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泡沫の乙姫  作者: 飛白
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噂話『小綺麗な男』

 最初の印象は小綺麗な男。

 やけに整った顔立ちは冷ややか、知的ではないが冷血さを感じさせる雰囲気だがどこかのお坊ちゃんがおもしろ半分に来たのだろうと思った。


 人形のような造形美がぴくりとも動かないその男の無表情な顔は正直に言うと恐ろしい。


 顔面凶器のような奴より恐ろしいと思うのは見慣れていないからなのか、雰囲気がそうされるのかわからん。


「氷雨様ですね。討伐関連のお仕事でしたら向こうの掲示板と机の上の冊子にあります。腕試しとしてある魔物の証拠部位の提示をなさってください」


 なんて思ってるうちに話は進んでいた。

 初々しい登録窓口は新人の顔を見ずに書類にばかり目を通している。


 ありゃ、後で叱られるかな。

 まあ、あんな男を見たら喋れなくなるだろう。かなりの美丈夫だし。


 どうせ、弱音を吐いてすぐに去っていくだろうと思った。まさか指定された魔物と一緒に明らかに可笑しな危険種指定がいたのだ。


 普通、指定されるのは討伐指定魔物図鑑には載らないのがいた。一緒に同行した奴はもう顔色が悪い。病院抜けたかと思うくらい。


 まあ、あんなのと遭遇するなら手練れが数人は欲しいし、魔法を使う奴も欲しい。というか、たった二人で立ち向かうもんじゃないが、あの男は状態よくではないが、持ってきた。


 その男の名は氷雨。

 かなりの怪力であり、超美人の奥さんがいる幸せな野郎で、ここから離れた場所に住んでいる羨ましいほど仲睦まじい美男美女夫婦だ。


 最初は暴力亭主じゃないかと思われたが、ドジな妻にとっさな力加減の出来ない夫とわかった。

 一緒に来て奥さんの砂姫ちゃんを送り、仕事に向かうが、力加減の出来ていな差が丸わかりで残念な採取であった。


 まあ、数週間もすれば文句のつけようもない。そして、何故だ。何故、危険種を当たり前のように狩ってくることが稀にあるのだろうか。

 確かにいるにはいるが、日帰りでそうそう会える魔物ではない。そうじゃないとここはもう蹂躙されている。


 まあ、それももうみんな悟りを開いたように氷雨なら仕方ない。同じ人間という分類にいれていない。あれはもう特別だ。


 砂姫ちゃんを誰の嫁なのか知らずにちょっかいだそうとした輩はもう欲とは無縁というような、それこそ、聖職者より聖職者らしい人間にまで改善された。


 実際、街のご奉仕活動として無償で人々に救いの手を差しのばしている。あれが以前街のごろつきとは誰も思わないだろうという変貌を遂げている。


 常に無表情な氷雨のご機嫌がわかる砂姫ちゃんくらいだ。こっちは雰囲気が柔らかくなったくらいしかわからない。


 まあ、かなりの愛妻家である。貴族ではないらしい。


 今では氷雨を怒らせないために砂姫ちゃんに絶対手を出してはいけないということを必ず注意することが一つの仕事になった。



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