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【完結】政略婚の向こう側〜この二人どうなるの〜  作者: かんあずき


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33 初夜の誓い

食後、部屋に戻ると、すでに侍女たちが支度に取りかかっていた。

薔薇の香りが満ちた部屋に足を踏み入れただけで、胸がざわつく。


――アルフレードの、あの目を白黒させていた顔。

ふふっ、私の勝ちね。


そう思った瞬間、なぜか涙がにじむ。


ひどい。

相談もなしに、勝手にグリモワールへ行くと決めるなんて。

私のことを想ってくれているのはわかってる。

だけど――どんな気持ちで一人で決めたの?


私と別れて、他の誰かと結婚するなんて平気なの?

私も……あなたと別れて、次の相手とこんな夜を過ごせると思うの?


湯に身を沈める。

髪も肌も爪の先まで侍女の手で磨かれていく。


いつもと違い、髪をおろし、薄化粧に紅をひく。

「ヴィオラ様、お綺麗です」

「……ありがとう」


思い出でも、刻まれた痕でもいい。

消えない繋がりが欲しい。


けれど、体が透けるほど薄い絹の寝衣に袖を通した瞬間、思わず息が詰まった。


……怖い。

でも、もう引き返せない。

いや、引き返されても困る。


侍女たちが下がると、薔薇の花びらが撒かれた寝台が視界に入った。

いつもの部屋なのに、まるで知らない場所のようで、足が震えそうになる。


アルフレードは、抵抗してたけど...

望んでくれるだろうか?


ーーー


アルフレードも、ヴィオラの部屋の前に立ち、軽く深呼吸した。


もう覚悟を決めるしかない。

女の子が、しかも自分の親に直談判して、わざわざ俺のために、自分の価値を貶める選択をする。


ただ、セバスティアン王気づいているんだろうか?

俺、閨教育は受けてないんだけど。


ただ、知識は相当ある。

あの水夫たちによる海軍の耳年増訓練で、とんでもなくある。


問題は、姫にそれをしてもいいのか?


というか、どこまでがノーマルかわからない。

後でお叱りを受けなきゃいいんだけど...


せめて提督に会いたかった。

そうすればどこまでがノーマルか聞けたのに。

ああ、なんで初夜のここで思い出す顔が提督なんだよ!!


木製の冷たいドアをノックすると「はい」と返事があった。

部屋を開けた瞬間、いつもと違う香りに包まれて...


(な、なんか恥ずかしい)


香りが外に逃げないように、急いで部屋に入り閉める。

そこには、いつもと違うヴィオラがいた。


「あ、え、あ、あの。ヴィオラ??」

いつもと違う。

化粧をした綺麗な女性らしいヴィオラ

そして、その服の下に思わず目が目がいき、視線を逸らす。


「あの、今ならやめたっていって戻ることもできるぞ。俺は君以外と結婚する気はない。君とオリヴィアンを守るために、他の人と結婚するなんて本末転倒だからな。

だけど、君は違う。別の人と結ばれても、ヴィオラが幸せになれるんなら俺は...」


「....ふざけないで!」


ヴィオラは涙を流してアルフレードを睨みつけた。


「どうして、私が他の人と結婚して幸せになれるの?こんな部屋に、あなた以外の好きでもない男の人と過ごすことが私の幸せ?あなたは本当に私をなんだと思っているの?」


アルフレードは苦しそうにヴィオラに近づく。


「言いはずがない。

ヴィオラのこの格好をこんな部屋で別の奴に見せて?平気なわけないよ。ヴィオラがそれで幸せであっても、俺は平気じゃない。だって、ヴィオラが好きだから諦めようとしたんだ。グリモワールにもどるって...」


アルフレードはヴィオラの体に手をかけた。 

流す涙が止まらなかった。

俺たちが何をしたっていうんだ?置かれた運命から逃げずに、お互い頑張ってきただけなのに...


アルフレードは自身も涙を流しながらも、ヴィオラの涙を指で拭う。

そして、そのままヴィオラの頬に手を添えた。


アルフレードもガウンを脱ぎ、寝衣のみとなるが、その薄さから、お互いの熱を感じてしばらく抱きしめあう。


「嫌だ。君を離したくない。だってヴィオラは俺の奥さんだろ。他のやつにも渡したくない」

涙で声が掠れ、抱きしめる腕に力が入る。


「アルフレードは私の夫でしょ。初めて会った日にそう決めたんだもの」

ヴィオラは震えが止まっていた。むしろ抱きしめられてほっとしていた。


そのまま、唇が重なり深く絡み合っていく。

アルフレードの指が、髪から耳、頬と触れていき、息もできないほど長く味わっていき、やがてそれは首筋へと達していった。


ヴィオラも抱きしめ返し、頬を紅潮させながらアルフレードの髪に触れた。


「ヴィオラ……」

何度も何度も愛おしそうにアルフレードが名前を呼ぶ。


「アルフレード...」


私はここにいる。

そう感じてもらえるようにヴィオラは背中に手を回す。


そのまま、ゆっくり寝台の端に押し倒すような形になり、シーツの上の花びらが舞った。


「……本当に、いいね。もうやめないけど」

アルフレードはヴィオラのこめかみに口づけしながら微笑んだ。

最後のやめない確認に、ヴィオラも思わず笑ってしまい頷く。


その姿を確認すると同時に、アルフレードは眼帯を外し、同時に理性の仮面もとった。


お互いに絡みあう熱

震える吐息。

抱きしめ合いながら求め合う

互いの胸の音が聞こえる


「愛している」 

「私もよ」


こうして夜は、静かに情熱的に更けていく。

抱きしめあいながら眠りに落ちる。

約束できない未来に向けて心も体も通じ合った夜だった。


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