問題の歓迎会
読んでいただけたら、嬉しいです。
私、佐田 舞子は、もう一度ため息をついた。
教師人生、約1日目にして自分の教師としての自信を無くしつつあった。
教室を見渡す。
生徒、9名。だが、教室にいるのは3名である。
1人は、真面目に教科書を読んでいる真面目そうな眼鏡くん出席番号1番 安藤 ボブ 要。最近まで、アメリカにいたらしい。
1人は、完全に夢の中。髪がツンツンしている。出席番号4番 十勝 将也。
最後の1人は、元ヤンのような目付きでめっっっちゃこっち睨んできてる。出席番号6番 真希夜 杏。
あとの6人、どこいった⁉︎と自分で自分にツッコミを入れた
そんな私に、副担任の先生は、へらへらしていた。
この人は、私に向かって「いつものことですから〜」て言ってきた。
副担任、香川 朱鳥。
女っぽい名にふさわしくない見た目の男。
私は、苦手だ。
元はと言えば、こうなったのも、この役立たずの副担任の所為なのだ。
☆ ★ ☆
私は、期待を胸に、校門をくぐった。
@県○市の月蛾叉高等学校に、勤めることになった。
月蛾叉高等学校は、@県では、珍しい夜間学校がある
夜間といっても、問題児の為の夜間学校であるらしい
私は、副担任の一声と校長の軽い一言で何故か夜間の
2年0組の担任になってしまった。
いや、担任にされたと言ったほうが正しい。
☆ ★ ☆
そして、いまになる。
副担任は、私を見て、ニヤついている。
ぜっったい、私を見て面白がってる。
一先ず、咳払いをしてみる。
「みなさん。他の生徒たちは、どこですか?」
十勝くんが、欠伸をしながら、こっちを見て、微笑んできた
安藤くんは、窓の外をちらりとみた。
真希夜くんは、ゆっくりと手を挙げた。
「せんせー。有姫が、せんせーの歓迎したいとか言いながら外にでて、根笠と北村と上野が理科室に向かって外っす。和田と深雪の奴は、また、変な遊びしてんじゃないっすかね。…あと、安藤は真面目にしてっけど、頭の中は、アニメっす教科書で隠して、漫画、描いてるし。」
「な、なんで言っちゃうのさっ。あ〜、僕の印象が、先生の中で底辺…いや、地に落ちたよ。月とすっぽんぽんだよ。どうしてくれるのさっ。ミスター杏、ミスター将也。」
「日本語、変なってる」
「そうだぞ。なんで、俺の名前まで…。杏ちゃん、櫂羅くんが、いっちゃダメっていってたじゃん」
「十勝、てめぇ…。先に言えよ」
「喧嘩、良くないね。喧嘩するほど仲が良い?日本は、平和だよー。」
とここにいない、生徒の理由を述べた真希夜くん
そして、3人よる言い争いが始まった。
でも、真希夜くんは、良い子かも知れないと少し感心してしまった。
「こいつら、面白いよな。舞子先生。」
香川先生は、笑っていた。
笑い事じゃねーだろと私は、この先生に申し上げたい
あと、下の名前で呼んでほしくない。
私の想像とは、大いに違う。
天と地の差だ。
この状況では、もちろん地の方。
「はっ、はっ、はっ、まぁ、暖かな目で生徒達を見守りましょーや。あ、外、おもしれぇことになってやすぜ」
その言葉に、3人は、言い争いを一旦中断して、窓に身を乗り出す。私もそれに続いて窓に身を乗り出した
暗い校庭に、有姫くん、根笠くん、北村くん、上野くんが、ライトを地面に当て照らしていた。そこにはー
『佐田 舞子先生、これから、よろしく&歓迎するぜ』
とそこには、校庭一面に、私の名前とメッセージが掘られていた。
芸術なのだろうか?
えっ、ていうか、これを1時間ほどで出来ちゃうわけ⁉︎
いやいやいや、待て。佐田 舞子。
落ち着け。いや、落ち着いている。
感心する前に、これは、かんっぜんに、アウトだよ⁉︎
嬉しんでる場合じゃない。
「…素直に、喜べよ。新任さん♪」
香川先生は、意地悪そうに、口元をあげる。
この人、私が、嫌がってるの絶対、楽しんでるわー。
なんとか、にやけそうな口元を隠す。
「ありがとうっ。みんな‼︎…だけど、校庭は、あんたたちだけのじゃないんだかんねっ。さっさっと片して、私の授業を受けなさい」
とびっきりの笑顔に彼らは、一瞬は、喜んだがすぐに、え〜せっかく、時間かけたのに…とぶつくさと不満を垂れた。
横に居た真希夜くんは、ぷくくくっと独自な笑い声をあげ、安藤くんは、みんなで手伝うといい、何処からかシャベルを取り出し、校庭へと向かう。
十勝くんは、ふぁ〜と大きなあくびをして、そのまま眺めているようだった。
「香川先生、私、頑張れる気がします。彼らのこと、私にまかせてくれませんか?」
香川先生に、聞こえるか聞こえないほどの声
「…もとから、そのつもりですよ。俺は、初めから舞子先生のこと、これでも、期待してるんですよ?」
私は、その言葉に驚きつつも、これからに胸を弾ませる。
「俺のように、ならなきゃいいけどな。あいつらは、相当だ気をつけて…な。新任さん♪」
私は、まだ、この言葉の本当の意味を理解していなかった
彼らのことも香川先生のことも何もかも
☆ ★ ☆
結局、私も手伝うことになり、制作と同じ1時間ほどかかることになった。
校庭は、以前よりも、綺麗になったように、思う。
思いたい。だって、私の下ろし立てのお気に入りのスーツを汚してしまったんだから、それぐらいの対価は欲しい。生徒からは、その方がいいと言われるし、香川先生なんて嫌味のように、美人ですよ(笑)と言ってきたんだから‼︎
そして、その日の授業は、2時間で解散となった。
あれれっ?
和田くんと深雪くんは?
「みんな、和田くんと深雪くんのこと、知らない?」
みんなは、ぎこちなくお互いに顔を見合わせていた。
私は、よく分からずに、首を傾げた。
最後までありがとうございます( ̄^ ̄)ゞ