そして何一つ変化が無いまま時間は進み夕食の時間を迎える。


「あの、今日の夕食はやけに豪華では?」


 ちょっとした変化に気付いたのは楓だった。机に並ぶの手巻き寿司と揚げ物類にジュースといった類の飲料水。完全にパーティーモードである。これで本人はまだ誕生日を祝われるという自覚がないのだから驚きだ。


「あら、本当ね。なにか特別な日なのかしら」


 そして春香も今日が何の日なのか察したのか話題を持ちかけてくる。


「あのさ、水面」

「なんでしょうか?」

「お前って本当に可愛げ無いよな」

「何ですか急に」


 女子というものは特別な日を意識するのが常識という水樹の固定観念が崩れた瞬間だった。

 楓は何一つ顔色を変えてはいなかった。

 それどころか水樹の言葉に少し機嫌を悪くするくらい。呆れた水樹は楓にこの豪華な料理を準備した理由、誕生日を祝うためということを口にした。


「はー...水面。今日って誕生日だろ?」

「!どうしてそれを?」

「いや、この前連絡先交換したろ?その時に見たんだよ。生年月日」

「そういう事でしたか....ですがここまでしなくても」

「まぁ俺の勝手だ。気にしないでくれ」

「で、ですが...」

「楓ちゃん、ここは素直に甘えておきなさいな」


 春香の言葉に渋々了承した楓。

 楓は少し居心地悪そうに椅子に腰かける。どうも誕生日を祝われることが性に合わないのかずっともじもじしている。


 そして3人の食卓で囁かな誕生日パーティーが開催された。


「というわけで楓ちゃん!!誕生日おめでとう!!」

「おめでとう」


 パンパン!!っとクラッカーが2発音を立てる。


「あ、ありがとうございます」


 少し照れた様子で感謝の気持ちを述べる楓。


「それじゃあ私も失礼して」


 そう言って春香はビールの缶を開ける。

 そして一気に缶1本を飲み干した。


「いや〜やっぱり記念日のビールは最高ね!」

「何で春姉が一番騒いでるんだよ」

「別にいいじゃない」

「今回ばかりは良くないから」


 そんな妙に賑やかな空間にいつの間にか溶け込んでいた楓は水樹と春香と会話を楽しんだ。料理も水樹が力を入れた甲斐があったのか美味しそうに口に運ぶ楓の姿を見て、水樹は少し頬が緩んだ。

 すると楓は手に持った箸を机に置いた。


「水面?」

「あの…………今日はこのような形で誕生日を祝って頂きありがとうございます」


 楓はそう言って頭を下げた。

 これには流石に水樹も春香も驚く。


「お、おい…………誕生日は祝われて当然だろ?そんなお礼何ていいから…………」

「そうよ?私も当然水樹だって自分からやってることなんだから気にしないで」


 水樹と春香の言葉を聞き楓は頭を挙げた。

 そしてほんのりと笑みを浮かべ、また『ありがとうございます』と口にした。


 それからしばらくして小さな誕生日パーティーは静かに終わりを迎え片付けが終わった頃、ここからが水樹の本当の勝負だった。それは準備したプレゼントを渡すということ。


 水樹は少し緊張した面持ちで楓の部屋に向かう。


「ちょっといいか?」


 水樹は部屋の前で室内にいる楓に声を掛けた。


「はい。なんでしょうか」


 反応はすぐに帰ってきて楓は自分の部屋に水樹を招く。

 そして水樹の手に持たれた紙袋と皿の上に乗った一切れのケーキに目を向けた。


「コレ、誕生日プレゼントとケーキ」


 一つはゲームセンターでおよそ6000円をつぎ込んだ白い猫のぬいぐるみ。そしてもうひとつは水樹の手作りのケーキだった。


「え?」

「いや、だから誕生日プレゼントとケーキだって」

「…………これはぬいぐるみ、ですか?」

「ああ、気に入ってもらえるかは分からないけど。可愛いものが好きっていう言質は取ってあるからな」


 そう言って水樹は紙袋に入った大きなぬいぐるみを楓に渡した。


 とても大きなぬいぐるみは楓が持つと顔がすっぽりと隠れるサイズ。楓はぬいぐるみを受け取るとぎゅっと抱きしめた。


「気に入ってくれたか?」

「は、はい。とてもとても嬉しい、です」


 楓の満足気な顔を見れて水樹は満足だった。


「それと、こちらは?」


 すると楓は机の上に置かれた一切れのケーキに視線を向けた。


「これはもう一つのプレゼントで、俺が作ったケーキだ」


 まさに水樹にしかできず、ある意味一番水樹らしいプレゼントだった。


「峰崎くんが作ったのですか?」

「あ、ああ。これくらいなら俺一人でもできるからさ」

「ありがとうございます」


 そんな照れた様子の水樹を楓は真っ直ぐに見つめていた。水樹もまた少し頬を赤くした楓を見て笑みをこぼした。


「あの、食べてもいいですか?」

「ああ、是非」

「それでは、いただきます」


 そしてフォークでケーキを器用に切った楓はそっとケーキを口に運ぶ。そして更に頬を赤くして、


「とても美味しいです」


 と、一言だけ口にした。

 心做しか楓の反応がぬいぐるみを貰った時よりも嬉しそうなだったことに水樹は気づかない。


「とても嬉しいプレゼントをありがとうございます」

「喜んでくれたなら嬉しいよ」

「どちらも大切にします」

「ケーキだけは今日中に食べきってくれよ?」


 水樹の言葉に楓はクスリと笑い、それに釣られて水樹も笑うのだった。

毎回感想ありがとうございます。

読ませてもらっている私も今後の話に生かしたり、反省したりと、私自身のためになっています。


まだまだ評価、感想をお待ちしています。

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