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18 カウントダウン

評価、感想ありがとうございます。

感想では的確な指示、面白いなどありがとうございました。

 およそ一週間にわたる期末テストは以外にもあっさりと終了した。

 そして、テストが終わって三日後の週明け水樹達一学年の廊下には上位50人の名前と順位が掲示されたいた。


「相変わらず一位は水面さんか~」


 堂々の一位に君臨していたのはやはり楓だった。二位の生徒に50点もの差をつけての一位には流石としか言いようがない。

 春馬は相変わらず学校の女神さまに心酔なさっている様子だ。


「てか水樹、お前にも何があった?」

「え?いや、勉強の甲斐があった」


 水樹の順位は15位。中間テストから一気に10人以上を抜く快進撃だった。


(まぁこれも水面のおかげだな)


 テストが始まるまでの約一週間、水樹は楓にマンツーマン指導を受けていた。その結果が現在の水樹の点数に繋がっているのは明確だった。


「お前ってつくづく勿体ないよな。前にも言ったけどもう少し髪の毛とかいじれば、勉強ができるそこそこのイケメン様だぞ?俺がもし水樹だったら真っ先に実行にうつすね」

「別にいいだろ?そんなに興味ないし」


 青春の使い方は人それぞれなのである。

 仮に春馬の言い分が正しくても水樹の心に響くことはまずないのだろう。


「まぁいいけど。それよりクラスの奴らでテストも終わったしカラオケ行くけど水樹もどうよ?」

「あ~俺はパス。てかまだバイト中ってこと忘れたのか?」

「おっとそうでした。まぁ頑張れよ。また誘ってやるから」

「ああ、ありがと」


 こうして水樹は期末テストで好成績を収めることに成功した。




 テストが終わり、少し勉強付けだった日常がようやく平常運転に戻り始めた今日。

 珍しくキッチンには水樹と楓が並んで夕食の準備に取り掛かっていた。


「相変わらず、堂々の一位だったな水面は」


 水樹は相変わらず慣れた手つきで話を切り出す。


「はい。別に嬉しくはありませんけど」


 一方の楓も最近では野菜を一口サイズに均等に切れるようになっていた。それ以外の諸活動は相変わらずの破綻ぶりだが。


「それ、学校では口にしてないだろうな?それにそんなこと言われたら15位で喜んでた俺が惨めに思えてくる」

「ですが峰崎くんも頑張っていました。お疲れ様です」

「おう。でもそれも水面のおかげかな。ありがとう」

「いえ、私は大したことはしてません」

「素直に感謝の気持ちは受け取ったほうがいいぞ?」

「余計なお世話です」

「左様ですか」


 テストも終わり、普段通り勉強をあまりしなくてもいい日常になると暇さえあれば水樹は楓に何かしらのことをさせる。

 こうして今も料理の入った食器を運ばせているわけだが、どうも危なっかしい。

 水樹は楓に運ばせていた食器を楓から受け取った。


「あの」

「見てて危なっかしいんだよな。運ぶのは俺がやるから水面は皿に料理盛り付けといて」

「わ、分かりました」


 こんな様子だが約束の期間は一か月で、しかもそれがもうあと一週間だった。


「あと一週間でバイトの期間も終わりだな」


 水樹は食器を運びながらキッチンに立つ楓に話を持ち掛ける。


「そうですね」

「う~ん。不安しかないな」

「私も不安しかありません」

「それ自分で言いきっちゃう?」


 今も楓に料理の盛り付けを頼んでいるが、慣れていないことが良く分かるほど硬い動きをしている。

 それに料理も以前よりは断然ましだが、このままでは栄養バランスが悪すぎる。


「もう少し焦らないとな」

「流石にまずいですよね…………」

「まあ、心配だな。生活習慣とか、何より掃除が」

「頑張っているのですが」

「頑張りは認めるけど、このまま素直に送り出せるかって言われるとな…………」


 この先のことを考えるとどうも楓を送り出すことに不安を抱かざる負えない水樹。

 意識の変化はあったとしてもそれが行動に移せるかは別なのである。


「でも、あと一週間ある。そのうちに頑張ればいいだけだ」

「そう…………ですね」


 若干歯切れの悪い答え方だったが、水樹はそれを気にすることは無かった。


 そして水樹は予想もしていなかった事態が翌日訪れるのだった。





 翌日、何ら変わらない一日の朝…………というわけではなかった。


 時刻は朝の5時。いつもなら水樹と同時、あるいは早くに起きているはずの楓が今だに布団の中だった。


(まぁそんな不思議なことでもないか)


 誰にだって生活習慣にむらがあって当然である。もちろん水樹にもある。故にたまたま今日は楓がゆっくり寝ているだけ、あるいはもうすぐ起きるだろうと水樹は思い、朝食と弁当の準備に取り掛かった。


 そして時刻は6時半。


(流石にそろそろ起きないとまずいかな。ご飯も丁度できたし)


 そろそろ起きないと遅刻する危険があると考えた水樹は楓のくるまっている布団を揺さぶった。


「お~い、水面。そろそろ起きろよ~」


 一言水樹が声を掛けた。

 すると布団から楓が姿を見せる。しかし水樹に対して反応は見せなかった。


「ん?おはよう」

「はい」


 単調な返事だった。


「水面、ある程度自分で準備しろよ?」


 水樹の問いにまたしても無言の楓。

 流石の水樹もこれには疑問をいだき、


「どうした?水面。体長でも悪いのか?」

「…………」


 無言を貫く楓。


(何なんだ?)


「何があったかは知らないけど、準備は自分でしろよ?昨日までできてたのに今日になって急にできなくなりましたは勘弁だからな?」


 またしても無言。楓は水樹の問いに何一つ答えようとはしなかった。


「あの…………何か俺悪いことしましたか?…………無言か。あのさ、申し訳ないけど今日、俺日直だから先に学校行くわ。弁当は玄関に置いておくから忘れるなよ?」


 結局、楓の声を聴くことなく水樹は家を出た。


 そして一日楓は学校に来なかった。

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