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【完結】政略婚の向こう側〜この二人どうなるの〜  作者: かんあずき


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142/191

142 旗を掲げ、祖国へ

ヴィオラとアルフレード、そしてヘルマンの三人は馬にまたがり、まさに今、グリモワールと元オリヴィアンの国境に立った。前には海軍兵もいる。


ヴィオラは兜は被らない。

未来の王の役目は、旗を振り、みんなを、国民を鼓舞することーー


アルフレードとヘルマンも私を挟み、オリヴィアン国旗をもつ。


アルフレードの胸には、アンジェリカの血に染まった布が、ヴィオラの首にはアンジェリカからもらった護符のネックレスが、ヘルマンの腕には、アンジェリカからのHと入った刺繍入りのハンカチが結ばれていた。


そしてセバスティアン王からの最後の手紙をそれぞれ胸に入れて、オリヴィアンを前にする。


他の海軍兵も、少し小さいオリヴィアン国旗を馬具にとりつける。

ヴァルトシュタイン兵が、進軍に合わせ、慌てて動くのが見える。


そこに大きな角笛を鳴らす

空に響くようにーー

私ヴィオラと夫のアルフレードが戻ってきた合図をオリヴィアンの国民に伝える。


すると、前もって海軍兵がリチャード副団長に連絡を紛れ込ませていた甲斐があり、オリヴィアンからも大きな教会の鐘の音が一斉に響き始めた。これは国民への連絡だ。


「私はオリヴィアン国の王、ヴィオラーーヴァルトシュタインからの解放のため今ここに戻ってきた。私とヴァルトシュタインから共に祖国をとりもどそうじゃないか!!」


大きな旗を振り、わたしは進軍する。

一斉に国境は越えられ、元オリヴィアンの兵は、待ってましたといわんばかりに、そばにいたヴァルトシュタイン兵を攻撃しはじめる。


すでに雪解けで、城門は開いている。

城門の中からも出てきて、どんどん国民の加勢が増えていく。


鐘の音は鳴り続ける。

戦がーー奪還が始まったのだと誰にでもわかる。


グリモワールの弓になれた兵士たちが、どんどんヴァルトシュタイン兵の弓兵を落としていく。そして、オリヴィアンの兵士たちもみんなで、ヴァルトシュタイン兵を攻撃して走る。


さらに、ヴァルトシュタインがこれ以上、侵入して来れないようにかつてのオリヴィアンとヴァルトシュタインの国境線の間に、グリモワールの兵が固めていく。


だが...


「ヴァルトシュタイン兵がここの城の兵を助けに来る感じはほとんどないです。むしろ進軍されないように防御のみです。おそらく北部の兵が少ないか奪還想定の動き方の指示が決まってないのでしょう。」


リュカは兵からの報告をヴィオラに伝えた。

ヴィオラは頷く


後ろからの攻撃がないなら、後は進むのみーー


旗を持ち、城門に向かって進むと、かつて戦場だった防衛線にでてくる。

あれから1年半以上経ったのに、周辺は、矢を受けた跡や燃えた跡、まばらに生えた草など今もその名残がのこっている。


「みんな、やっと戻ってきたわ。力を貸して」


そこに眠ったであろう人たちに声をかける。

その声に、アルフレードやヘルマンも頷き前を向く。


「これから城門を抜けて、王城まで進みます。みんなよろしくお願いします」


ヴィオラは背筋を伸ばす。

重い鎧は、思ったようには動けないが、度重なる訓練でやっと自分をまもり共に戦う道具として愛着が湧いてきた。


城門の先には細い煙が見える。

誰かが火をつけたのかもしれない。

怒鳴り声、歓喜の声ーー響き始める。

すでに、血の匂いが漂い、投降する兵も出てきた。


「敵意のない兵は確保の上1箇所に。危害は加えないように」


ヴィオラが伝えると、投降する兵が一気に増える。

すでに指示系統がしっかりしていないことを確認しているので、彼らも誰のためになんのために闘うのか目的が見えないのだ。


一方で逃げ場もなく、最後は自爆するように火を放つ兵もいる。焼ける家や物を急いで消火しようとする動きもある。


だが、それらを抜け、城門の前で再度、角笛を響き渡らせるとみんなの歓喜に満ちた声が大きくなった。


そして、用意したオリヴィアンの旗を兵たちが民衆に投げると一斉にそれを持ち始める。


「ヴィオラ様!広場は制圧です!!」

「城門周辺、内部の橋はすべて抑えました」


どんどん戦況報告が上がり始める。

国民は血に染まるものもいて、ヴィオラも防ぎきれない矢を一本浴びていた。だが、訓練の賜物で鎧が跳ね除けてくれる。


「アルフレード、その右の脇道を抑えてくれ!俺は左を行く。」


ずっとついてくれていたヘルマンとアルフレードがそれぞれ大きな脇道でそれぞれ旗を預けて剣に持ち替える。


激しい剣の応酬を受け、剣から火花が散る。

どんどん相手の兵を倒していく。

飛ぶ矢を盾で庇いながら、鎧にあたる音に怯まず進んでいく。その勢いに、国民も加勢し始める。


「右は制圧完了。」

「左も制圧した!」


その声を聞き安心してヴィオラも正面を進み抜ける。


だが、他の兵が、ヴァルトシュタイン兵を剣で斬りつける間に、飛ぶ矢が旗を持つヴィオラの肘に突き刺さる。


「うっ...」


旗を落とすことはできない!

流れる血を無視して進む。

その流れる血に気づいた兵たちで、ヴィオラを守る。


「大丈夫ですか??」

ヴィオラは、痛みを我慢して頷く。


あと少しだーーあと少しでオリヴィアンが戻る

この旗は絶対落とせないーー


すでにヴァルトシュタイン兵を探す方が大変なぐらいだ。

国民がみんな配られた旗と共にヴィオラと行進し始めた。


「ヴィオラ様が戻られた!!」

「ヴィオラ姫が!!」

「アルフレード様も!」

「ヘルマン殿もいるぞ!」


王城につくと、門が破られる。

中から、武器を捨てた顔を知った人たちが一斉に喜びに飛び出てくる。


ヴィオラは、馬からおり、みんなに手を伸ばした。


「待たせたわ!オリヴィアン奪還よ」


アルフレードとヘルマンも駆け寄る。

がーー


「ヴィオラ、出血が!」


腕から血が滴り落ちていた。

みんなが慌てて、布で縛りつける。


「ちょうど曲がるところが...隙間があって矢が入っちゃったみたい」


ヴィオラはアルフレードの叫び声をきいて、腕を見る。

認識したより、出血量は多いようだ。

おそらく興奮して痛みを感じないだけでかなり痛いはずだ。


「あと少しだから...もう自由があるから」


慣れ親しんだ石の階段が見える。

王城にはヴァルトシュタイン兵の残党が残っていた。

兵とかつての見知った人たちがどんどん捕らえていく。


圧倒的な数に、すでに戦意喪失した兵ばかりだった。


「我らの負けです」

「武器を置いて。投降したものは、命は取らないわ」 


ヴィオラの声が最後だった。

一斉に投降し始める。


ヴィオラが王座にたどりつく。

そこは慣れ親しんだ父セバスティアンが座っていた椅子。


「お父様、戻ってきたわ。オリヴィアンは私が引き継ぐわ。安心して眠ってね」


その椅子に近づいていく。


「ヴィオラ王女、万歳!!」

「ヴィオラ王女、万歳!!」


一人の声をきっかけにみんなが大声で叫び始める


「ヴィオラ王女!!万歳!」


アルフレードも、ヘルマンも、リチャード副団長もみんな、オリヴィアンにいた時の仲間たちが、一斉に声を上げる。


ヴィオラは笑顔でみんなに微笑んだ。


この日、オリヴィアンは奪還され、ヴィオラ女王が誕生した。ヴァルトシュタインからの無謀な侵略からの奪還だった。


オリヴィアンの教会からの鐘の音は、勝利の鐘として、歓喜の声と共にしばらく鳴り続けていた













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