表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

隣の猫柳君。

明日はきっと、猫好きに。

作者: なつ

この話は「私は当分犬好きで。」の続編と言いますか、シリーズです。

この話だけ読んでも大丈夫だとは思います。

隣の窓際の席で、中原ネズ子がフィシュバーガーを食べている。

風上なので私の所まで魚の良い匂いが届く。


「これが、ネギがカモをしょって来る。と言う現象か・・・・・」

「え ? ねぎが ? 」


私の名前はヤナギ=アルトレオ=ド=モンフォール(以下略)。

通称「猫柳」

今の男子高校生という立場は仮の姿。本当は、頭上に灰色猫耳を頂く異世界人だ。


目下、私の使命は犬好きのネズ子を何としても猫好きにするという事。いや、「猫が好き」という言葉を口にするだけでも良い。

そうすれば異界のゲートを潜る権利が得られるのだ。


ネズ子。魅惑のハムスター似の女。一瞬で私を魅了し、惹きつけて離さない。丸く悩ましい目がキョトっと動くだけで、動悸がする。最初は病気を心配し、循環器外科を受診した。結果は異常無し。

今ならば分かる。これは『恋』と言う物だ。

この私が恋 ? 笑ってしまう。

しかし、ここまで来たら認めない訳にもいかない。

ネズ子の、あの白く細い首に噛み付き振り回したら、あの薄いが柔らかそうな腹を手で押さえつけ舐め回してやったら・・・・・・・そう思うと、口腔内に唾液が溜まる。


「王子、よだれ」

「何 ! 」

私は急ぎ口元に手をやるが何も無い。

「シマ。変な嘘を付くな。それと学校では猫柳と呼べと言っただろう」

「王子こそ。俺の事は、猫島でしょう」


まったく、ああ言えばこう言う。こんな従者連れて来るのではなかった。幼馴染なので、私に対して遠慮の欠片も無い。


「最近、王子変ですよね。もしかして発情期ですか ? お赤飯ですか ? 」

「失敬な。私は発情期なぞ関係なく常に臨戦態勢だ」

「はははははっ、下半身の犯罪は犯さないで下さいね ! 恥ずかしいんで」

「ふんっ ! お前のような、ゆとり教育の猫には到底マネ出来ぬことだろう」

「私と王子、一つしか歳違わないじゃないですか ? それに、マネしたくないです。恥ずかしいんで」


こいつを連れて来たことに、百数回目の後悔をする。



―――――休み時間。


ミッション【32】ネズ子を猫好きにする。を、決行する。

先日の失敗を考えて今度はちゃんと、授業時間外を選んだ。

教室を出てしまったネズ子を追って廊下を早足に急ぐ。渡り廊下の先の一室に入るのが見えた。

―― バンッ ! ――

私はドアを思い切り勢い良く開け、中に居たネズ子と向き合った。


「ネズ子。これを受け取れ」

「 ! ? なっ ! えっ ! ? 」

「美猫写真集だ。お前には少々刺激が強すぎるかも知れんが、これで少しでも『猫』に歩み寄って欲しい」


頭頂部の耳がピンッと、『立った』のが分かった。緊張しているのか ? この私が。


「あっあのあの・・猫柳君 ? ・・・・・ここは駄目だって、それに私はスズコ・・」


またもや否定の言葉。

これならば先日討伐した、やたらと大きいトカゲ(ドラゴン?)の方が容易かった。


お前なぞ、私の胸にやっと届く位の身長しかないくせに。

こんなに小さいくせに。何と手強いことか。

しかし私は諦めん。一国の王子で在り、騎士でも在るこの私に諦めと言う言葉は無い。

( 訳: 私は、かなりしつこい性格です。)


「頼む。感想文を求めたりはしない。だから―――― 」


「だから何だ ? 猫柳。・・・・貴様・・白昼堂々、痴漢行為とは・・(怒)」

後ろに赤い顔をした教師が立っていた。


「何を言っている ? 」

「お前は、ここをどこだと思っている ! 」

チラリと入り口の表札を見た。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女子更衣室」


そう言えば、女どもがキャー、キャー言っておる。


「猫柳、分かっているな・・・・・・・(怒)」

「くっ ! 生活指導室。了解した。・・またもや、ふかくっ ! 」

「どこの武士の人ですか・・・・」

ネズ子よ、私は武士ではない騎士だ。



そんなこんなだが、私は決して諦めない。

「猫が好き」と、必ず言わせてみせる。たとえどんな手を使っても。


ネズ子よ、明日はきっと猫好きに。










長編の方が辛くなって来たのでしょうか?短編の続きばかり考えてしまいます。短編も続けば長編なのに・・・・・あれ?訳分かんなくなって来た?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです!! シリーズで読んでみますね☆ 更新頑張ってください!! 楽しみにして、待ってま~す♪
2012/09/04 20:10 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ