9話
「…………」
最低だよね私。また子供みたいだった?
だけど、あんなの聞きたくない
どうしたら上手く行くのかな?
どうしたら笑いあっていれるの?
みんなこんなに不安なの?
みんなこんなに傷ついてるの?
ネオンが涙で滲む
「愛桜!」
ゆっくり拓人さんを見つめた。
大好きで大好きで。こんなに失いたくない
頭では本当に解ってる。
やっと思いが通じて楽しい毎日しか想像してなかった、付き合っても苦しいなんて思ってもみなかった
「ごめんね」
「愛桜が謝る必要なんかねぇよ。俺が」
私を見つめる優しい瞳も、走ってきてくれて上がってる息も全部、全部愛しい
「別れてください」
「え?」
潤んだ瞳と震える声が胸を突き刺す
「別れてください…」
そう涙を流す愛桜に歩みより肩を抱いた
「何言ってんだよ?悪かった機嫌直せ。な?」
「グスッ…」
大きく揺れる肩を抱きとめても愛桜は泣き止む事はなかった
「私…やっぱり無理だよ。拓人さんと私じゃ違いすぎて苦しい」
「俺は愛桜と同じ気持ちで居るのにか?」
「一緒じゃない!」
バンっと強く突き放された
「私は傷つけたりしない!揺るがないもん
拓人さんだけって…だけど違うじゃん?
拓人さんは違うじゃんか!
そんな中途半端な気持ちで私を振り回さないで!」
感情的な言葉と愛桜の求めるているものが解らなくてイライラが募っていく
「ちゃんと話聞け。中途半端に振り回してるつもりはねぇから」
「じゃあどうして言ってくれなかったの?」
「え?」
「みんなに彼女って言ってくれなかったの?」
「あれは…」
「何?」
「紀乃と大学の時付き合ってた振りしてたんだ」
「……」
「それを今もみんなが信じてる」
「だからって私を傷つけていいの?おかしいよ…」
「傷つけたつもりはねぇけど」
「…もう…いい」
拓人さんにはきっと。伝わらない
私はただ彼女だからって言って欲しかった
「そうやってすぐ逃げんなよ」
「逃げてない!いつだって私は拓人さんと向き合ってるよ!じゃあ拓人さんは今の私の気持ち解るの?」
「…わかんねぇよ
だから話してんだろ?」
少し口調が強くなる拓人さんは不機嫌な顔と声でそう答えタバコに火をつけた