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母の浮気

作者:

その日は朝から父の機嫌が悪かった。それがどうしてなのか私は知っていた。昨夜同窓会に行った母が朝になっても家に戻らなかったからだ。私は4才。産まれたばかりの弟がいる。

父は激情的な人で気に入らないことがあるとよく母に暴力をふるっていた。

無断で外泊した母がどの人と一緒に昨夜を過ごしたか私にはわかっていた。母の箪笥の引き出しの中にある何枚かの写真。母が高校時代のものだ。母と肩を並べて笑うその男が無断外泊の理由であることはわかっていたのだ。でもそれを父には言えない。

母が街中から家に帰ってくるルートは二通り。そのどちらをも見渡せる場所で三輪車にまたがり母を待った。母が家に帰るまえに父が怒っていることを伝えなければいけないと思っていた。何時間もその場で待った。

母がバス停の方向から帰ってきたのが見えた。三輪車をおり、母に駆けよって父の怒りを伝えた。母は少し困った顔をして「ありがとう」といい、家への階段を登って行った。

私は母に伝えたことだけで満足していた。やはりどこか子供だったのだ。

ほどなくして弟の泣き叫ぶ声が聞こえた。そこで気づいた。一緒に家に戻るべきだったと。私は階段を駆け登り居間へ続くドアを開けた。

母に馬乗りになっている父。白眼を剥いて泡を吐いている母。父の持つ電気のコードは固く母の喉に食い込んでいる。何かを感じ取っているのか火がついたように泣き叫ぶ弟を抱き上げ隣の家へ駆け込み、

「救急車と警察を呼んでください。」と告げた。その後のことはよく覚えていない。

母は救急車に、父はパトカーに載せられ家の前から消えた。報せを聞いた祖母が迎えに来てくれるまでの間に隣人がおにぎりをたべさせてくれた。そのおにぎりがとても美味しくて、これからしばらくは自分の家では暮らせないだろうことだけを考えていた。膝の上の弟は重かった。私が守らなくては、とおもった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 生まれたばかりの赤ん坊がいるのに浮気で朝帰りする母親なんてこの世にはいませんよね。赤ん坊は三時間おきにミルクあげなくちゃいけないんですよ。そんな女が妻だったら私だって首絞めますよ。年令設定と…
[良い点] ないです [気になる点] 主人公の設定が4才はありえないです。 その修羅場でおにぎりを出す隣家、さらにはそのおにぎりをおいしいと思う子供 ナイナイ
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