転移魔法は滅茶苦茶目立つ
土日なので二本投稿
「網?」
「これは私が預かったものではない。こいつが守っていたものだ」
そんな重要そうなもの貰ってしまって良いのだろうか。
「遠慮しないで受け取って欲しい。なぜなら……いや、今はいい」
「何かあるんですか?」
「少なくとも今は無い。そのうち知ることになるだろう」
「そうですか……」
突然の匂わせ発言……!!
やっぱりこのゲーム考察要素あるだろ。まったく、ゲームの中でまで考えさせないでほしいもんだ。
「では、『グラスホッパー』。選ぶ物は決まったかな」
グラパーが両手に持っていたのはグラパーの全身を覆う程の大盾。本格的に受けタンクにでもなるつもりだろうか。
「これがいいです」
「ほう、中々良い物を選んだじゃないか。持っていくと良い。きっと役に立つだろう」
「ありがとうございます」
「……行こうか」
来た道を戻り、家の外まで出る。外はもう夜で、満天の星空が広がっている。
このイベントも終盤。そろそろ俺も街に行きたいので源五郎さんとはここでお別れだ。
「君たちはこれからどうするんだい?」
「私はまず街に寄ります」
「え、あ僕は……取り敢えず探索?ですかね」
「そうか。ではどうか気を付けて。また何かあればここに来たって良いぞ」
「わかりました。ありがとうございます」
目の前に魔法陣が現れる。成る程、よく考えたら帰る方法がわからなかったが、恐らくこれに乗れば帰れるんだろう。…………どこに?
ええい乗ってみるしか帰る方法はないのだ。乗るしか無いだろう。
乗ってみればそこから光のエフェクトが出て、目の前が真っ白になる。視界が戻るとそこは……街だった。おお、源五郎さんの優しさか!?いきなり街に行けるとは……
「街じゃんここ、移動する手間が省けてラッキー」
「あのさ、喜んでるとこ悪いけど……ここトロピクスポットだぞ」
トロピクスポットだぁ?なんか聞いたことあるような……あ、そうだ街の名前だ。確か四番目の……
…………四番目??
「え、俺いきなり四番目の街に来ちゃったって事!?」
「最前線プレイヤーの仲間入りだよ?よかったじゃん」
最前線ともあって人が多い。しかも魔法陣で急に現れたのが原因か、さっきからめちゃくちゃ視線を感じるのだが……?
「なぁ、このゲームって転移魔法とかあんの?」
「今んとこ無い。これが多分初めて確認されたやつ」
「そんなん絶対掲示板にさらされるじゃんか」
「そうだろうね」
一難去ってまた一難とはこのことか……
老人が二人を見送った後。
「あ、ずっと待ってました。俺達はどうすればいいですか?」
「いやぁ、帰るにも実は帰り道もよく覚えてなくて……」
三人は帰る方法が無くただただ外で待機していた。
本当はマップという方向音痴救済アイテムがあるのだが、残念ながら初期装備では無いのでレベルが高いプレイヤーでも持ってないことが多かったりする。三人も例外では無く、三人の内誰も持っていなかったのだ。
「えぇ?ずっと待ってたの?」
確かに待っていろとは言ったが、夜になるまで待っていたとは。老人は目を丸くして驚く。
プレイヤーは現実であまり時間は経っていないが、この世界の住人であるNPCにはそこそこ長い時間であったのだ。
「「「はい」」」
「いやー待たせて悪かった。そうだ、せっかく付いてきたんだ。これをあげよう」
この老人が三人のことをすっかり忘れていた事を、三人は知る由もなかった。
しかしその事実は、本来なら何も貰わず帰るはずだった三人には良い方向に働いた。
そうして手渡されたのはペンダント。
「私が持っていてもただの骨董品だ。君たちが使ってくれ」
「「「ありがとうございます」」」
そして三人も同様に魔法陣で転送された。幸い、転送先は森だったようで人目にはつかなかった。
「おい、この貰ったアンツ・アンバー・ペンダントってやつ、結構すごいこと書いてあるぞ」
「ん?なになに?」
一人が先んじて効果を確認してそう言うと、他の二人も続いて確認する。
「えーと、効果は……装備者のLUC+1000!?」
「いや待て、冷静になるんだ。こんなぶっ壊れ補正が入るって事は……LUC全振りは淘汰されるシステムなんだと思う」
「どういうことですか?」
「つまりお前が言いたいのは、LUCに1000も補正が付くってことは、LUCがいくら高くてもゲーム性が崩壊することはない、ということを表してるって事だろ?」
「その通りだ」
「なるほど……どうりでよくいるLUC極振りプレイヤーが居ないんですね」
「最近はどのゲーム会社も、極振りプレイヤーがゲームを壊さないようバランス調整に躍起になっているいるらしいぜ。一体誰のせいなんだか」
「ははは、メタいこと言うなよ」
三人は知る由もない。このペンダントが後に悲劇を生み出すことを……
昆虫……?豆知識コーナー
琥珀とは大昔の樹液が化石化したもので、くすんだ赤みがかった黄色をしています。
そんな琥珀ですが、樹液に取り込まれた虫がそのまま一緒に化石化してしまうことがあります。そうして出来たものを虫入り琥珀と言います。中に入る昆虫は様々ですが、それらには蟻も含まれています。
また、琥珀には帯電性があり、幸運の象徴とされているそうです。
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