表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

月夜譚 【No.301~】

呪いのように美しく 【月夜譚No.335】

作者: 夏月七葉

 恋も過ぎれば呪いのようなものだ。相手を想う気持ちが大き過ぎて、それこそこの身を焦がすのではないかと思うほど身体の中で何かが燃えているような感覚がする。

 学校の屋上。そこで彼女は長い髪を風に靡かせて、赤く染まった夕陽を瞳に映していた。

 この想いが生まれたのは、一年前。最初は小さかったそれが大きくなるのにそれほど時間はかからず、今は身の内に収まっているのかと疑いたくなるくらいに膨れた。

 ここまでくると自分の気持ちを抑えることが難しく、半ば勢いで本人の前で全てを吐露した。しかし。

『ごめん』

 すまなそうな、淋しそうな、そんな声が頭にこびりついて離れない。あんな顔をさせたいわけではなかった。謝らせたいわけではなかった。

 赤が滲んで、見えていた町の景色が歪んで崩れる。大粒の涙は頬を伝って足許に落ち、夕陽を反射した。

 あんな風に言われても、きっとこの気持ちは消えない。消えてくれない。

 いっそ涙と一緒にこの身体も溶けてなくなってしまえば良いのに。

 やがて姿を現した星々は彼女の願いを聞き届けることもなく、ただそこで輝き続けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ