私が不意に幸せを実感するとき
暖かい。
ふわふわとするように温かい。その温かさが気持ちよくてまたうつらうつらする意識が勿体ないように感じて目を見開く。
情事をした後は特に気だるく身じろぐのも億劫になってしまうが私はそれが堪らなく好き。
氷雨様との名残を感じては自分の痴態に悶えてしまいたい思いでいっぱいになる。
「…さ、き…ぁ」
低く掠れた色気ある声に身体は正直になってしまう。グイッと力任せに抱きすくめられて小さな悲鳴をあげてしまいそうになる。
そんなことをしてしまっては氷雨様が傷ついてしまう。
「ふぅ…っ」
広がる真っ白なきめ細かな肌は滑らかでかすかに香る海の匂いが鼻をくすぐる。
愛しさに痛みさえ甘く、酔いしれたくなる。
こんなことを思ってはいけないのに、そう思えば思うほどに私は強く願う。
愛しい私の最愛の人。
貴方以上の人はこの世にもどこにもいない。私にとって無くてはならない人。
私を傷つけることを嫌う貴方は意思とは関係なく私を傷つける。
身体に残る貴方の印。
それに私はうっとりとしてしまう。
私を強く求めてくれた証。これは愛の証。
躊躇いがちに、ぎこちなくなる仕草は私を傷つけたくないから。
見ていて心が温まる。
氷雨様は嘘は言わない。
きっと、つき方すら知らないのではないでしょうか。
「好き、ですよ」
私は氷雨様が好き。
だから、私は貴方のしてくれる全てが愛おしい。
「氷雨様」
私を嫌わないでください。
逞しい腕に抱かれながら思う。貴方から触れられることがどれだけ嬉しいかなど、氷雨様にはわかってもらえない。
触れて傷つけることを知った貴方はすぐに自制した。
貴方を組み敷く私がどれほど恥ずかしくて、はしたないかことなのか貴方は知らない。
でも、とても幸せなのです。
不意に私はそんな当たり前のことを実感しては、幸せの海におぼれる。
氷雨様の元に堕ちていく。
「おやすみなさい、氷雨様」
少しずつ緩む拘束を少しだけ外して腕を回し、広い背中を撫でつける。
子供が出来たならもっと氷雨様を私に近づけさせることが出来るだろうか。
子供が出来たなら私から一時も離れてしまうことがないのではないか。
互いの時間までもどかしい。
でも、人として暮らすには色々なことをしなければ生活は出来ない。
「砂姫」
するりと私にすがりついてきた氷雨様にときめきながら、ほかほかと温かな気持ちと幸せに包まれる。
不意に襲ってきた眠気に身を任せて、私は幸せな夢を見ようと氷雨様にきつくきつく抱きつく。
趣旨が違う気がする。
でも、こんな調子で進みます。




