2話
「ねぇ拓人さーん」
この日も私は拓人さんの部屋のソファでコロコロしながら拓人さんを呼ぶ
「ちょっと待ってろ。あと少しで終わるから」
この部屋で私はまた寂しい気持ちを重ねていた
拓人さんは先月の売上や前年比などに頭を悩ませ、私のことなんかそっちのけ
「拓人さん今週の土曜も日曜も仕事?」
「ああ、土曜は地元の寄合で遅いから会えねぇぞ」
「えぇ!日曜日は?」
「日曜はダチと飲みに行く」
「…蒼眞さんだっけ?」
「ああ、蒼眞とだいぶ会えてないからな」
と言いながらまた電卓を叩く拓人さんにイライラが募っていく
「私は?」
「は?」
「私の時間は?こないだも我慢した。」
「我慢って、毎日こうやって会ってるだろ?」
タバコに火をつけこっちを向いた拓人さん、その表情は私にも読み取れるほど不機嫌なものだった
「たまにはどっか行きたいよ」
「行くってどこに?」
「どこにって。いろいろ」
「いろいろね、特にねぇんだろ?」
わかって欲しかったことは何一つ伝わってない
「…もういいよ。帰る」
机に置いた鞄を手にドアに向かう
「愛桜何すねてんだよ?」
「すねてない。拓人さんこそ愛が無さすぎる」
「…はあ」
タバコを消す音とため息が私の耳に届いて胸が締め付けられる
「あっ…」
拓人さんは少し困った顔をして私を見つめた
仕事を理解できてない子みたいで、疲れててもこうやって会ってくれてるのに
「冗談だよ。仕事頑張ってね」
って笑顔を作れば拓人さんも優しく笑ってくれる
「家まで送るから」
「いいよ。すぐだから、それ今日中でしょ?」
「おう」
「じゃあおやすみ」
バタン
っと部屋の扉を閉めて目を瞑る
お互いの気持ちが通じて変わったような気がしていた
だけどやっぱり前と何も変わってない。
前よりも辛い。私はずっとこんな気持ちを抱えて過ごしていかなきゃいけないのかな




