35 純潔の証と軍備会議
当たり前のように今夜から同じ部屋で一緒に過ごす。
今夜は薔薇も舞っていない。
自分の部屋の風呂も準備こそされているが、ご自分でどうぞご勝手に洗ってくださいの通常運転。
それにほっとする。
ヴィオラも、風呂上がりでもいつもの化粧なしの顔だった。
「侍女には昨日と同じような感じで塗り込まれそうになったんだけど...スッピンだと興奮しないって思われるのは悔しいというか、負けた気持ちになるじゃない」
ヴィオラが頬を膨らませるのが可愛くて、アルフレードがくすくす笑うとさらにヴィオラは更に目を三角にして怒る
「俺にとっては昨日は綺麗なヴィオラで、今日は可愛いヴィオラで...興奮は同じかな?でも、正直いうと、普段通りがいいな。作った香りよりヴィオラの香りがいい」
ヴィオラの体の負担を考えると無理強いはしたくないが、一度理性の蓋をとってしまえば、俺は普通に健康な年頃の男だ。
あの海軍の耳年増訓練が、随所に活かされていく。
そのまま、唇を重ね、本能のまま動いてしまう。
そして、彼女に触れながら唇を様々な角度から味わえば...
「……んっ」
漏れる吐息と共に体がびくりとはねた。
「アルフレード……っ」
名前を呼ばれるたびに、理性が飛んでいく。
今夜もなかなか眠れない夜になるのは最初からわかっていた。
※※※
「そういえば、グリモワールに戻る日までは会議以外は二人で過ごしたらいいって。」
熱を冷ましながら、アルフレードは腕でまどろむヴィオラに声をかける
「お父様、腹括りすぎだわ。」
ヴィオラが王にそう望んでいたにも関わらず、ぐったりしてアルフレードに文句を言う。
「会議の前には歩ける状態には戻せるようにしないとね」
アルフレードはニヤッと笑う。
それは歩けないぐらいにはするという宣戦布告なわけで...
「アルフレード、子供は欲しいわ。でも数打てば当たるわけじゃないと思うの」
ヴィオラはたじたじとなる。
思った以上に、昼のヴィオラに見せる優しさと異なり、夜のアルフレードは激しい。
「あれ?ヴィオラにしては珍しく負け宣言?」
アルフレードがわざと煽る。ヴィオラは真っ赤になる。
「そ、そんなわけないでしょ!!打たれたら打ち返すに決まってるじゃない!!」
言って、「あっ!!しまった!!」とヴィオラは焦るが、すでにアルフレードの手の内だ。
ヴィオラの意識は、そのまま遠くへ沈んでいく。
ヴィオラが軍備会議に出席することは出来なかったのである。
ーーー
軍備会議では、純潔の証が示されたことでアルフレードが正式にヴィオラと結婚が成立したことが知れ渡っていた。
よって、ヴィオラが本日欠席なのは...そう言う理由かとなんとなく察する。
ただ、アルフレードは冷や汗をかいていた。
やっと出会えたヘルマン提督に、水夫の耳年増訓練はどこまでがノーマルか?こっそり聞いたところ...
「お前、それはダメだ。あり得ない!しかも姫、初めてだろう」
と顔を真っ青にされてしまった。
提督の顔色が青ざめた時点で、俺はやりすぎたと悟った。……詳細は墓場まで持っていこうと思う。
アルフレードがその日からヴィオラに謝り倒しだったのは言うまでもない。
軍備会議にて、元軍師のゼノスとアルフレードがオリヴィアンの王族である証として近衛兵を派遣することが承認され、祖父エドガーに書面が送られる。
戦いの日が、刻一刻と近づいていた。




