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【完結】政略婚の向こう側〜この二人どうなるの〜  作者: かんあずき


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13 駆け引きの王子、学び舎にて

セバスティアン王は、アルフレードに、他の貴族の子息たちと同じ学びの場を与えてくれた。


「……ああ、またドミニク先生の顔が浮かぶ」

苦笑いが漏れる。


剣術の教育指南役のドミニクは、姫ヴィオラの師でもあり、性別や身分、年齢に関係なく教える人物だ。

素直なヴィオラは、先生の志をそのまま吸収している。


模擬戦でわざと負けることもある。

もちろんドミニク先生には見抜かれている。

ドミニク先生はこういうのが大嫌いなのだ。


立場のあるものに手加減しても、その場は問題にはしない。

なぜ、俺が負けているのかを分かっているからだ。


しかし後で必ず特訓が待っていた。


「根性を叩き直すぞ。理由は.......分かってるよな」


と言われ、無言で俺は頷く。

そして、夜まで打ち込まれる。

特訓……まあ、ありがたい鍛錬ではあるが、ほんと容赦ない。

アルフレードはため息をつく。

ヴィオラ姫は絶対ドミニク先生から、この全力で嘘偽りなくぶつかることを学んだんだ。

 


問題は所謂、陰湿系の貴族の坊っちゃんたちだ。

アルフレードは考えていた。


(彼らには優越感を与えておいた方がいい。)


磨き抜かれた服を着た彼らの前で、“偶然”を装って眼帯を落とすと……


「っ……」


俺の右目を見た瞬間、息を呑んで固まる者が多い。


(醜い、可哀想だと思えばいい。それで余計な嫌がらせは減る)


それでも絡んでくるどうでもいい家の子息には、拳で黙ってもらった。


「グリモワールの第一王子に殴られた」と騒いでも、自分を訴えられるわけがないことを知っていたのだ。


人質であっても、将来の王か、王配となる可能性がある身だ。手を出したほうが立場を失う。


セバスティアンも、表向きは俺を庇ってくれる――少なくとも表向きは。


アルフレードは、ヴィオラ姫にはすでに心を許していたが、まだオリヴィアンにいる他の人たちには心は許せずにいた。




***



剣術の稽古もあるが、座学が特に面白い。

ここオリヴィアンは資源豊かで小国ゆえに狙われやすい。だが、巧みに周辺国と同盟を結び、長く生き延びてきた。

学ぶことは多い。


「俺は決して天才ではないから、授業は全力で吸収しないとな。」


アルフレードはそう呟く。


戦術の授業では、地形や気候をどう活かすかを学ぶ。

川を挟んだ戦を題材に、引退した元軍師ゼノスが教鞭を取る。


「もし、川を挟んで睨み合いになったとする。君たちならどう戦う?」


十二歳から十五歳の同じ部屋の子供たちは、正面突破や数で押す案ばかりだ。


アルフレードは手を挙げて尋ねる。


「この川の幅、流れは? 時間帯や天候、地形の特徴も知りたいです」


周囲は静まり返った。


ゼノスは馬鹿にしたように笑う。


「そこまで考えなくてよい」


だがアルフレードは首を振る。


「霧が出るなら包囲も可能です。雨が降れば川の地形を利用して損害を減らせます。浅く見えても急流が潜んでいることもある。無理に攻めるより撤退し、後日動いた方が良い場合もあります」


ゼノスは表情を引き締め、顎髭を撫でながらじっと俺を見た。


(十二歳にしては視点が上すぎる……飛び級で上のクラスでも学ばせたいが、周囲の反応もあるな)


結局、授業は無難にまとめられ、過去の戦例を交えて説明される。


ゼノスはじっとその後のアルフレードの反応をみていた。

だが、誇ることなく、やや控えめに席に戻る。

周囲の子供たちは、私とこの子の駆け引きには気づかない。


この子は、私がこの場では、無難にまとめようとした様子を感じ取っている。


ゼノスの頭の片隅には、ある思いが残る。


(セバスティアン王の許可さえあれば、個別に鍛えても面白い存在になる――この子が本当に王、あるいは王配になるなら、戦力として申し分ない)


ゼノスは思案した






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