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バーチェル・レンジャー その8


「…………」


 色々あって今日は二日目だ。

今日は仲間にした兵アリ三匹が敵アリを蹴散らしている。


 そして俺達が何をしているのかと言うと……


「ふんっ!」


「やるな……【アイスキャノン】!」


「ぐっ」


 フレンドバトル……即ち決闘であった。

フレンド同士でお互いに承認すれば決闘をすることができる。決闘の際にはスキルのクールダウンや武器の耐久値はリセットされるので、そこらへんは気にしなくていい仕様になっている。


「【コンティニオス・スピア】!」


「うぐぉ」


 レベル差があるので二対一、ライズ&レイズvsライラックなのだが、

それでもライラックは現在二十七連勝中だった。


「全然……勝てねぇ……」


「まさか網で捕らえられると"敵対行動を禁止"されるとは思わなかったねぇ」


「あれずるいよなまじで」


 【宥和の大網】の効果は"捕獲した対象の敵対を解除"というものだ。

プレイヤーも例外ではなく、対象が虫に限るとは誰も言っていないのだ。


「あとあの槍……蜻蛉切だったか? あれ一撃でやられるんだが何なんだ?」


「手の内は隠しておくもんだぜ……」


「あ、そういえばこっちの蜻蛉切の話なんですけど」


「あーあったなそういうの!」


「イベントが終わったら入手を手伝ってくれませんか? 条件はわかったので……」


「いいよ」「いいぜ」「いいよぉ」


「いいんですか!? ありがとうございます! ……って、全然イベントの話してませんね」


「もう実質終わったようなもんだしねぇ」


「女王アリも来ないしな」


 そう、今まで兵アリ以外の特殊なアリは来ていない。

女王アリは倒せば100000pt、倒せるならば来てくれると嬉しい存在だ。


「なんででしょうね……LUCは高いはずなのに」


「脱落する可能性が高いから、じゃないか?」


「そんなに強いのか……?」


 LUCが高すぎて女王アリが来ないなんてことあるのかな……


「ちょっと様子でも見てみるか?」


「うーん、何もいないと思うけどねぇ」


 今俺達は城の中心部に居る。理由は万が一ここに侵入されたら脱落だから。

まあ、無いとは思うが……一応な。

ライズとレイズが窓から外の様子を見る。


「んー? あれ羽生えてない?」


「本当だな。説明にあったか?」


 羽が生えてる…………ってそれオスアリだな!?

そういえば説明には無かったな。LUCが高すぎてシークレット出ちゃったか?


「倒したら何かあるんじゃないか?」


「あ、でも…………もう倒しちゃったみたい」


 その瞬間、アナウンスが流れる。


『クラン"琥珀騎士団(サクシナイト)"がシークレットアントを討伐しました』


 討伐したの俺達じゃないんですけど!?俺達の兵アリなんですけど!?

…………そうですか、仲間にしたアリもクランメンバーですか…………。







「いぇーい!」


「これで俺達が一位だなァ!」


「なにこれ……」


 女王アリを倒し、琉神大百足(ドラゴデウス)はお祭りムードだ。

あまりにも騒がしいので本人(アスロラ)は困惑していたが。


「MVP! MVP!」


「でも悪い気は……しないかも?」


「俺はどうしたァァァ!!」


 そこに恐らく最もダメージを出した男・カワセミが現れる。


「リーダーもMVPですよ!」


「そうだよな? ダメージの殆どが俺だよな?」


「トドメを刺したのは私……」


「二人ともMVP!」

 

 これが二日目まで続いた。




 二日目、琉神大百足(ドラゴデウス)のメンバー達は衝撃的な知らせを耳にする。


『―――が討伐されました。討伐クランには500000ptが付与されます』


「「「「「何だそれ!?」」」」」


琥珀騎士団(サクシナイト)ってどこのクランだ!? 聞いたこと無いぞ」


「シークレットアントってなんだよ! しょうもな!」


「まあでも聞いたことないし弱小クランだろ……ほら、もうすぐ十二時だし中間発表があるんじゃないか?」


 このイベントでは二日目の十二時に中間発表があり、そこで半分経過時点の順位が発表される。


「お、でたぞ」




ーーーーーーーーーーーー


1位:琥珀騎士団(サクシナイト):854328pt

2位:琉神大百足(ドラゴデウス):544356pt

3位:(インセクト・)(インパクト):442891pt

4位:知恵の木:428748pt

5位:虫人を見つける会:391782pt


〜〜〜


最下位:昆虫食研究家:12pt(脱落)


ーーーーーーーーーーーー




琥珀騎士団(サクシナイト)が一位!? 一位だとぉ!?」


()()()()()()()()……大型クランが有利な状況で中間一位はエグくないか?」


 そう、大型クランの方が一度のウェーブで出現するアリが多い。

それは脱落のリスクを高めると同時に、ポイントが獲得しやすくなるということ。

つまりは小型クラン、ましては四人しかいないクランが一位を獲れるはずがないのだ。 


「不正か? 不正だな?」


「いやいや、VTECが不正を許すわけ無いだろ」


 VTEC社のゲームでは今までに一度もチーターが発生していない。

もしくは発生してすぐ抹消されているのかも知れないが。


「じゃあなんで―――」


 その理由は、"運"だ。

五十人以上居る琉神大百足(ドラゴデウス)のメンバー全員のLUCを合計しても、

四人しか居ない琥珀騎士団(サクシナイト)のメンバー全員のLUCの合計に届かない。


 事実、琥珀騎士団(サクシナイト)はウェーブの時間が常に最長の一時間であり、ウェーブ間の時間が常に最短の三十分である。

ウェーブ中の時間が長いほど、アリを倒せる時間も長くなり、その分ポイントも増える……

この事実に気が付いたメンバーの一人が口を開く。


「そうだ、運だ。これは運ゲーなんだ……」


「なんだそれ……」


「「「しょうもな!!」」」

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