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ギルドのタンクでもヒーラーのことを想っても良いんですか!?   作者: しばえだぬ
第2章:二人きりのクエストと小さな一歩
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5. 幽霊の谷への道

幽霊の谷へは、馬車で半日ほど。ガルドとリリエは、ギルドが手配した簡素な馬車に揺られていた。馬車の荷台には、ガルドの巨大な盾とリリエの小さな薬草袋が並んでいる。

「ガルド、幽霊って…本当にいるのかな?」

リリエが少し不安そうに言う。彼女の手は、杖を握りしめている。

「さあな。幽霊だろうがモンスターだろうが、俺の盾で防ぐ。心配するな。」

ガルドは落ち着いた声で答えるが、内心では別の戦いが始まっていた。

(二人きりだ…。何か話さなきゃ。キールならこういう時、軽口で場を和ませるんだろ? でも、俺には…)


「リリエ、お前、ヒーラーになったのはなんでだ?」

思わず口をついて出た質問に、リリエが目を丸くする。

「え、急にどうしたの? うーん…私、昔、村で病気になった子を助けられなかったことがあって…。それで、癒しの魔法を学びたいって思ったの。誰かを守れる力、欲しかったんだ。」

リリエの声は少し遠く、でも温かかった。ガルドは彼女の横顔を見つめ、初めて知る過去に胸が締め付けられる。

「…立派だな。俺なんか、タンクになったのはただ頑丈だったからだ。」

ガルドが自嘲気味に言うと、リリエが首を振る。

「そんなことないよ! ガルドのタンクは、みんなの命を守ってる。…私の魔法だって、ガルドが前にいてくれるから、ちゃんと届けられるんだから。」


その言葉に、ガルドの胸が熱くなる。

(リリエ…お前、なんでそんなまっすぐなこと言うんだ…)

馬車が谷の入り口に着く頃、ガルドは小さな勇気を振り絞った。

「リリエ、今日、絶対守る。約束する。」

「うん、信じてるよ! 私も、ガルドを絶対癒すから!」

リリエの笑顔に、ガルドは心の中で叫んだ。

この笑顔、守るためなら、幽霊どころか魔王とも戦える…!



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