7. 戦いの後と心の距離
戦闘後、二人は谷の岩場に座って息を整えた。リリエはガルドの傷を改めて癒し、疲れた顔で微笑む。
「ガルド、すごかったよ…。私、怖かったけど、ガルドがいたから頑張れた。」
「…お前もだ。あのバリア、なかったら俺、もっとボロボロだった。」
ガルドは照れ隠しに盾を叩く。リリエがくすっと笑う。
「ねえ、ガルド。さっきの幽霊…何か、警告してたよね。『呪われている』って…。この谷、ただの怪奇現象じゃないのかも。」
「ああ、妙だな。スケルトンウルフも、普通の魔獣じゃなかった。…何か、裏がありそうだ。」
二人は顔を見合わせ、互いの真剣な表情に少し笑ってしまう。
「でも、ガルドと一緒なら、どんな怖いクエストでも大丈夫な気がするよ。」
リリエの言葉に、ガルドの心が大きく揺れる。
(…俺もだ、リリエ。お前がいるから、どんな敵とも戦える)
その夜、ギルドに戻った二人は、セリナにクエストの報告をした。黒い霧とスケルトンウルフの話に、セリナの表情が曇る。
「…その黒い霧、もしかして『闇の瘴気』かもしれない。昔、魔王軍が使ってた力よ。ガルド、リリエ、気をつけて。近日中のクエストで、もっと調べる必要がありそうね。」
ガルドは頷きつつ、リリエの手をちらりと見る。彼女の小さな手が、今日、どれだけ自分を支えてくれたか。
(リリエ…俺、もっと強くなって、お前をちゃんと守りたい)