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ZEROから魅せる成り上がり  作者: 半目真鱈
第一章 異世界からの救世主
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第1話 転移は人の意思

 人生は波乱万丈でありその時なにが起こるかは分からない。とはよく言った物だと俺はしみじみ感じていた。そんな風に思う原因は今現在真っ白い髭を触りながら俺たちを見ていた。


 荘厳なる雰囲気に包まれた大聖堂の一段高い場所に立つお爺さんは俺たち普通の高校生にも分かるくらいのオーラを醸し出し、いかにもトップですよ~なオーラを放っている。それに周囲に散開している金属鎧を着ている騎士からは不敬な事など断じて許さんといった感じで恐怖を煽る。


「ようやっとご降臨なされたのか…ようこそいらっしゃいました勇者様方、私はエイダルと申します。」

「おいふざけんなよ」

「これって誘拐でしょ?」

「ここってどこよ」

「俺たちを誘拐してどういうつもりだよ」


 クラスメイトから大なり小なり文句が出て、ある程度文句が出そろったと老人が判断したのかゆっくりと俺たちを召喚した理由を話し始めた。


「此度の召喚に応じてくださりありがとうございます。貴方がを召喚した理由とは今、我ら人族を害し差別する者どもより人族を守る救世主となっていただきたいのです。どうか話だけでも聞いてくれないでしょうか?」


 俺たちクラスメイトの全員が唖然としていた。その理由はエイダルと名乗った老人が周りに兵士っぽい人物がいるにも限らず、土下座をしてまで話を聞いてもらいたいと言ったからだ。


「なぁお前たち一旦落ち着かないか?一先ずここはこの人の言う事を聞いてから判断しても遅くはない筈だ。どうだ?」

「まぁ英人が言うなら聞くけどよ」

「如月君が言うなら話だけでも聞いてみよっかな」

「お前が言うなら分かったよ取り合えず話を聞いてからな」


 俺たちがエイダルさんの言ったことに戸惑っていると、学級委員長の如月英人がクラスメイト達を抑えて会話の雰囲気を作った。まぁこういう時に活躍できる人がカリスマって奴なのかな?


 そんな事を考えながら周りを確認してみると、皆が皆不自然な程にエイダルと言う人の方を見ていた。っていうかさっきから見ないけど先生どこにいるんだろ?


 俺が先生が居るであろう場所に目を向けてみると、そこには頭を抱えて項垂れる長身の女性が居た。この人こそがこのクラスの先生である天音優香先生で、常に冷静で俺たちに対して平等に接する姿からは考えられない程に動揺している姿があった。


「先生…大丈夫ですか?って聞くまでも無い状況でしたね...。」

「あぁ…小見門くんですか…えぇ恥ずかしい限りですけどね。…本来この場所はあなた達の親御さんから預かっている生徒を守るために率先して出るんでしょうけど、如月さんが皆を統率したから先生の出番が無くなりましたよ。」

「でもここで冷静に対処できる人物を探す方が難しいですよ…まぁ英人の奴はその例外でしたけどね。」


 そんな会話をしていたらどうやら別室で落ち着いて話そうと言った結論になり皆が移動を始めた。そこで俺も先生と会話を止めてからクラスメイト達の背中を先生と一緒に追いかけていた。


 それから別室に着くとそこには二次元でしか見ないようなミニスカメイドが一人一人椅子に案内してくれた。でもこれって若干ハニトラ身を感じるのは俺だけか?まぁ俺も健全な男子高校生として悪い気はしないけど、ってか他の男子どもは鼻の下伸ばしてら。


「それでは皆さんお席に着いたようなので改めて紹介をさせていただきます。私はメシュタリ教という宗教において、枢機卿の地位に座すエイダルと申します。皆様よろしくお願いいたします。」


 そうして改めて名乗ったエイダルさんは冷静にこの世界の情報を零していった。何でもこの世界では古来から人の立場は弱いらしい、身体能力では獣人に、魔法の腕ではエルフに、技術力ではドワーフに、等々上げだしたらきりが無い程に人としての立場は弱く、優っている所と言えば単純な総数位しかなく、常々人という種族は人外種から奴隷の如き扱いを受けているらしかった。


 そんな中でも人と言う種族と言うのは諦めと停滞だけは憎み凡そ500年の時を掛けて異世界から英傑の如き力を振るう事が出来る程に成長する人間を召喚したと言う事らしかった。


 そしてここからが重要で、俺達にはこの地に住まう遍く人々の希望を束ねて人外種からの独立宣言を行いたいらしく、その顔色全身からは悲壮感と怒りを感じさせていた。


「俺はこんなにも悲しい顔をしている人を見捨てる事なんて出来ない俺は…俺たちはこの世界を人の物とする事が出来る筈だ。俺は一人でも戦う積りだ。皆は俺の後に続けば大丈夫だ。皆は俺が守るから」

「俺はこの人の話を聞いた時からする積りだったぜ、それに俺はお前に守られる程に弱くわないぜ」

「まぁ私もこんなに悲しい顔をする人を見捨てるなんで出来ないね。」

「そうよ…私たちはただの学生だけど何か力になれる筈よ」


 英人の言葉に続いて、身長が高く結構な結構な高身長で、ボディービルダーの如き体躯を誇る熊野健吾と、黒髪ロングにポニーテールでスラリとした体形にクールな雰囲気を誇り、そしてキリリとした吊り目が特徴の義満歩と、最後におっとりした感じを思わせる垂れ目に、黒髪ロングそしてかなり豊かな物をお持ちの清成麻衣子が次々に声を上げた。


 他のクラスメイトも次々に声を上げてこの世界に住む人々を助けようと言い出した。…でも英人ってこんな感じでグイグイ引っ張るような奴だったか?何時もなら「俺自身は助けたいけど皆はどう思うか聞かせてほしい」とか言ってた筈…そこで俺は気づいた。それは隣に座っている先生がかなり神妙な面持ちだったからだ。


「誠に申し訳ありませんがエイダル氏、私自身はその独立戦争に対しては反対です。何よりその独立問題はあなた方の世界の問題、断じて私たちの世界の…それもただの未成年である私の生徒たちに人殺しの咎を与えていい理由にはなりません。私は先生として生徒の皆さんを安全にご家庭に返す義務があります。」

「ンンンン何か勘違いしているご様子ですね。私が彼らに求めるのは旗印です。断じて殺し合いの場には参加させないと約束しましょう…えぇ私がそう言っているのです。私は子供たちに殺し合いをさせないと誓いましょう」

「あっあぁハイ…それなら良いですが、私は先生として子供たちを守る義務がありますので、それだけはお忘れなきようお願いいたします」


 うん?今の絶対おかしかったよな。先生は…東雲冷夏先生は見かけこそ身長が高く威圧感のある顔とオーラで初対面の印象では近寄りがたい人物ではあるけど、確かに俺ら生徒を愛してくれたし、何でもクラスメイトのだれかが他校の人間に暴力を振るったとか言う事件があった日には、休日であるにも関わらず、その暴力を振るわれた生徒の家に赴き、謝罪をして許しを請うとかいう先生としては文句なしの人のはずだ。そんな先生が俺たちに命のやり取りが身近にあるような場所に身を置かせる訳が無い…。


 ここは声を荒げずに穏便に済ませよう…ここは異世界だしもしかしたら洗脳魔法とか言うのがあるかも知れないし、頭の中弄られるかも知れないし普通に恐怖しかない。


 俺たちクラスメイトとエイダルさんの話は先生が声を荒げた以外は順調すぎる程に済んで、俺たちは、俺たちが召喚された神殿を歩いていた。そうして外から見える光景は、高い山の上に建てられた正に神の座す場所と言った雰囲気を漂わせていた。


 そこから少し歩いたところにある何やら陣が書かれた場所の上に乗ると、下の方に建てられている王宮に転移するらしく、このまま王様へ謁見をするらしかった。



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