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魔王様の日常

魔王様とゴブリン

「ふははははは。よくぞここまで来たな冒険者どもよ。そんな簡単にわれを倒せるでも思っておるのか! 」

「こ、こんなところでやられてたまるか…いつか、いつか…」


「魔王様、この調子ですよ!」

「ほ、本当? い、今ので大丈夫?」

「大丈夫ですとも! この調子で冒険者が来たらやっつけてしまいましょうぞ!」

「そ、それもそうだよね、僕魔王だもん…」


 だだっ広い魔王の部屋の中、部下のゴブリンと魔王の二人? が冒険者が来たときように…と極秘で練習していた。

 実はこの魔王はまだ人間を見たことがない。小さい頃から親の教えで「セカイヲセイフクシタトキノケイエイガク」という勉強ばかりさせられ実践の経験が全くないのである。周りは怖ーい魔物ばかりで小さいとき、抜け出した際に出会ったゴブリンが数少ない友達でもあった。


「魔王様もいい加減お偉くなったのですからもっと威厳のある感じになってくださいよ」

「あ!ゴンまでそんなこと言って! あと、友達なんだから敬語もやめてよ!」

「とは言われてもなぁ。タメで話してるのばれたら殺されちゃうよ…」

「そんなことは絶対にさせないから! だって僕魔王だよ? だいじょうぶだってぇ」

「信用できないな~」

「ってかも一回やるよ!」

「まだやるの? まーちゃんなら大丈夫だって!」

「いいからやるの!」


 魔王様がゴブリンと練習するときは大事な時間と家来にはいってあり、魔王城が襲われていても伝達に来るなというくらいの厳重っぷりである。しかし、それだけ彼としては二人の時間を大事にしたいのであるのだろう。決してこの練習がばれたくないとかそんなわけでは…


「ってかそんなに人間どもは来ないの? 俺の故郷にはしょっちゅう来るっていうのに…」

「だってこのお城は人間では破れないような結解が貼ってあるし、下層には幹部がたくさんいるしでここまで来ないのよ」

 

 魔王様とゴブリンは広い部屋に響き渡る声で笑った。いつまでも笑った。

 


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