表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
卓球物語  作者: 夏至
1/1

「あともう少し筋トレしてたら、あともう少し基礎練を繰り返してたら、あともう少し足を動かしていたら、あともう少し球を多く入れていたら、あともう少し、あともう少し、あともう少し、あともう少し、あともう少し、あともう少し…

…あともう少し頑張ってたら、あともう少しだけお前らとやれたのかなぁ…」

思えばここまでずいぶんいろいろなことがあった。でも意外に終わりはあっけないものだ。

こうして俺、高橋優は卓球部を引退した。


始まりはどんな感じだったかな。そうだ。入学式の次の日の、新入生歓迎会だ。


「なあ高橋、次の五六限新歓だけど、どこの部活はいるか決めた?」

昼休みの時間、ひとつ前の席で仲良くなった高木が俺に話しかけてきた。

「なんでわざわざ新歓前に部活決めるんだよ。当然決めるのは新歓を見てからと仮入部でだろ。俺らは中一なんだししっかり決めないと。高校でもやるかもしれないんだし。」

六年間やるかもしれないんだ。慎重に決めたい。

「そっか。楽しみだな。」

そんな会話をしていると、先生が教室が入ってきた。

「おーい、生徒はそろそろ第一体育館に移動しろよ。」

ようやくその時が来た。

「高橋早く行こうぜ。」

「おっけ。」


「それでは新入生の皆さん!お待ちかねの部活動紹介です!」

拍手や歓声で体育館がいっぱいになる。そして始まった。内容は様々だ。バスケ部などは実演。水泳部など体育館で実演不可能な部活は動画にして紹介してる。

そして、

「バドミントン部の皆さんありがとうございました!次は卓球部の皆さんです!よろしくお願いします!」

と司会が言った。実演だった。しかし内容が異質。何の紹介もなしにゲーム練習を始め、俺は圧倒された。

「なんだよこれ…卓球ってオタクがやるスポーツじゃないのかよ…」

俺の目に映ってきたのは、目視がやっとな速度で約2mの台を球が飛び交っている様子だった。

「なんだこれ…すげえな…」

高木も圧倒されている。いや高木だけではないだろう。この体育館にいる新入生のだれもが、圧倒されている。もう誰もダサい、しょぼいとバカにできないだろうと簡単に予測できるほどに。


放課後になった。

「高木、俺卓球部に入るわ。」

やっぱりか。そんな顔をして、

「そうだろうと思ったよ。俺も卓球部に入る。」

そうして俺たちは、仮入部もせず、ひとめぼれのような形で卓球部に入部した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ