19 彼女のいない学校
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「今日は水面さんは休みか~」
「…………」
「ん?水樹、どうかしたか?」
「あ、いや。何でもない」
「そうか、ならいいけど。それにしても最近水面さん休む回数増えたよな」
「ああ、そうだな」
一回目の欠席は風邪、二回目は水樹の看病。そして三回目の今日は原因不明だった。
(水面のヤツ、何やってるんだよ…………)
水樹の予想では結局朝の準備が間に合わなかったからと考えている。せっかくいい方向に進んでいたのにこれでは振出しに戻ったようなものだ。あと5日間でバイトの期間が終了だというのにこれでは先は闇しか見えない。
「う~ん。水面さんってちょっとミステリアスだよな。実は昨日、俺さ水面さんも誘ってみたんだよ打ち上げに」
「え?マジで?」
「マジで。でも、そしたら水面さん『家事をしないといけないので』って言って断られた。ちょっと不思議じゃね?」
「どこが?」
「いや、だって水樹も見ただろ?あの高層マンション。絶対にお金持ちなのに家事なんてするか、普通」
(コイツ意外に鋭いな…………というか家事をやる気はあったんだな)
「いや、真面目そうな水面…………さんのことだから家事くらいはこなすんじゃないのか?(実際は皆無だけどな)」
「ああ~なるほどな。でもそれにしても水面さんっていろんな人と話してる割には皆水面さんのことあんまり知らないよな。性格は勿論、好きなものとかも」
確かにそうかもしれない。クラスどころか学年でも目立つ存在の楓は気づけば多くの人と会話をしているが誰も楓のプライバシーを知らない。それは恐らく楓自身が規制線を張っているわけで、周りが知らないのも当然かもしれない。
「正直、水面さんはめちゃめちゃ可愛くて、付き合えるなら付き合いたいけど現状異性ならまだしも同性にも友達って言う友達っていなさそうだよな」
「まぁそうだな。てか春馬はよく水面さんのことを観察してるんだな」
「そりゃ、男子だったら誰しも気になるだろ」
「まあほどほどにしろよ?水面さん自身も注目を浴びるのは好きじゃないのかもしれないし」
「お前、やけに水面さんの肩を持つんだな」
「は?」
言われるまで意識すらしてなかった水樹。
確かに周囲の人に比べれば明らかに楓とのかかわりが多いのは水樹である。つまりは無意識のうちに楓の困るような噂をフォローしていたわけだ。
「最近、水樹ってやけに水面さんを目で追ってるなって思ってたし」
「マジで?」
「マジで。まあ水面さんは人気で周りの目を自然に集めるから水樹もその中の一人に入ったって感じか。それにしても夢は見ないんじゃなかったんですか~??」
からかう様に…………というか実際にから来ながら生暖かい視線を水樹に向ける春馬。
「黙ってろ」
「おやおや、うぶですね~」
「このやろ…………」
「でも、俺は応援するぜ?」
「何を?」
「お前の恋を」
「あ~もういいよ。ツッコむのも面倒になってきた」
水樹はその言葉を気に机に突っ伏した。
(俺ってそんなに水面のこと目で追ってたのか?確かに気になってはいたけど、それはあくまでしっかり生活ができているかって訳で…………うん。好意でも何でもないな。それよりも帰ったら休んだ理由を問いたださんとな)
こうして水樹は自分の気持ちに区切りをつけ、帰ってからどうすべきかの考えに没頭するのだった。




