7話
「………………はあ…」
放課後カバンに教科書をつめる愛桜をみんなで見つめる
「ちょっと誰かあの不のオーラどうにかしてよ」
「無理だよぉ、友希ちゃんしか」
「今回は私でもお手上げよ」
「やっぱり難しいのか?年の差は」
大はそう言いながら愛桜の方へ歩いていく
「とにかく帰ろうぜ、愛桜!早くしろ」
嘉はそう言って教室を出ていく
「うん」
「カラオケ行こうぜっ。なっ」
大はそういいながら前の3人の横に並んだ
4人の背中に声をかける
「ねぇ」
振り向いた4人は不思議な顔をしていた
でも声にしてしまうと気持ちはどんどん溢れてくる
「私もう無理かも」
「愛桜?」
「愛桜ちゃん」
2人はそう私の元へ来てくれた
「それ諦めるってこと?」
大はこういう時すごくハッキリしている
「あんなに頑張ったのに、無理とか言っていいのか?」
嘉は校庭にしゃがみこんで私に視線を向けた
「だってもう解んないだもん
拓人さんにとって、私はずっと小さなままで妹みたいなんだよ。」
「何それ?拓人さんが言ったのか?」
大は少し呆れたような顔をした
「これだから女はわがまますぎなんだって」
嘉もそう言って立ち上がり伸びをした
「それどういう意味?大も嘉も言い方きついよ」
友希ちゃんはそう言って二人を睨む
「解んないって何?何が解んないんだよ?」
「伝えたのか?気持ち」
「聞いてくれないよ。すぐため息ついてめんどくさそうだし、そんな重くなりたくない」
「俺や嘉が思うのは、もっと話しろよ。拓人さんと」
「いつも私ばっかり話してる、どうやって何を話せば解ってくれるの?飲みに行かないでとか、デートに行きたいとか…ちゃんと伝えてるのに」
「愛桜…」
「もっともっと、教えて欲しいし、伝えてほしい。拓人さんに引っ張ってほしい、だけど上手くいかない」
泣きながらしゃがみ込んだ愛桜の元へみんなが足を向けた
「泣くなよ、悪かった」
宥めようとした俺達の後ろから
「何泣いてんだよ」
っと聞きなれた声が響く
配達中なのか腰に前掛けをかけたままの拓人さんが居た
「泣いてない」
意地っ張りな愛桜は立ち上がりその場を逃げようとした
「話す気ねぇなら、帰る」
半ば無理やり校庭に入ってきていた軽自動車に向かう拓人さんの言葉に愛桜の足がとまった
「…………」
「おい、愛桜。
乗らねぇのか?」
そう優しくさとす拓人さんを見つめた
「愛桜、ちゃんと話しておいで」
「そうだぞ、迎えに来てくれてんじゃん」
「ほら、早くいけよ」
「またね、愛桜ちゃん」
優しく背中を押され拓人さんの元へ行く
「乗る」
そう伝えれば拓人さんは助手席を開けてくれた
そしてすぐ私は後悔した
「………」
「………」
気まづい空気がずっと流れていたから
「家送るから一旦服着替えてこい」
「えっ?」
久しぶりに絡んだ視線は、優しく私を包み込むようなそんな気持ちにさせてくれた
「明日休みだろ?飯行こうぜ」
「いいの?」
「当たり前だろ、あとこないだは悪かった
酔ってて俺酷いこと言っただろ?謝りたくて」
今にも溶けそうな頬っぺたを引き締めながら
「私もごめんなさい。本当にただのヤキモチみたいな事してしまったら」
「じゃあ、車変えてくるから」
「うん」
「着いたら携帯鳴らす」
「ゆっくりでいいからね」
拓人さんを見送って二階の部屋に駆け上がり、嬉しすぎて喜ぶ心にどんどん顔がニヤケていく
鏡の前で服をとっかえひっかえしてる自分を見つめると不思議な気持ちになる
「……拓人さん…」
ゆっくりベットに腰掛け
壁にかける二人の写真を見つめた