13.ギルドへの帰還と新たな兆候
…瘴気結晶の発見により、魔王軍の復活がほぼ確実となった。セリナの警告がギルドホールに重く響き、いつもは活気にあふれる空間に緊迫感が漂う。
「緊急会議かよ。なんかデカいことになりそうだな!」
酒場でキールが椅子にふんぞり返り、いつもの軽い口調で言う。だが、目には一瞬の真剣さが垣間見え、すぐにニヤニヤ笑いで隠す。
「デカくても何でも、いつも通りぶっ潰すよ。だろ、ガルド?」
ミラが矢じりを研ぎながら答える。彼女の視線は、テーブル端で静かに座るガルドとリリエに移る。「…って、お前ら、魔王軍より恋愛の方が気になってる?」
「恋愛って…ミラ、からかうのやめてよ!」
リリエが頬を膨らませ、ローブの裾をぎゅっと握る。
ガルドは低く唸る。「ミラ、クエストに集中しろ。余計な話は不要だ。」
「はいはい、でもさ、ガルド、リリエの手をガン見してたのバレバレだから! もう完全に落ちてるじゃん!」
キールがエールジョッキを掲げて囃す。ガルドの耳が赤くなる。
「キール、もう一言喋ったら、次はお前を盾にするぞ。」
ガルドの声は低いが、どこか照れが混じる。
リリエがくすっと笑う。「みんな、ほんと楽しそう。…でも、こうやって一緒だと、どんな怖いクエストでも乗り切れる気がするよ。」
その言葉に、ガルドの胸が熱くなる。リリエのシンプルな言葉は、彼の心に深く響く。彼女の希望、その光を守りたい――タンクとして、そしてガルドとして。彼は小さく頷く。「ああ。どんな敵でもな。」