揺らぐ陽炎
◇
「EXクエスト?」
困惑する二人の前に文章が表示される。
"炎の虫を答えよ"
「炎の虫……?」
「これ、答えないと出れないやつかもねぇ」
「ですね。でも、炎の虫ってなんですかね?」
「わからないけど、知識がないと答えられない、なんてことはないんじゃないかなぁ」
「あ、確かにそうですね。じゃあ閃き問題ってことですかね」
クワガタが頷くような動作をする。
「そうみたいだねぇ。はぁ、謎解きは苦手なんだけどなぁ」
「う〜ん、炎……炎……熱い……明るい……全く分かりません」
「そうだ、連想ゲームしたら何か分かるかも」
「いいですね! やってみましょう」
「ではいきますよ。炎といったら?」
「熱い」
「熱いといったら?」
「温かい」
「温かいといったら?」
「ストーブ」
「ストーブといったら?」
「なんか……あの……ほら、周りでもわ〜ってなるやつ」
「え?」
「ほら、もわ〜ってなるやつ。あれ何て言うんだっけ?」
「陽炎……そうか!」
「何か分かったのぉ?」
「蜻蛉ですよ! 昆虫の!」
「あー、そういうことねぇ」
「でも、どうやって答えれば良いんですかね?」
「答えは"カゲロウ"だ! って言えば良いんじゃないの?」
ドーム状の空間、トンネルとは逆側の壁がズリズリと音を立てて動き、その先に新たな道が現れる。
クワガタが前足を上げ、道を指す。
「合ってたみたいだねぇ」
「なんか……スタートって言ったらスタートね、みたいなことになってませんでした?」
「それはちょっと違くない?」
「まぁ……行きましょう」
二人は再びクワガタの頭に乗り、道を進んだ。
「今頃あっちは何してるんだろうねぇ」
「どうなんですかね……でも、こっちがこんな事になってるとは思いもしないでしょうね」
「確かにねぇ。じゃあ、こっちも早く終わらせて戻らないとねぇ」
◆
「随分小さくなった気がするな」
「まだまだ大きいが?」
蜻蜓は半分の大きさになったとはいえ、まだ50mもある。
決して小さくはないし、むしろ大きい。
「さーて、こっからどうするかな」
「……無策かよ」
ライズはライラックに呆れたような視線を送る。
「いや、どうやって奴の動きを止めるかってことだよ。網にさえ入れればこっちの勝ちだからな」
「なるほどな、動きを止める……一応そういうスキルはあるが」
「俺もあるにはある」
「前提として一撃当てないといけない」
「同じく」
「どうやってその一撃を当てるんだ……?」
蜻蜓は二人の上空を旋回している。
目で追うのがやっとの速度だ。
「これ無理だぞ」
「攻撃して来たときに反撃するしかないな」
「でも……来ねぇんだよな」
「おーい! 早く来いやトンボー!」
「早く来ーい!!」
蜻蜓は小さくなってからずっと二人の上を旋回している。
こちらの作戦に気付いてしまったのだろう。
「つーか二人はどうした?」
「知らんがな」
ライラックは樹の方を見るが、そこに二人の姿は見えない。
「【気配感知】……居ないんだが」
【気配感知】を使うも、二人の反応はない。
「どこいったんだよ……まあいい、来るまで待とう」
「? じゃあ暇つぶしでもするか」
「平和だななんか……」
◇
『EXクエスト:炎の試練を完了しました』
『EXクエスト:動視の試練が開始されました』
道の先には、同じようなドーム状の空間が広がっていた。
しかし、先程とは明らかに違う点があった。
何か在る。
それは二つの大きな鎌のように見えた。
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