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短編共。

人形師と人形(短編)

作者: 七三

人形師と人形(短編)





朝起きて今日も仕事だとため息をついて

立ち上がった時に気づいた違和感


視線が低い

そして、視界に入る きらきらと光る

銀色の糸と知らない部屋


周りを見渡して、そして自分を見れば

服をきていないらしく

ツルペタな体が見えまして


思わず、二度寝の体勢に入ったのは

まぁ、寝ぼけていた人間の当然の行為と

いえなくもないと思うのだが


そんな私に無情にも現実を突きつけたのが

いま、目の前でみたらし団子を

食べている姿がものすっごく似合わない男


一見、女性のように見えるが

ちゃんとした男

声も中性的で最初分からなかったけど


ええ、ついてましたよ ちゃんと

女だと思ってたから

だまされましたけどね

風呂に入った時に確認してしまいましたよ

不可抗力ですがね


二度寝をしようとした私を起こして

あろうことか私のことを人形だとのたまった男の言葉に

ああ、夢かと思っていたら

いっこうに目が覚める気配もなく


まぁ、いろいろとありましたが

自分が人形の体の中に意識だけが入り込んでいる

という状況に納得せざるを得なくて

人形としては自我があるという事が

最大の問題ということで

納品できるはずもなく


この家で仕方なくやっかいになっているのだが

いかんせん、この外見だといろいろと

不便で仕方ないのだが


「くそぅ、なぜ私は幼児体型の人形の

中に入り込んでしまったんだ・・・」


「まだ言っているのかい?

その姿は可愛らしいと言っているだろう?」


「自画自賛ですか?

というか、ロリコンですか?

幼児体型の人形を作って楽しいですかー?」


「それは偏見と言うものだよ

わたしはね 愛らしいと思うものを作りたいだけで

たまたま、君が入ってしまった人形が

幼い少女の見た目だったということだと

何回も話して聞かせたよね?」


「聞かせられたけど

完成度がハンパないので

疑ってしまうとも何度も言い返しましたよね」


にこにこにこ

互いに笑顔だがブリザードが吹き荒れている

というのが心境なのだが

あながち間違ってはいないだろう


「まったく、強情だね 君は

ほら、そんなことより お茶は用意してくれたのかい?」


「へいへい、ゴシュジンサマ どうぞ」


淹れたてのお茶を渡せば

おいしそうに飲む 目の前の男

こいつが私の意識、いや、魂というのだろうか?

が、入ってしまった人形の制作者で

(人形師という職業らしい)

まぁ、人形である私のゴシュジンサマなわけだ

不服ながら であるけれど


名前は紅椿べにつばき

女みたいな名前だけれど

どうもこの世界では花の名前を付けるのが

普通らしいので

まぁ、そういうものらしい


ちなみに、この世界というのは

まんま私の元居た世界と違うという意味だ


なんたって人形が動くのだ

しかもこの人形というのがカラクリ人形とか

ロボットの人形ではなく

樹を削って作られたものなのだから

不思議なものだ


人形を作るための特別な樹と

人形の核となる特別な石

その二つと 人形師が削り出し

形とともに石に力を込める

そうすれば人形ができるそうで


人形には意志はなく

無表情で言われた通りをこなす

金持ちたちのステータスなのだそうだ


美しく、人の目を楽しませるだけの人形

愛らしく、子の代わりを求められる人形

強く、相手を圧倒し戦う力を持った人形

いろいろな役割を持った人形は

その役割以上の事はできないとも言っていた


だから、私は規格外

外に出せない不良品というやつだ


「そういえば、もともとこの

体、っていうか人形って何のために作られたの?

子供だから 子を亡くした親のためとか?」


「・・・さぁ、どうだろうね」


少し考えるそぶりをした後

帰ってきたのはごまかすかのような返事


「じゃぁ、納品先とか大丈夫なの?」


「大丈夫だよ

君の代わりの人形はもう作り終わっているから」


いつの間に・・・。

私がこの人形に入って・・・

いや、乗り移ってか?

まだ1週間ぐらいだと思うのだが


その間、寝食を不本意ながらともにしてたけれど

そんなそぶりはなかったんだけれど

寝ている間になんだろうか?


「それに、君を売るだなんて

考えられないからね」


そういって微笑む紅(べにつばきって呼ぶのは長いから

べにって呼んでる)は反則だと思う

女のようなきれいな顔をしているけれど

間違いなく男だし

美形に微笑まれるのは悪い気がしないのだから

自分の容姿と使い道をよく分かっていると

思います。


絶対にこいつ、手慣れてる

偏見だろうがなんだろうが

男女問わず美形とはそういうものなのだ

自分の価値をよくわかっているものなのだ!!


「失礼なことを考えていない?」


「イイエマッタク」


「君は嘘がつけないね」


すいませんね、日本人なもので

とは言わないでおく

肯定すれば奴の思うつぼだ


「今日の晩ご飯 なにがいい?」


「今日は冷えるから

鳥の鍋がいいな」


「わかった 財布貸して 買い物行ってくる」


話題を変えるべく今日の晩ご飯の話をすれば

すんなり乗ってくる

悪いわけではないが なんだか悔しい


鳥か・・・丸ごと入れてやろうかな

サムゲターーーン とか言って

あ、でもサムゲタンの作り方知らないや


財布を貸してもらい買い物かごを用意する

見た目はまんま子供と変わらないし

自分は人形ですとは絶対に言うなと

言いつけられているから

それさえ気をつければ 買い物だろうが

遊びに行こうが大丈夫らしい


人形ってどういう位置づけなんだろうねぇ

スターテス以外 知らないから

まぁ、紅が教えてくれないし

あまり難しく考えることではないんだろう


買い物の準備をして

さて、行くかとふすまを開けると


かえで 気をつけて行っておいで」


紅が声をかけてくる

楓とはこの人形の名前だ

私の本来の名前は植物とは無縁の名前だから

名乗るのは控えた方がいいとのことだ

なんだか複雑だがまぁ、人形とばれて

何かやっかいごとに巻き込まれるのは

ごめんなので 保身のために受け入れているけれどね


「行ってきます」


紅は破滅的に家事ができない

だから、不可抗力にしろ

この家にやっかいになっている間は

家事をしようと思っている


いつ、この体からでて

元の自分がいた場所に戻れるかわからないが

掃除も、料理も、洗濯もできない

紅の面倒を見ていよう


ちなみに、いままで同業者のかたが

見かねて掃除に来てたそうだ

三日ほど前に 寒桜かんざくらさんという言う

人が来て 泣きながら

感謝するもんだからどん引きしてしまったが


人を泣かすぐらいに家事ができないって

どういうことよ

と、思わず紅を凝視してしまったっけ


元の生活と比べると

驚きはしたが忙しくないので

なんというか、長期休暇をもらったと

思えばいいだろう


いつ、帰れるのか

いつ、戻れるのか

わからないけれど

まぁ、何事もなく平々凡々に過ごせれば

それでいいやと 結論づけて

さて、さっさと 晩ご飯の材料を

調達しにいきましょうか!



これが私の異世界トリップを

なぜか、してしまった

この先、なにがあるかなんて

考えもつかなったころの話


紅椿が何者で

私がどうなるか


寒桜さんがどういう人で

この世界がどういった世界なのか


そう、なにも知らなかった頃の話

短編ですので、色々とはしょってます。

ご感想いただけたら嬉しいです。

誤字脱字乱文なのは御勘弁ください。


以下は補足となります。


補足


人形に入り込んだ主人公・・・かえで

(本名は不明:年齢は外見年齢(7歳)プラスの年齢)

銀色の髪に白い肌 青い瞳の美幼女人形の中に

なぜか入り込んでしまった(もとい乗り移った?)

人形を造った人形師である紅椿の家の

家事手伝いとして現在生活している

人形は水分のみを受け付け動くが

主人公は食べることもできる

規格外のため 本来納品される場所へ納品されず

別の人形を納品済み

今後、いろいろなことに巻き込まれるやも・・・?



主人公の素体となった人形を作った人形師

・・・紅椿べにつばき(年齢29歳らしい)

人形と同じ 銀色の髪と青い瞳を持った

美女ではなく美男

声も中性的のため最初主人公は女だと思っていた

人形師という職業で、人形を作ることは

超がつく一流だが

家事関連は壊滅的

同業者を泣かすほどの掃除の出来なさだった

いつも笑顔でなにを考えているかわからない節があるものの主人公を大事にはしている。

何のために主人公の素体となる人形を作ったのかは不明



話にでた人・・・寒桜かんざくら

(年齢は現時点では不明)

同業者とのことだが詳しいことは現在不明

紅椿と仲は良いらしい。




人形と人形師の詳しい説明は

今回は省略させていただきます。

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