閻魔の道標 その2
戦闘描写って難しい……
早く街でのアレコレを書きたい。
◆
「うおぉぉ危ねぇ!」
杖が壊れたことで魔法が打てなくなる。それはもうライラックを守る氷が無いということ。辛うじてハンミョウの攻撃を躱すも、多少のダメージは避けられなかった。
「杖壊れたぞー!どうするー!?」
「あぁもう、耐久値は管理しとけって言ったのにさぁ!」
グラパーは両手で大剣を振り上げ、ハンミョウに勢い良く振り下ろす。それにより、ハンミョウの標的は一切攻撃をしてこないライラックから、攻撃をしたグラパーに移る。
しかし、大剣の攻撃はハンミョウの装甲に傷一つ付けられなかった。
もとよりDEFとMDFに多めにステータスを振っている為、それは不思議なことではない。
「よし、僕がタンクするから攻撃は任せた!」
「ちょっと待て杖がないぞ」
「そうだったな…【錬金術】!これ使って」
「おお、錬金術って便利……」
グラパーは大剣を大盾に変え、ハンミョウの攻撃をいなして受ける。
ライラックは受け取った新しい杖を持ってスキルを発動する。
「【偽装展開:蜻蛉切】……!」
杖を青いエフェクトが覆い、槍の形を成す。追加で【マナインクリース】を発動し、MP回復ポーションを飲む。これで準備は整った。
「剥製にしてやらぁ!」
槍が装甲に傷をつける。大盾が顎を受け止める。
「うーん、やっぱりあの槍でも厳しいか……?」
しかし気を抜いていられない。注意がライラックに向かないよう慎重に立ち回る。
「何回も!突けば!ヒビくらい!入るだろ!」
何度も同じところを突き続ける。それは遂に装甲にヒビを入れる。
だがハンミョウの注意はライラックに向いてしまう。
「残念だったな!【イミディアトリー・マジック】!【【【【【【【【【【アイスショット】】】】】】】】】】!!!!!!!!!!!!!」
【蜻蛉切:偽槍】は、魔法の消費MPを0にする。
【イミディアトリー・マジック】は5秒間、魔法のリキャストタイムを0にする。
スキルと武器特性の奇跡的な噛み合いにより、ライラックは5秒間、氷のマシンガンを撃つことができる…!
「うおぉ【【【【【アイスショット】】】】】ォォォ!!」
◇
突如静寂と化した森の変化に、他のプレイヤーが気付かない訳も無く。
7分ほど経った後、一人のプレイヤー、ヨザクラがその元凶にたどり着いた。
「何だあれ、でっか…」
「戦ってる…?え、なんか氷身代わりにして……え?何してんの?」
でかい化け物に背を向けて逃げるプレイヤーが後ろに魔法を打って攻撃を避けている光景はまぁ何してんの?という感想になるだろう。
最もそれは後ろにいるプレイヤーの行動を確保する為のものなのだが。
「なぁあのモンスター、見たことあるか?」
「うわびっくりした」
彼は戦いの光景に気を取られ、背後から二人のプレイヤーが来ていることに気が付かなかった。
「急に現れないでください……いや、見たことはないですよこんなの」
「「だよなぁ」」
「特殊なボスかな、羨ましいな…」
「つーかここって最初の森なの?こんなとこあるなんて知らなかったわ」
「どうする?なんか苦戦してそうだぜ、助太刀とかしちゃう?」
「うーん、それはやめておいたほうが……」
「俺もそう思う」
「なんでだよ?」
「よく見ろ、あいつジョブ【錬金術師】だぞ、経験値を減らしちゃうから止めた方が良い」
「そっか…」
【錬金術師】はこのゲームでは有名な不遇職なのだった。
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