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【完結】政略婚の向こう側〜この二人どうなるの〜  作者: かんあずき


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147 ヴァレンティア王の決断

ヴァレンティア王国のレオポルト王は、悩んでいた。

グリモワール王エドガーから

「三国同盟を結び、将来的には連邦制を――」

という提案が届いたのだ。


悪くない話だ。いや、むしろ願ってもない。

だが、簡単にうなずくわけにもいかない。

三国と連邦制という部分に問題がある。



ヴァレンティアの南には、いつ攻めてきてもおかしくない脅威――ヴァルトシュタイン王国がある。


しかも最悪なことに、ヴァルトシュタインはグリモワールとも、オリヴィアンとも婚姻同盟を結んでいる。

唯一、同盟を結んでいないのが、我が国ヴァレンティア。

そして、地図を見ればわかる。ヴァルトシュタインの北側にべったりと隣接している。


「どう考えても、最初に攻められるのはうちだよな……」


みんなそう思っていただろう。

だが、まさかの事態が起きる。


――グリモワール侵略。


ヴァルトシュタインの新王が、何を思ったのか突如として自分の妹の嫁いだグリモワールへ侵攻した。

その混乱のさなか、隣国オリヴィアンのセバスティアン王から同盟の打診が届いたのだ。


だが、父で前王のレオニードは激怒した。


「オリヴィアンと同盟を結ぶぐらいなら、ヴァルトシュタインに白旗を上げる方がましだ!

絶対にセバスティアンの野郎の言うことなんて聞くな!」


その怒りには、個人的な恨みがこもっていた。



ーー


レオポルトの姉・シャーロットは、かつてセバスティアン王との婚約が決まっていた。

半月後に結婚を控え、幸せそうに準備を進めていた――あの日までは。


だが突然、オリヴィアン王家のセバスティアン王は「婚約を破棄する」と通達してきた。

しかもその理由が最悪だった。


「ヴァルトシュタインの二の姫リリスと結婚することにした」


つまり、他の姫に乗り換えたというのだ。


「なんという恥辱だ……!」


父レオニードは激怒した。泣き崩れる姉や塞ぎ込む母。以来、食卓でも寝室でも恨み節のその話ばかり。その内、オリヴィアンという単語を聞かせないようするぐらいだった。


「約束を破っておいて、悪びれもせん!

政略結婚で顔も合わせたことがないから構わないでしょう?だと!人の心をなんだと思っている!」


怒りも無理はなかった。

ヴァレンティアはこれまで、オリヴィアンを経済・軍事両面で支えてきたのだ。

オリヴィアンは、かつてはグリモワールのエドガー王が侵略を繰り返しており危険な状態にあった。


前王が落馬事故で急死し、若くして王となったセバスティアンは、婚約破棄当時、母である元王妃に操られていた――そう同情する声もあった。

だが、そうはいっても王である。元王妃はその後病死したが、その時の自分の招いた行動の重さを、最後まで理解してなかったのだろう。


自分の妻はヴァルトシュタインのニノ姫だし、自分の娘とグリモワールの王子が婚姻同盟を結んで安泰だと、ヴァレンティアなら喜んで同盟を結ぶと舐めてかかっていたのかもしれない。


そのセバスティアン王とリリス王妃は、結局、ヴァルトシュタインの侵攻で戦死した。


あの時ヴァレンティアが同盟を結べば亡くならなかったかもしれない。


だが、父の怒りとは別に、簡単に約束を破棄した国、破棄した人間と同盟は結べないと私が判断したのだ。


だが、今回は事情が異なる。


「三国同盟……か」


レオポルトは深く息を吐いた。

父の言葉を無視してでも、次はグリモワールと、そしてオリヴィアンの新王と手を結ぶべきだと思う。

このままでは、次に狙われるのは確実にヴァレンティアだ。

グリモワールもオリヴィアンも侵略されても、奪還したのだから。


「……問題は、父上をどう説得するかだな」


一方で、姉のシャーロットは今は娘に恵まれて、穏やかに暮らしていた。

婚約破棄で傷物と嘲られ、閉じこもっていた姉を救ったのは、姉の護衛のカインだった。


彼は名門騎士家の長男。

地位も誇りもある男が、傷ついた姉に


「姫は、素晴らしい方です。俺は……その笑顔を、もう一度見たい」


そういい、外の世界に連れ出した。

最初は庭園、城下町、市場、海...ヴァレンティアの素晴らしい活気のある世界をたくさん見せた。

その優しさが、姉の心を溶かし、やがて二人は惹かれ合い、父もついに観念して婚姻を許した。


そのカインは今や、騎士団長だ。


「連邦となると、軍の管理や権限はグリモワールが持つということでしょうか?」


「最終的にはそうなるのかな。グリモワールの第一王子が、戦争に力を取られるのではなく、その力は国民に注ぐべきと考えているらしい」


「まだ二十歳の若き獅子だと噂されてますね。ヴァルトシュタインを跳ね除けて、グリモワールの次期王で、オリヴィアンの王配でしたね。」


「若すぎる甘言だと思うかい?」


レオポルトはカインを見る。


「いえ、連邦国になったらお手合わせいただきたいです」


カインは、剣術バカだったな。

レオポルトは苦笑いする。

連邦となると、みんなで一つの国になるとはいえ、大国に事実上従属するようなものだ。

将来的に...というなら、連邦制は様子見だな。


「三国同盟までは結んで、その後はアルフレード殿の見極めかな」

レオポルトはつぶやいた。
















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