全ては運営の思惑通り……?
カキダメ、ナクナッタ
蜻蜓が痙攣し、動きが止まる。
クワガタは疲れ果て、大顎を外す。
「【宥和の大網】【巨大化】!」
蜻蜓に大網が迫る。
しかし、蜻蜓はそれから逃れられない。
「―――捕獲完了」
『称号:蜻蛉に認められし者を獲得しました』
勝負は静かに幕を閉じた。
蜻蜓を網から開放すると、蜻蜓は槍のところへ飛んでいく。
穂先に止まり、槍を引き抜くと、そのままどこかへ飛んでいってしまった。
「以外とあっけなかったな」
「そうだな……イベント報酬のアイテムが役に立ったし、運営もこれを想定してたんじゃないか?」
「かもな」
ライズが落ちていた蜻蛉切を手に取る。
「でもよ、【槍使い】はこの中に居ないぞ?」
「それなら、サブジョブに【槍使い】を設定すれば使えると思います」
「サブジョブ?」
「はい、レベル40を超えると設定できるそうです。ライラックさんは今何レベルですか?」
確認してみよう。
「えーっと……42レベルだ」
「じゃあ……」
「え、これ俺が貰っていいのか?」
「はい、ライラックさんが居ないとそもそも勝てなかったですし」
「それ皆にも言えるでしょ……」
「貰ってやったらどうだ? どうせ俺らは両手塞がってるから槍なんて使わないしよ」
ライズは大鎚だし、レイズは双剣……成る程、槍を持つ手がないからサブジョブ付けても使えない、ってことね。
「じゃあ遠慮なく……あとでサブジョブつけに行くか……」
「で、ヨザクラはそのクワガタ、どうするのぉ?」
「なんかテイムしちゃったっぽいですね……」
「取り敢えず乗って宿までいけば?」
「そうします」
このゲームの宿は休むと傷が治る不思議な宿なので……
「じゃあ、ここで解散だな」
「うん」
「ばいばーい」
ヨザクラたちと別れ、それぞれ別の方向へ向かう。
俺は何をしようか……まずサブジョブを……いや、なにか忘れているような。
そうだ、あの蝶に吹っ飛ばされて…………甲虫の大樹海行ってないじゃん!!
「今度こそオオクワガタを捕まえてやる……まずはサブジョブを付けないとな……」
一先ず第二の街まで向かった。
やってきたのは職業変更所……つまりはジョブチェンジができるところだ。
レベル40以上になるとここでサブジョブが追加できるようになる。
「サブジョブ……【槍使い】、よし、これだな」
ジョブ【槍使い】は槍系スキルの獲得率上昇、武器種【槍】での攻撃と、攻撃モーションに補正がかかる。
これで【蜻蛉切:偽槍】の方も扱いやすくなるはずだ。
というか槍二本持ちじゃん。双槍とでも言うのかな?
そういえば蜻蛉切の性能を見ていなかった。
どれどれどんな性能をしているのかな?
【蜻蛉切】
真なる天下の名槍、此処に有り
虫へのダメージが上昇する
上昇倍率:10倍
空中にいる対象へのダメージが上昇する
上昇倍率:5倍
ATK+300
完全に虫キラーな性能だ…………ん、これって二つの倍率重なるのか?
だとすると……空中にいる虫へのダメージが50倍……
俺はやばい物を手にしてしまったのかもしれない。
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