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少し不思議なもう一つの世界へ!―魔法と宇宙と俺幼女―  作者: ヤマト・シアキ
惑星イルフィリア
19/22

ヒンヤリしてて結構気持ちいいヤツ

「めっちゃ暑いんですけど!」

「この惑星は今夏だからな……」


 船から降りた俺達を待っていたのは、うだるような暑さ。マークライトによると船外気温は35度との事だ。


「そういえばイルフの村の場所知ってる人はいるんですか?」

「それなら俺が知ってる。ここから2時間くらいの場所だぜ」


 2時間か……幼女(この体)には結構きついなぁ。


「嬢ちゃん」

「なんですグラッツさん? うひょわっ!」


 突然、グラッツさんに持ち上げられ、頭に跨がらせられる。おぉ肩車か、小さいときは父さんによくやってもらったものだ。


「疲れるだろうから、乗っときな」

「ありがとうございますグラッツさん」


 グラッツさんは筋肉質で頼れる男って感じがするなぁ。


「ただ、少し体は離しときな。胸がスゲエ当たってる」

「えっあっスンマセン……」


 相変わらずこの胸邪魔だな。生前はおっぱいは大きければ大きいほどいいと思っていたが、実際ここまで大きいと走ったときに無駄に揺れたり、狭いところを通ろうとしてつっかえたり苦労しかない。


「もっと小さければなぁ」

「アイリちゃん今私含めて世界の女性ほとんどを敵に回したッスよ」


 かくしてイルフの村へと出発した俺達だったがその道程は、思ったより過酷なものだった。断崖絶壁を登り、川を渡り、洞窟を抜け、吊り橋を渡る。1時間ほどしか経っていなかったが、全員に疲れが見え始めていた。


「ちょ、ノーワン。ほんとに道あってるんでしょうね!?」

「あってるよ! 前に親父と来たときは吊り橋すらなかったけどな!」

「足がT-53波動砲の砲身みたいになってるッス……」

「ただの棒じゃダメなんですかいお嬢……」

「一旦休憩しましょ。ここまで険しい道だったなんて……」


 という訳で全員で休憩を取ることになった。グラッツさんの肩車から降ろしてもらうとニーナさんがこちらに何かを期待するような目で駆け寄ってきた。


「ねえねえアイリちゃん、涼しくなる魔法って何かないッスか?」

「涼しくなる魔法ですか」


 本格的に立場がド○え○んじみてきたな。涼しくなるっていったら氷魔法が確かにあるっちゃあるけど……、アイテムポーチに1種類しかないんだよなぁ。

 ポーチに手を突っ込んで唯一持ってる氷系統の呪文書を取り出し、記憶する。


「ちょっと離れていてくださいね。テクニックコード――氷周雪(ル・ベルタ)


 俺の中心にして地面に魔法陣が展開し、周囲に冷気の風が巻き起こる。おぉ、使った俺自身も結構涼しくなるなこの魔法。


「おー涼しいッスー……。涼しいってか――冷たい? ってあれ、ちょ、痛ッ、イテテテテッ! アイリちゃん痛ッ! ストップ! 冷たすぎて痛いッスッ! なんか氷の破片まで飛んで――(イダ)ァッ!」

「うわっごめんなさい!」


 よく見ると、俺の周りの地面と木々が凍りつき、風に氷の破片が混じるようになっていた。考えてみたら元のゲームではバリバリの攻撃魔法なんだしクーラーとして使うには少々危険すぎる。

 以前から感じていたが、俺の魔法、威力が調節できないのが困りものだ。雷電鳥(ウル・ザント)もそうだが炎励攻(シフト)なんて効果が強すぎて腕が折れる始末だし。イルフは魔法を使えるという話だから何かコツとか教わってもいいかもしれないな。


「うぅっ、涼しくはなったッス……命の危険を感じてッスけど……」

「すみません、すぐに回復魔法使いますから……」

「何やってんのアンタ達は……」


 呆れた様子でミヤカさんがこちらに歩いてきた。返す言葉もございません。


「そろそろ出発しましょ。ノーワンの話じゃここから先の道は崖とかはないらしいから」

「「はーい」」


 立ち上がってグラッツさんに駆け寄ろうとした瞬間、ブニッとした何かを踏んだ。


「ん? 何だこの水色し――オゥアァーッッッ!」


 踏みつけた水色の何かは驚くほどのスピードで膨れ上がり、俺の体をすっぽりと包んでしまった。


「アイリちゃん!? あっコレって……」

「た、たすけてー! なんかこれすっごいブヨブヨしてて――ンギョアーッ!」

「お嬢ちゃん落ち着きな」


 船長が冷静に話しかけてくるけど落ち着いていられる状況じゃない。水色の液体はどんどん俺の体の自由を奪ってきていた。


「その液体生物、ティルビク・ネイヴリー・スライムは他の生物を殺したりはしない。ただ体の自由を5分ほど奪うだけだ」

「えっコレ無害なんですか?」

「あぁ基本的にはなにもしてこない」

「なーんだ、じゃあこのままじっとしてれば剥がれるんですね」


 ならこのまま、騒がずじっとしていよう。船長の言うとおり口とかは塞いでこないみたいだし――。


「ただ捕まったやつが生物学的にメスだった場合、体のある部分を重点的に舐りまくる」


 最悪な情報を最後に付け足すんじゃない。


「ウワァッちょ、んっ、何処入り込んでんだ変態生物ッ! んあっ、クッソ! だったら魔法でぶっ飛ばしてや――」

「ちなみに絶滅危惧種だ。ぶっ飛ばしたりなんかしたら即お縄だぞ」


 こんなエロ生物が法で守られているなんて、出来れば聞きたくなかった。結局、俺はどうすることも出来ず、5分間舐られ続け、終わったときには目から光が消えていた。


「もうお嫁にいけない……」


 行く気もないけど、自然とその言葉が口からこぼれた。


 その後は順調に道を進むことが出来、無事にイルフの村へと辿り着いた。事前に連絡はしていたのか、若くて綺麗な女性が村の入り口で俺達を待っていた。


「ようこそ、依頼を受けてこられた方々ですね。それでは、村長がお待ちで――うっ!」


 お気付きになりましたか、粘液でベッチャベチャの幼女がいることに。


「すいません……、お風呂貸して下さい……」

「あっ、そ、そうですね! ここまで歩いてきたんですし汗を流していただかないと! 村長には私から伝えておきますのでそれでは!」


 お姉さんは逃げるようにして、村の奥へと消えてしまった。


「なんかお姉さんすごい焦ってませんでしたか?」

「あのスライムに襲われたヤツの近くにいると穢れるって言い伝えがあるからな」

「ひでえ」


 村長には悪いが穢れを落とすため、先に全員でお風呂に入らせてもらうこととなった。

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