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始まりのティータイム

今僕は電車の中にいる。


幾度となく電車を乗り換え、今に至る。


あの人に会いに行くために。


今もまだ忘れられないあの人に会いに行くために。


あの人との出会いはそう、中学二年の冬だった。




最近、地球温暖化など関係無いとばかりに

凍りつくような日々が続いていて、それは今日も例外ではなかった。


今はちょうど、部活動に所属している部員達が

帰り終わった時間帯で、グラウンドは静寂に包まれている。


僕はこの時間帯に陸上の自主トレーニングをするのが日課となっていた。


この時間帯はグラウンドに人がいることはほとんど無く、

いたとしても帰り支度の遅くなった人が一人か二人残っている程度なので、

誰かに邪魔をされる心配がないし、何より静かで集中しやすいからだ。


軽いジョギングから始め、ストレッチをし、五~六キロぐらいの距離を走る。


トレーニング中は走ることだけを考える。

残りの距離を考え、どのタイミングでスパートをかけるのか?

足幅は十分か?腕の振りは最小限に。

とにかく、自分の走りのことだけを考えて走る。


走り終わり地面に座り込むと、ふと朝礼台にある人影に気づく。


この時間帯に人がいることは珍しく、つい人影の方を見てしまう。

すると、人影がこっちに近づいて来て、こっちに何か放ってくる。

放られたものが何なのか分からず、一瞬身構えてしまったが、

それは暖かいミルクティーだった。


「お疲れ~。こんな時間に自主練とは努力家だね~。あ、ソレ差し入れね。」


そこには一人の少女が立っていた。


長く綺麗な黒髪に、高めの身長、かなり整った顔立ちで

絵に描いたように綺麗なその姿につい見とれてしまう。


「どうした少年?私に見とれてしまったかい?」


小悪魔のような笑顔でニヤリとした少女が言う。


「見とれてなんかいません。ただこんな時間に人がいることに驚いただけです。」

ぶっきらぼうに言う。


「なんだ少年、素直じゃないなぁ。ところで名前は?」

少女が尋ねる。


「坂上 昴です。そもそもあなた何者なんですか?」


「あたしは井上 美咲。まぁ、ここの卒業生みたいなものかな?

そういえばミルクティーのお礼がまだだけど?」


少女が意地悪く言う。


「ミルクティーって美味しいんですか?僕飲んだことないんですよね。」


すると先輩が長々と語り始める。時間にして約十分・・・。


「ああ、ミルクティーの美味しさを知らないなんて、

なんて悲惨な人生を送ってきたのかしら!!

あの甘みに上品な香りそれから(以下略)

っていうか、いらないなら返しなさいよ!!」


「いいえ、いただきます。」


ふくれっつらな先輩を横目に蓋を開けミルクティーを飲む。


初めて飲んだミルクティーはとても美味しかった。

話を聞かされているうちに、冷えてしまった体をゆっくりと暖めていく。


あまりの美味しさに顔が緩んでいたようで、先輩は満足げな顔をしている。


「ふふふ、これがミルクティーの魔力なのだよ!!」


なんだかとっても、誇らしげな顔をしている。


そんな子供のようにコロコロ表情の変わる先輩を見てつい笑ってしまう。


「何?何で笑ってるの?」


先輩は、なぜ笑っているのか分からないといった様子だ。


「感情表現が豊かだったからですよ。」


あえて、子供っぽいということは言わずにおいた。


先輩はまだ納得できないといった様子だったが、まぁいっか。と、あきらめた。

結構大雑把な性格のようだ。


「ところで、すばるんはいつもあの練習してんの?」


先輩が尋ねる。


「そうですけど?っていうか、すばるんはやめてください。」


なんだよすばるんって・・・・。


「すばるんの種目は?」


呼び方を変える気はさらさらないようで、僕のお願いはガン無視されている。


「三千メートルですけど・・・。」


先輩はなにやら考えこんでいる。

そろそろ声をかけようかと思ったところで、ふいに顔を上げる。


「よしっ!!私がすばるんのコーチになってやろう!!」


いきなり突拍子の無いことを言い始める先輩。


「・・・・は?いやいやいやいやなんで、

僕が会ったばかりの人に指導されなきゃならないんですか?」


すごい勢いでパニくる僕。


「細かいこと気にしてちゃだめだよ!!大物になれないぞ♪」


肩に手を置いてくる先輩。


「ぜんぜん細かくないですから!!それに僕大会近いんでそんな無駄なことしてられません!!」


先輩がずいっと顔を近づけてくる。


「じゃあ、こうしましょう。

もし、私の指導でタイムが上がることがなかったら、

何でもあなたの言うことを聞いてあげる。

そのかわり、タイムに急激な伸びが出たら

あたしの言うことを何でも聞くこと。

これでいい?」


「何にもよくないですから!!」


「文句ばっかり、これだから最近の若者は・・・。」


ため息までついてやがる・・。


「年がほとんど変わらない上に、何も間違ったことは言ってないと思うんですけどねぇ!!」


「おお、現代のすぐキレる若者!!」


「・・・・・・・・・・・。」


もう突っ込むのも疲れてしまった。


「マジで私にまかせてくんないかなぁ?ほんっとに。お願い。」


急に真面目な顔をする先輩。


ずるいと思った。


さっきまであんなにふざけてたのに、

急にこんな真面目な顔をされたら、こっちとしてはたまったもんじゃない。


「・・・はぁ、もう・・・・分かりましたよ・・。勝手にしてください。」


すると先輩はひまわりのような笑顔を浮かべる。


「やった!!ふふふ!!はじめからそういえばいいのよ!!」


むちゃくちゃ喜んでいらっしゃる。


「じゃ、改めてよろしくすばるん!!私のことはマイハニーとでも呼んでくれたまえ!!」


「わかったよ、マイハ二ー。」


軽いノリで言ってみた。


「うわぁ、ほんとに言っちゃったよこの人・・・・。」


なんか全力で引かれたし・・・・。


「軽いノリですよ!!てかもう先輩でいいですよね!!」


完璧に滑って顔が真っ赤な僕。


「んじゃ、よろしくねすばるん!!」


先輩が手を差し出してくる。


「よろしくお願いします、先輩。」


差し出された手を握る僕。


「いきなり手を握るなんて、すばるんはプレイボーイだなぁ。」


「先輩が手を差し出してきたからでしょうが!!!!」


こうして僕と先輩のわけの分からない関係が始まったのだった。





こんなんでほんとに大丈夫なのかなぁ・・・・・。



多少キツくてもいいんでアドバイスもらえるとうれしいです。

友達に注意され、行間直しておきました!!

なんかほんと、すいません・・・。

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