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バーチェル・レンジャー その2

いつもが短いから相対的に長め


 そろそろ19時になる。風呂や夕食等を済ませ、準備は万端だ。

琥珀騎士団は敵の群れを探しにいかなかった。他のクランは防衛が始まる前に、少しでもポイントを得ようと頑張って蟻の群れを探していたようだが。どこにいるかもわからないグンタイアリの群れを探すのはハッキリ言って時間の無駄だ。


 そして今は城の頂上から地面を見下ろしている。途中ログアウトしつつ、四人で仕掛けた罠の数々……

自分達が罠にかからないよう罠が発光して見えているが、もちろん自分達以外には何も見えていない。

アリの性質を利用した罠も多く設置してある。効くかどうかはわからないが。


 あとは城を四人で守り切るだけだが、このイベントはほぼ俺に懸かっていると言っても過言ではない。

なぜなら俺のレベルは38だが、ヨザクラは19、ライズは27、レイズは26だ。圧倒的に俺のレベルが高いので、俺が一番頑張らなくてはならない。しかもそのせいで蟻のレベルも上がってしまい、ヨザクラには荷が重いので実質三人で戦うことになってしまった。余計頑張らなければ……。


「いよいよですね! 私は役に立てないかもですけど……頑張ります」


「いいのいいの。……後で返してくれれば」


「レイズ……余計なことを」


「まぁまぁ、もう始まっちゃうぞ? 早く下に降りようぜ」


「そうだね」


 四人は下に降りる。時刻は19時になり、遂に蟻が攻め込んでくる。

時刻を表示していた部分が、残り時間を表示するようになる。残り71時間59分35秒。この間、城を守り続けなければならない。


「よし、じゃあ作戦通り行こうか」


「了解」


 城から出て、地平線を見る。そこに見えたのは、遠くから向かってくる巨大蟻の軍勢。その進む道には大量の罠が仕掛けられている。


「最初の罠……毒餌はどうだ?」


 アリの軍勢が向かうは最初の罠。毒入りの餌を置き、それを食べさせようという作戦だ。


「うーん、スルーしてるねぇ」


 リアルでも蟻退治によく使われる毒餌だが、効果は今一つ。

しかしそれもそうだ。今から戦闘するというのに飯を食べることがあるか?いや、な……くはないかもしれないが、アリ達はそうではなかったようだ。毒餌に見向きもせず、まっすぐこちらに向かってくる。


「じゃあ次。普通の殺虫剤はどうだ?」


 お次はシンプルな罠。踏んだら殺虫スプレーが噴射される。

戦闘のアリがそれを踏み、後続のアリがその餌食になる。だがしかし、体が大きいせいで効きが悪い。絶えず動いているので尚更だ。


「せめて止まってくれればな……全然効いてないぜ」


「うーん次。炎は効くだろ」


 これもシンプルなもので、踏むと罠が小規模の爆発とともに燃え上がる。

罠が次々に踏まれ爆発音が鳴り響いているが、硬い外骨格のせいで炎の熱が上手く伝わらず、爆発のダメージしか入っていない。が、それでも数十体のアリを倒すことが出来た。


「微妙だな、少しは倒せたようだが」


「はいはい次。炎が駄目なら熱湯はどうだ?」


 こちらは()()用の罠ではなく、()()用の罠だ。

設置して踏むとそこに温泉ができる。プレイヤーにとってはただの温泉作りアイテムなのだが、相手が虫となれば罠へと早変わりだ。

アリ達はどんどんと温泉に落ち、茹で上がってしまう。効果は抜群だったようで、既に数百体ものアリを倒すことに成功した。


「おぉ、すごいねぇ……温泉に入ってすぐに倒れるというか」


「結構お金かけたからな……この激熱温泉トラップ。通常のものより三十度は熱いぞ」


「熱すぎるだろ。最早人間用じゃ無いな」


「だろうな。多分この使い方を想定して作られてる」


 これを大量に設置するために何十万リテスが吹っ飛んだかは秘密だ。

ちなみに今までの罠の代金は全て俺が出している。痛い出費だ……。


「なぁ、この間も俺らが攻撃した方がポイント稼げるんじゃないか?」


「じゃあ罠の中で戦うのぉ?」


「そうじゃない。遠距離攻撃をしようぜって話だ」


 ライズの言っていることは最もで、今この間にも攻撃をして倒したほうがポイントを稼げる。

しかし……


「いやぁ、俺近接だしぃ?」


「あ、私も近接です」


「俺も近接だな」


「えーと、俺も近接カナ……」


「「んなわけねーだろ」」


 一人怪しいが、全員近接攻撃しか出来ないのだ。一人怪しいが。


「ライラックって魔法士だろ? 魔法士が遠距離攻撃じゃなくてどうすんだよ」


「いつの間にジョブ変えた?」


「いや……MPが少ないから温存……」


「??? 本当にジョブ魔法士なのか???」


 そう、蜻蛉切のお陰で消費MPは気にしなくていいので実はそこまでMPを上げていない。

本来の魔法士はAGIもATKも上げる必要がないのでもっとMPがあるものなのだ。

それに上級魔導書に入れた魔法も消費MPが多いものばかり……これも同じ理由。消費MPを気にしなくていいからだ。

ちなみに魔導書は良質なものほど使える(入れられる)魔法の数が増える。上級魔導書は五つまでで、後一つ魔法を入れられるのだが、良いものが無かったので入れていない。


「訳あって近接魔法士なんだよね……」


「どんな訳があったらそうなるんだよ」


 ともかく、ここから遠距離攻撃をするのは不可能なので、こうやって罠の様子を見守るしか無いのだ。


「ま、いいや……お、ついに温泉ゾーンが突破され始めたぞ」


「じゃあいよいよだな……」


 アリを捕食する動物と言えば、何をイメージするだろうか?一匹はアリクイだろう。名前がそのまんまだからな。だが、もう一匹想像がつくだろう。地面にすり鉢状の穴を掘り、獲物を待ち構える、ウスバカゲロウの幼虫のこと。


 そう、アリジゴクだ。


 次の罠は蟻地獄。総額29万リテス、俺が最もお金をかけた罠だ。

昆虫豆知識コーナー


グンタイアリの働きアリは四種類に分類されます。

・メジャー:働きアリの隊列を監視する

・サブメジャー:捕らえた獲物を運搬する

・メディア:狩りの大部分を行う

・マイナー:何匹も集まって橋を作る


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