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【完結】政略婚の向こう側〜この二人どうなるの〜  作者: かんあずき


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179 封じられた真実

ルシアンは困ったように語った。


「ヴァルター様は、ずっと王城で過ごしていたためか、観察眼に優れているのです。自分に関心をもつ侍女を見抜く力もあるし、二股をかけて使用人と交際をしている侍従を脅したりして城外にとにかく出ようとしていたようです。」


あのヴァルターが??

ひ弱で、誰かを口説いたり、脅す姿は想像できない。

エドガーも目を見開いて呆気に取られている。


「そこまでして、な、なんで父に会いに行ったんだ」

アルフレードは動揺する。


「実際に会えたのは、たった一度です。当時十三歳だったヴァルター様は、囲われていて情報統制されていたにも関わらず、エドガー様とフェリックス様が緊張状態にあることを嗅ぎつけらたようです。」


ルシアンはため息をつく。

当時のことを思い出しているのだろう。

苦しそうな顔をする。


「ある日、フェリックス様に国内で起こっていることや自分が学ばないといけないことを教えてほしいとやってきたのです。キラキラとした純粋な目をしておられました。」


エドガーとアルフレードは、思わず顔を見合わせる。

あんなに勉強嫌いなのに??


「丁度別宅にいた私は理由を聞きました。ヴァルター様は、アンジェリカ王妃の教育に疑問を感じているので、父から学びがうけたいと言われました。それを聞き、嬉しくなり思わずフェリックス様にお通ししてしまったのです。

ですが、フェリックス様はお酒を昼から飲んでおられ、それなら邪魔者を消す方法を教えてやると言い出したのです。そして、アルフレード様になさったことや家臣を消した話を私とヴァルター様の前でなさいました」


アルフレードはぞっとする。

城で囲われた子供が、学びたいと父を頼ってきたのに、家臣を消し、兄や祖父を害そうとした話をするなんて!!


エドガーも動揺する。

「そ、それでヴァルターは??」


ルシアンは辛そうに顔を顰めた。


「それが......怒ってフェリックス様に飛びかかっていったのですよ。アルフレードになんてことをしたんだといって。ですが、十三歳の少年が酒を飲んでいるとはいえ大の男に叶うわけもありません。」


そして、今でも思い出したくないというふうに目を閉じて首を振った。


「ヴァルター様の首を絞めながら、お前が望んでいたことだ、お前の代わりにアルフレードを害してやったんだ、アルフレードに敵わないお前なんて誰も見向きもしないと。

でも、王である自分はいつでもアルフレードのようにお前を追い出せるし、殺せる。自分に逆らわなければ、グリモワールの次の王はお前にしてやると。私は慌てて引き剥がしました。そして、王城につれて帰り、首を絞められた跡は侍従に必ず隠すように言い伝えました。アンジェリカ王妃に伝わったら大変なことですから」


アルフレードはガツンと衝撃を受ける。

俺だけじゃない。エドガーも呆然としていた。


「で、でもそれでも、何度も別宅に通ったんだよな」


ルシアンは困ったように頷く。


「ええ、ヴァルター様はアルフレード様が片目を潰されたことが許せなかったのですよ。お怒りでした。結局十六歳になり、戦争が起こる直前まで何度も別宅にきたのです。

でも、実際に首を絞められた体験や家臣が消されたこと、アルフレード様が受けた仕打ちを思うと恐怖だったのでしょうね。屋敷まではきても、体が震えて、結局、その後フェリックス様に会う勇気は出なかったのです。

わたしも、次は命の危険があると思って、将来グリモワールの王になるまで我慢するように、知ったことは外に出したら殺されると伝え、城のものにも、ここに来させないように何度も伝えました。

ヴァルター様がアンジェリカ王妃からもフェリックス様から逃れて生きる道は、逆らわずいつか王の権力を持つこと以外方法がなかったのです。

わたしは、知り得た秘密が重すぎて、フェリックス様の元から離れることが出来ませんでした。」


アルフレードは泣きそうになった。

俺は、あいつを馬鹿にした

あいつを守らなかった。

でも、あいつは俺のために城を抜け出して、恐怖と戦いながら父に抗議しようとしたのだ。


なぜ、クレア王妃のヴァルトシュタインの王にしてくれるという話に飛びついたのかもわかる気がした。


(ヴァルトシュタインに渡ったあと、ジュリアン王から自分の身を守るのは、王になる以外の道はないのだと思い込んだのか...)


エドガーは信じられないことを聞いたような顔をした。

「お前、なんで早くそれを...」


「フェリックス王が亡くなり、アルフレード様のことはアンジェリカ王妃がやったこととされました。ヴァルター様も国内にはおられませんでした。このまま闇に葬るほうが国のためになるのだろうと...わたしは目を瞑りました」


ルシアンは膝の上に握りしめた震えた拳を置いた状態で泣き崩れた。それは、彼の贖罪だった。


アルフレードは口を開いた。

「もう、全ての真実を国民に知ってもらいましょう。母が父を殺した理由も。ヴァルターが父から脅され、母から虐待を受けていたことを。そして、ヴァルトシュタインで母がジュリアンに殺されたことも。」


三人は頷いた。

それからまもなく、王城や、枢密院で真実が公開された。

ここから、国民にその話は広がり、アンジェリカ王妃が悲劇の母、ヴァルターは悲劇の王子として認識が改められることになったのだった。

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