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【完結】政略婚の向こう側〜この二人どうなるの〜  作者: かんあずき


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42 雪山を抑えて王国を奪還せよ

歴史になぞらえると、中世貴族だと14歳ぐらいで結婚はあるようなので、当初のヴィオラの設定を15歳にしましたが、文芸と恋愛ジャンルのどちらにしようか決めかねていて、初夜の儀の年齢を16歳に変更しました。そのため歳が一つ上がってますのでご了承ください。

南部の山脈は、さすがにヴァルトシュタイン兵が多く陣取っていた。

雪も積もり始めた戦いは、ただ歩みを遅くするだけではなかった。

少し進んだだけなのにとんでもない疲労感がある。

休みを入れないと、兵の凍傷や飢えにも直結する。


「雪や山に慣れた地元の山岳民に、奪還できたら、山岳部族の自治権と引き換えにするのを条件に、南部の山道を閉鎖してもらってはどうか?」


ゼノスの提案にエドガーも、アルフレードも頷く。


この戦いを終わらせるのは、侵略ではなく、小国も大国も部族も同盟や一つの連邦国家として協力し合わないと、未来永劫戦いが続いてしまう。


俺がグリモワールの王になった時には、オリヴィアンのヴィオラ女王と対等に付き合いたいと考えていた。

だから、山の民が、山を大切にしながら一つの自治領を作り、自治権を持ち対等に付き合うのは、未来に進む第一歩ではないか。


山岳民が協力してくれると、一気にこちらが優勢になる。

ヴァルトシュタイン兵も、山に慣れているわけではない。

南部も中北部と同じように山道を一つずつ潰すしかなかったが、なんとか南部も兵を倒しながら制御できそうだった。


山脈の中部、北部の道と橋はもう破壊済みだ。

これで山からの侵入はほぼ不可能。

そして南部の山脈も制圧しつつある。


オリヴィアンを経由しない限り、敵兵はグリモワールには入れない。

そのオリヴィアンも今は雪深くなり天然の盾に阻まれてヴァルトシュタインは越えられないはずだ。

空を見上げると雪が降り始めていた。

俺は十九歳、ヴィオラは十七歳になった。


ーーー


「ヴィオラ……どうしているだろうな」


剣の訓練かな?

それとも帝王学を学んでいるのか?

また、女だてらにと馬鹿にされて涙を1人でこぼしてないだろうか?


そしてもう一つ気になっているのは...結婚して、10日ほどしか過ごしてないけど、妊娠は...してないか?


人というのは、自分の命の危機を感じたら、あんなに生きた証を残そうとする欲求が高まるものなのだろうか。

アルフレードはあのときの自分の感情を思い出す。


ヴィオラには、愛はあるとはいえ、閨の知識も偏っていて可哀想なことをしてしまったと後悔していた。

平和な状況ならもっとゆっくりお互いの関係を進めてあげられたんだろうな。


ため息をつく。

女性にとって一番大切な思い出になるはずなのにな。


王都の戦場を眺める。

戦は大規模にはならないが、あちこちで小競り合いは絶えない。

南部奪還を目指すが、大変なのは山だけではなかった。

王都の道という道を潰されていて進めない。

時間ばかりが過ぎていった。


だが、ようやく山も封鎖して、ヴァルトシュタイン兵が中北部に入っていないことを確認すると、兵は南部の王都に向けて前進する。


だがそれでも、南部の奪還は順調に進まない。

どんなに兵を投入しても入れる道という道がつぶされると、渋滞が起きてしまう。


王都の主要道路は全て潰されていた。

さらに、目を覆う惨状ばかりが広がっていた。


――焼き払われた街。

倒れたまま放置された遺体。

悪臭と疫病の恐怖。


「これ、本当に王都ですか?何考えてるんだ?破壊だけ繰り返して、街を破滅させようとしてるじゃないか!」


俺たちに勝って、自分たちが治めるつもりは本当にあるのか?

俺には、ただの破壊と狂気にしか見えない。



更に、敵の兵は火炎瓶を投げる。

兵を袋小路に追い込んで油を撒き、火を放つ。

その放つ行為に抵抗がない。

破壊と殺戮のための行動なのだ。


王都は細い道が多い。

大通りを潰されれば抜け道は限られる。だから動く兵も、その抜け道にまるで山道に誘い込まれているように進んでしまう。

そして、その兵を狙い、そこからまた火と煙が上がる。


だが、高い建物が多いのも王都の特徴だ。

慣れてきた俺は弓兵を屋上に配置し、火を放たれる前に敵を射抜けと命じた。


それでも――もう目に映る景色は「王都」とは呼べない。

他の都市のほうがまだ街らしい。


「ひどいな」


俺は顔をしかめた。

それにしても、なぜヴァルトシュタインは南部を攻めた?


「ヴァルターを傀儡にするにしても、あいつの能力を考えても、この壊滅的な都市を再建できるはずがないだろうに」


自分が奪還できても、これを復興させて、ヴィオラのもとに戻れるのは年単位先かと思うと、胸が重くなる。


……父を廃すことが目的だったのか?

だとしても、母とヴァルターはまるで――自ら死地に飛び込んだようじゃないか。


「祖父上、ゼノス先生……俺には、王妃と弟が自害を覚悟したようにしか見えません」


燃え上がる王都を前に、俺はただ困惑していた。

冬の乾いた風は火を煽り、細い路地を次々と炎が呑み込んでいく。


結局、火を消し、逃げ遅れた民を保護しながら進むしかない。

だが――王城はもう、目と鼻の先だ。


だがその王城を遠目にみて、俺は思わず息を呑んだ


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