閻魔の道標 その5
少し修正。
ついに……ついに虫採りができる……!!
「許す」
「ぐぬぬ……手強かった」
「いや何してんの」
結局このイベントでの報酬を二人で分け合う、ということ事で許してもらった。もともとレベルが上がったのも、あそこまで善戦したのもグラパーのおかげだしこれで妥当だろう。
「で誰なのこの人達は」
「控えめに言うとストーカー」
「控えめじゃなくない!?」
「じゃあ普通に言うと?」
「ハイエナ、あるいは金魚のフン」
「別にアイテムを狙ってるわけじゃないんですけど……」
「まぁでも、このイベントに関わりたくて付いて行ってるのは確かだな」
「素直だな……どっかのグラパーとは大違いだ」
「お?許さんよ?」
「悪かった、許して」
「許す」
雑談で盛り上がる(?)中、ハンミョウが不意に歩みを止める。目的地に着いたということだろう。
そこは小高い山で、その中腹には一件の家があった。斑猫は家をじっと見つめては、前足で家の扉をノックする。
ガチャ、と扉の鍵が開く音がする。そして開いていく扉の奥に見えたのは……
斑猫を連れた一人の老人だった。
「おお……今回は沢山連れたきたじゃないか……」
ハンミョウが少し首を振るような動きをして、それから右の前足でライラック達をライラックとグラパーの二人と、ヨザクラとライズとレイズの三人に強引に分ける。
後ろの三人は付いてきただけだから違うということか。じゃあ何故グラパーは除外されなかったのか?いやそうか、あのハンミョウが全力じゃなかったということは、俺達を試していたんだろう。グラパーが吹っ飛ばされたのも、あれで耐えられるか試されていた、ということなのかもしれない。
「成程、後ろの子達は付き添いかな?」
「えーと……違います」
「まぁそれはよい。『ライラック』と『グラスホッパー』。中に入りなさい」
「俺達はどうすれば……」
「そこで待っておれ」
そうしてライラックとグラパーは家の中へ案内される。外側は古びていたが中は綺麗だった。
「そういえば、貴方の名前をお伺いしても?」
「自己紹介が遅れたな。私は源五郎。しがない老人だよ」
どう見ても何かある老人ではあるのだが……この際口に出すのは止めておこう。
「ここに私の隠し部屋がある」
ローブを着た老人の目の前には本棚が二つ並んでいた。
「教えて貰っていいんですか?」
「構わない。なにせ君たちは認められたんだからね」
斑猫がニャー、と鳴くと並んでいた本棚が左右に別れ、新たな本棚が現れる。
老人は中段の左から四番目の赤い本を取り出すと本棚が右にずれて道が現れる。
そうして道を進んで行くと、鉄の扉が現れた。老人は金色の栞をどこからか取り出し、赤い本の真ん中あたりに入れる。そしてそれを鉄の扉にあった枠に入れる。すると扉が開いた。
「これ何ページ目に入れないとみたいなのもあります?」
「もちろん」
今更だがNPCのAIもすごいもんだ。会話に違和感がない。
「うわぁ、セキュリティガッチガチですね」
「はははそうだろう、勝手に入られては困るからな」
扉の奥に進むとそこは部屋だった。部屋は様々な武器、防具、兵器等で埋め尽くされており、それらはどれも禍々しい見た目をしていた。
「これはかつての戦争で使われたものだ。しかしこれらは強力なあまり凡人では使えん」
そんなものが何故ここに?
「そんなものが何故ここにあるか知りたいだろう……話すと長くなるが、構わんね?」
最近のAIは他人の心まで読むのか……
「はい」
長かったので要約するとこのおじいさ……源五郎さんはかつて戦争が行われていた頃、海戦最強の男と呼ばれていたらしい。それで終戦後、行き場のない兵器や武器を預かったんだとか。
虫が巨大化した後、彼は一人でオオエンマハンミョウに立ち向かった。そこで俺達と同じように認められてからは、ここでハンミョウが強者を連れてくるのを待っているらしい。
「『グラスホッパー』。好きなものを一つ選ぶと良い」
「いいんですか?ありがとうございます」
「ここにあるのは捨てることも叶わなかった物だ、使い手がいるならそいつも本望ってもんよ」
「『ライラック』。君には……これを貰ってほしい」
グラパーがこっちを見て笑みを浮かべている。選べないのが不憫だとでも言うのか。貰ってほしいと言うんだからそれはもう大層なものに違いない……いや、決して目の前にある凄そうな杖が欲しいわけじゃない……ないんだ……!
老人は部屋の中央にあった箱を持ってきてはそれを開ける。
「君のそれはまだ偽槍だが……いつか真の蜻蛉切になることを願う」
箱の中身を取り出し、手渡す。
それは昆虫採取に必要不可欠なアイテム。
虫取り網であった。
地上最速:ハンミョウ
水中最速:ゲンゴロウ
空中最速:?????
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