現実逃避
「その槍……蜻蛉切だなァ?」
「あ」
突然、目の前にグラパーが現れた。
なんでこいつは毎回突然に……じゃない。
まずいぞ、また掲示板に晒され……
「何で急に仕舞うのかなァ、図星だな?」
「うっ」
「フフフ……ハハハハハ!」
グラパーは大分不敵な笑みをしてログアウトした。
俺はグラパーの地雷を踏み抜いてしまったようだ。
ああなるととても面倒なことになる……
取り敢えずサブジョブも追加できたことだし、面倒なことになる前にオオクワガタを獲りにいこう。
こうして甲虫の大樹海に再び向かうのだが。
どうにも移動用アイテムを持っていないので徒歩だと時間がかかる。
第四の街には自転車が売られていたらしいが、勿論そんな物は買っていない。
のんびり歩いていると、後ろから物凄い足音が聞こえてくる。
気になって後ろを振り向くと、そこには……
「!?」
何故か後ろにいたのは大規模なプレイヤーの集団だった。
ちらほら名前表示が赤いPKも見受けられる……って、俺のことヤりに来てない!?
後方にいる魔法使いが何やらバフをかけている。
そのせいか、集団は俺よりも何倍も速く追いかけてくる。
これでも高機動魔法アタッカーなのに全然AGIが足りない。
「追いつかれる―――」
ええい仕方ない、【宥和の大網】!
「それは知ってるぜェ!」
「嘘ォ!? 避けられた!?」
馬鹿な、初見でこれを避けられるはずが……
……グラパーめ、網の情報までもリークしやがったな!?
こうなったら真っ向勝負だ。
PKしてしまったとしても関係ない!!やらねばやられるのだァ!
いつもの三連コンボからの?
「【レイジングブリザード】……ってあれ?」
一回しか出ないぞ。まさか……あ!
魔法のリキャストタイムが増えてる!?
「それはもう対策済みよ!」
それは魔法か!?
なんだよもう!!完全に俺のことメタってきてるじゃね―か!!!
「グ、グラパーめ……許さん」
「遺言はそれか?」
はい、俺は今多数のプレイヤーに武器を向けられてます。
絶体絶命、これは詰みだな……。はあ、じゃあ。
「このゲームやめてやる」
「じゃあその前に装備は貰うぜ」
「ぐえ」
リスポーン。
からの速攻ログアウトォ!!
まじで何なんだよ!!蝶のときといい今回といいさ!!
毎回邪魔しやがって!!
そんなに俺にオオクワガタ獲らせたくないのか!?
……ふう。
そうだ。現実なら誰にも邪魔されることはない。
……行くか。今度は現実で。
〜完〜




