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ZEROから魅せる成り上がり  作者: 半目真鱈
第一章 異世界からの救世主
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第3話 憐憫と少女達

「アルメートさんとやら、貴方は一体どんな用事で俺の下に来たんだ?」


 俺が魅了の魔眼を彼女に放った次の瞬間には、彼女の眼には俺に対しての幾つかの感情が伺えた。


「えぇ…私が貴方の部屋に訪れたのは、王国派の人たちが貴方に対して精神魔法が係っていない可能性が有るから魅了しろと言われまして」


 やっぱりだ…っていうかライガス?この国の偉い人か?そこら辺も聞いてみるか


「それで、この国の派閥?とか貴方の立場とかを教えてください」

「はい、それでは先ず貴方様に関係することと致しましては、幾つかの大きな派閥の事を語らないとダメです。そしてその派閥は、先ず第一の派閥に教会派閥というものがあります。この派閥は皆さんを救世主として崇め人族の希望となってくれる事を信じている派閥です。

 そして、第二の派閥は騎士派閥で、この派閥の人たちは異世界の者をこの世界の問題に関わらせるべきでは無いと言う思想を持つ派閥です。

 そして第三の派閥が王国派閥と言うもので、この派閥は言ってしまえば救世主を精神魔法で自在に操り兵士として人族繁栄のための人柱にしようと言うのが目的です。」

「それでアルメートさんはその中で王国派閥だったと?」

「はい…私は王国派閥の暗部組織ドールズに所属する暗殺者です。」

「それで今言ったのが大体の勢力図なのか?」

「えぇはい…ですけど、その派閥自体も一枚岩と言うわけではなく、貴方様方を召喚した際に壇上に立っていたエイダル枢機卿は王国派の人間んで、今回の召喚の際に皆様方に精神魔法をかけました。それともう一つ、貴方様の現在の立ち位置が問題なのです。」

「立ち位置?ってか俺ってそんなに不味い地位に居るの?」


 これは驚きだった。俺自身は普通に暮らしている筈が何かやらかしたか?俺自身にはそんなやらかした記憶とかないけど...。


「俺自身はやらかした記憶とか無いけどそんなに不味いことになってるのか?」

「はい…実は教会と王国の両派閥が貴方様を殺そうと言う意見が出ているのです。

「でもだまって殺される言われは無いけど理由ってどんな感じなの?」

「それには2つの理由が御座います。その一つ目は貴方様のスキル簒奪が、1000年と500年も昔に人類を絶望の渦に陥れた魔王ルシフェル・サーベルトと同様の技能だということが問題なのです」

「そのルシフェルとか言う奴は一体どんな事をやらかしたの?魔王って名の付く通り相当やらかしたみたいだけど…。」


 俺が困惑しながらもその事について詳しく聞いてみると、かなりの震えを隠しながら少しづつ語ってくれた。


「ルシフェルとは1000年前に突如この世界に現れた悪魔族の王で、現れたとたんに人外種を傘下に入れてこの世界を侵略し始めました。その当時にはまだ人間蔑視の思想は在りませんでしたけど、人外種たちは支配されるにつれて、人間を差別するようになりました。」

「なにそれ怖いね。それで今は倒されたんでしょ?っていうかもしかしてそいつのスキルが簒奪とか?」

「はいその通りです。ですが奴が振るう簒奪の力は凄まじく相手から奪った状態や練度をそのままに奪う力で、最後には神により召喚された勇者ナカマ・ケイゴ様が自身の技能に浸食自害機能を付けて、魔王を内側から食い破り勝利しました。

「でも最初の500年の言い分からしてまだあるんでしょ?」

「はいここからが本番で、500年の歳月を掛けて復活した魔王にはもはや人格と言う高尚な物も無く、ただ周囲に存在する全ての物に片っ端から簒奪を繰り返して、ただ人間を恐怖に陥れる化物に堕ちました。

 我らには最早抵抗するだけの力は無くただ殺されるだけでしたが、人格が無く、魂が無く、肉体も嘗ての物より脆弱で、精神すら無い技能だけで、ただ生きている人間を殺す化物はそう長くは持たずに死にました。」

「それだけならハッピーエンドだけどねぇ…」


 俺がその話を聞きながら恐る恐る疑問点を口にしてみると、うんうんと頷きながら、再び喋りだした。


「はい話はここで終わりませんでした。例え死んで技能だけの状態になっても捨てなかった人間蔑視の感情と持て余した力は人外種にのみ降り注ぎ、この簒奪の魔王ルシフェル・サーベルトが齎した結果は、人外種のあらゆる意味での強化と、人間蔑視の感情のみでした。

 この一つ目の理由で失礼ですが、下位互換とも言える貴方様のお力を危険視して害しようと言うのが教会派閥の意見でした。」

「それじゃあ次は王国派閥が俺を殺そうとする理由?っていうよりもそんな言い掛かり以外で俺って何かしたかな?」

「いえ…貴方様は何も悪いことをしてはいません…それと言うのもこの世界において、技能を固形化して移動する技術が既に出回っているので、ステータスが低く、スキルも代用可能と言うのが貴方様の不要論の理由となります。」


 それを聞いて俺は絶望した。っていうよりもこの状態から入れる保険なんてものは無いし、どうしよ…


「それで俺が殺されかけてるんだけど、この状況を覆す案とか無い?」

「貴方様を救う手段は御座います。つきましては…」


 そうしてその日の夜はひたすら作戦会議で、次の日に完全に寝不足でフラフラ状態だった。


「よぉ~っす小見門、俺見たけど美人のメイドさんと楽しい夜を過ごしてたのかよ」


 フラフラ状態の俺に声をかけてきたのは、竜童満と言うクラスでも有数のいじめっ子だ。最初の数日は何とも無しだったけど、今日になって嫌に絡まれ始めた。でも俺はこいつに抵抗する事は出来ない。今も俺が振りほどけないレベルの筋力で持って俺の肩を持っている。


「そんなんじゃねぇよ…あぁホントにそんなんじゃねぇ」

「つってもよ何でお前程度の雑魚に靡くのかがど~しても分かんねぇってぇ事で今からてめぇをボコしてどっちが男として優れてるかの勝負といこうや」

「う~ん俺自身はそんな事したくないんだけど…グフッ」

「おらおらどうしたんだよぉってもよぉ技能も使ってねぇ手加減もしてるパンチ一発でその様ってのは無様すぎねぇか?ナァ」


 それから俺は数発殴られていたが、ガトムさんが発見してくれたお陰で、そんな大事にはならなかった。でも俺自身が弱いのもまた事実…でも俺自身のステータスは、強化してもそこまでだし魅了の魔眼位しかウェポンが無いんだよなぁ...。


 でもその魅了の魔眼にも問題点があった。それはアルメートさんを再び鑑定した時に、垣間見た数値でその数値が100にまで上がらねば魅了状態が解除されるらしかった。まぁ数値が100になれば永続的な魅了状態になるわけだが、そうしたら俺の武器何て何もなくなる


「後でアルメートさんに相談してみるかなぁ」


 俺は殴られて痛む顔から意識を逸らしながら考えをポツリポツリと形に表す。でも正直に言って凹むわぁ…何せこっちの世界に転移したとたんに精神魔法で、俺以外の皆はおかしくなって、その上俺自身は殺されるって正直に言って、今まで読んできた異世界物と比べてもトップクラスクソ難易度なんだけど...。


 あれから夜も更けてアルメートさんが隠密状態この部屋に入って来るや否やこの顔を見られてすっごく心配してくれた。


「軽く手当はしましたけど、本当に大丈夫ですか?」

「うん…大丈夫だから、それよりも俺の強化案とか何かない?この状態だったらあの案を実行する前に死にかねないからそういう意味じゃ何とかしたいんだけど」

「その気持ちは分かりますが、今は我慢の時です。貴方様が私にかけた魅了はあと数日したら永続魅了になります。迷宮攻略開始まであと2週間ですのでその間に計画に必須のメイサの魅了がありますけど、それも考慮して今週は我慢の時です」


 アルメートさんは俺の手を握って、涙を流しながらも俺の事を心配してくれていた。鑑定して分かったけど、俺自身の魅了の魔眼は、対象から何かしたよく思われてないとダメらしく、その感情を表に引き出す技能らしかった。


 アルメートさん自身から、この感情はその技能によって作られたモノではなく、貴方様への心配や憐憫と言った感情が表に出ただけです。元所有者だから分かりますが、その技能に感情を作る機能は御座いません。だからこそ私は女を磨いたんですから、とのことだった。


 それから数日たってメイサさんと言う人にあったけど、一目見て俺は素直に驚いた。何せその見た目が青髪のショートで小学生と勘違いする程の低身長にジト目のロリロリしい体形をしたメイド服の美人さんがいた。


 何やらその紫色の瞳が怪しく光った。


「この子には予め貴方が何の罪もないのに殺されかけているということを伝えています。それらを加味して魅了の魔眼は十分に通るかと思われます」


 アルメートがさっき部屋で話た内容では、十分に魅了は通る筈だけど、これで良いのかなぁ?


「貴方が件の被害者ね…全くこの世界の問題はこの世界の人間で片付けるのが筋だというのに…それでどうしたの?早く魅了を掛けなさいよ」

「えっ…もしかしてメイサん気が付いてたの?」

「そんなの簡単よ。何せ普段ならそんな男の事なんて内心で、どんなに可哀そうと思いながらも冷徹に仕事を遂行するアルが、その子がかわいそうなの~って言ってるのと、その坊やの技能が簒奪であることが考えればガキでも分かる結論よ」

「…軽蔑した?暗殺者なのに少年に技能を簒奪されて魅了されて貴方を利用しようと思った私を」


 どうやらこの二人にはかなりの絆があるらしい、それにこういう人の人権と倫理観を捨てでも生きたいって思ってたっけ?まぁいいや


「それじゃあこの魅了は止めにしておこうか、俺自身もそんな否定する止めといて別の道を模索するよ」

「でもこの案が一番手っ取り早いのよ。それにそうしないと貴方を確実に死んだと誤認させる事が出来なくなるわ」

「ちょっと待って欲しいのだけど、私は何も魅了はお断りって言った訳じゃ無いのだけど。」

「えっ…でもどうして?」

「そんなの簡単よ…ただの憐憫だからよ。ほらさっさと使いなさいよアルの永続魅了はもう済んでいるのでしょ?」

「あぁ…分かった。それじゃあ魅了…」



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