第四話 試験
とりあえず俺が付き人をする姫君に関しての情報を集めた。
曰く
姫君の名はレヴィア・A・ルナゼリア、皇位継承権第3位
姫君は17才である
姫君は金髪碧眼の美女である
姫君は能力が非常に高い
その3点だけのみしか聞けなかった。
もう少し突っ込んンだ質問をしようとしても顔を青ざめすぐににげてしまうし。
まぁ、大丈夫だろう……たぶん。
なんやかんやで初顔合わせの日がやってきた。
これまでの間に付き人としての技能をなんとか詰め込んだ。
ていうか、仮にも貴族の子息に、しかも直系に付き人やらすとか
能力的にも面子的にも駄目だろ。
などとグダグダ考えているうちにどうやら来なさったようだ。
「姫様のお成~り~」
騎士の声と共に人が入ってくるのを感じる。
「そなたが我の新しい付き人か、
面を上げろ。」
その声と共に顔を上げる。
目に入るは美しい金の髪と吸い込まれるような碧い瞳をもつ絶世の美女だ。
思わずため息が出そうになるが、押しとどめ名乗る。
「姫様の付き人となりました
カイ・L・レヴィナルグです。お見知りおきを。」
そう言い必死に練習した恭しい礼をする。
「別に見知り置きなんてしない。
貴族の子弟如きが我と打つ合えるとは思わないしな。」
「意味がよくわからないのですが。」
「あぁ、知らないのか、我の付き人をするにはまず我の剣を
受け切れることが条件だ。」
不敵ともいえる笑みを浮かべそう美姫は言い放った。
その後、姫の側にいた騎士にどういうことか聞いてみたら
曰くとても武勇に優れその名は他国にまで、
“帝剣”の名で知れ渡っているらしい。
その一撃は相手を鎧ごと叩っ斬るほどの威力らしい。
かつての英雄たちが担ったといわれる宝剣の中でも
一際素晴らしい12本に与えられる覇天剣の内の一本“グラム”
を扱うらしい。
勝つのは難しいが一撃を受け切るならなんとかなるだろう。
試験?の日がやってきた。
一合だけ受け切ればいいから実力を見せなくて済むだろう。
一応、自身の実力も手札として隠しておきたい。
どうやら姫もきたようだ。
「ほう、逃げると思っていたがちゃんと来たか。
よほど自身があるのか、それとも我が嘗められているのか
どちらにしろ我は一撃を振るうのみ……死ぬなよ。」
そう言い自身の得物を抜き放つ。
その得物は畏怖すら感じられる波動を放つ巨剣だった。
「では、行くぞ!!!」
声と共に一気にこちらに踏み込んでくる。
本来なら間合いを詰められる側ではないし、今回は
間違いなく覇天剣より格が高い“天焔”を使うわけにはいかない。
状態は最善とは言えない。
だが、最悪でもない!
覚悟を決め受けの構えをとる。
「はあああああああああ。」
気合いの声と共に姫が巨剣を打ちおろす。
そして、甲高い金属音と共に巨剣と剣が重なり合う。
重い……だが受け切れる!
そう思った瞬間、さらに重みが増す!
巨剣が青く輝いているのだ。
これが、覇天剣か
だが、まだ限界ではない
カイの足元が陥没していくと共に
だんだん巨剣の勢いを失ってくる。
そして、完全に止まる。
思わず口元に笑みが浮かぶ。
目の前の姫を見ると、驚きと嬉しさが混じったような顔をしていた。
そして
「合格だな。」
その一言をいただいた。