第八話 疑惑
援軍が到着した後すぐに事後処理が行われ
殿を務めたとして双牙には最高ランクの栄誉であるクレイダルの称号を与えられ
俺にはそれより2つランクが下がるフィルアードが与えられた。
そして城に帰ってから姫にシレーヌさんに“収集家”すら知らないと報告され
勉強させられることになった。
「聞いてますか、カイ様。」
「いえ、ぼ~としてました。」
頭をスコンとはたかれる。
「では、もう一度この世には賞金首と呼ばれる人々がいます。
彼らは別にこの国の法を犯したから賞金を懸けられているのではありません。
一流貴族を単独で滅ぼす者。人食い人種、通称カニバルと呼ばれている者たちの王。
スキャンダルを根こそぎ集める者など国では対処しきれないのに賞金をかけるのです。
あなたが出会った収集家はSランクの8人の内の一人です。
それで、その者たちを狩る者たちもいるわけですが、
当然、そんなにぽんぽん溢れるほど賞金首はいないので食いぶちを稼がないといけない。
そういうわけで“ギルド”という組合が産まれました。
当初は薬草探しとかそういう何でも屋だったんですけど、
いつのまにか野党退治に魔物討伐など戦闘的な依頼が国からだされて
今のギルドの形になりました。
それで、死傷者を抑えるためにその人の実力に見合ったランクをつけ、
任務、依頼ごとにもランク付けも行いました。
ギルドは国の人材発掘の場所でもあって、高ランクの人たちは
スカウトされていきます。
そのため一番高いSランクは2人しかいません。
ここまではいいですか?」
「はい。 あぁ、有名な賞金首と賞金稼ぎは誰ですか?」
「それについては、まとめた書類を渡しますので目を通しておいてください。」
そういって、3枚程紙を渡された。
「では、今日はこれで。
あぁ、レヴィア様がお呼びしてましたよ。
なんでも、先日の事件の件で話があるとか。」
面倒だ。
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「で、なぜお前は傷を負ってない?」
開口一番姫に問い詰められる。
「すぐに援軍が来ると奴は察知したので逃げたのです。」
「いいや、それは嘘だ。第一我が会場を出てからかなり経ってから我は戻った。
双牙も既にかなり傷を負っていたし、あれからそこまで戦えないはずだ。
そうなるとお前が収集家に相手取ることになる。
お前が我と模擬戦したことから考えるとお前は殺されなかったとしても
重傷を負ってもおかしくないはずだ。
なのにお前の言うことを信じるなら奴は撤退した。
奴程なら援軍がまだまだ来ないことなど分かっていたはずだ。
なのに奴は自身の快楽である戦闘と首刈を全くせずに撤退した。
これは何故だ?」
「…………」
「答えろ、カイ」
静かにしかし荒々しく再度問いかけてくる。
「……答えぬか。ならば我と再度戦ってもらう。
今度は本気で殺す気でゆくからな。」
そういい自室を荒々しく出ていく。
部屋に残されたのは俺一人だった。