上京
僕の小さい頃からの夢は、「歌手になること」だった。
暇があっては歌い、親や親戚に見せびらかした。「絶対歌手になる」その決意は固かった。
中学の時、ギターを買ってもらった。そのギターを持つと、すごくテンションがあがって、ひたすら練習した。練習すればするほど上手くなって、クラスでも人気者になれた。
そして、高校の時、初めて「スカウト」を受ける。
そして、大学2年の時、コンサートをひらいて・・・・・
・・・・・・・・嘘だ。
中学でギターを買ってもらったところまでは事実だけど。
練習しても練習しても、なかなか上手くなれなかった。手が痛くなって、手はたこがたくさんできて凸凹だった。
でも、ギターを弾いて歌うっていう夢は諦めきれなくて、一生懸命練習した。
そして、高校を卒業して3ヶ月後、春。
僕は東京へと念願の「上京」をする。テレビで何度も見たことがある、でっかいタワーが2本。生まれ育った田舎ではまずないビル。それもめっちゃでかい。信号も、車も人も、ひしめき合っている。すごい。すごすぎた。東京って、おもしろい。
新橋駅へとついた。せまい道を抜けていくと、マンションへと辿り着いた。ここが今日から僕の住む場所だ。そんな古くもなさそうだし、家賃は・・・まぁまぁな額だけど、バイトすればなんとかなりそうだ。
マンションの高い階段をあがり、部屋へと入った。そんなに狭さを感じない。ざっと大まかな荷物はおいて、細かい雑貨などは後にした。それより、まずはお隣さんに挨拶に行かないと。どんな人だろう。
隣の部屋のピンポンを押す。
「・・・・・・・・・はい」
「すみません。川越と申します。今日からお隣でお世話になります」
「・・・・・・・・あ、はい」
低い男性の声だ。まだ若そうだ。
ドアが開く。髪にパーマをかけた、若くて細い男性だった。
少し話をすると、美容師さんらしい。
「よろしくお願いします」
「・・・・・・・・・あ、はい」
さっきから「あ、はい」しか返事が返って来ないが、まぁそれはそれでご愛嬌であるから、よしとして、もう一方のお隣さんの部屋へと向かった。
同じようにピンポンを押す。
「・・・・・・・・・はいはい」
元気のいい女性の声だ。こちらもまだ若い。
「すみません。川越と申します。今日からお隣でお世話になります」
「・・・・・わかりました~」
ドアが開いた。おしゃれな、カジュアル系女子だ。不細工でもない。
かわいらしい。
話を聞けば、どうやらファッション関係の人らしい。
絵がうまそうだ。
「よろしくお願いします」
「こちらこそです」
笑顔を浮かべた彼女は、なんとなく可愛かった。
挨拶を終えたら、部屋に戻り片付けを再開した。
今日から全てが始まる。
全てが・・・・・。
はじめまして。
橋田楓と申します。
駄作すぎますが、一生懸命書きます。
よろしくお願いいたします。