閻魔の道標 その4
────ガサガサッ
「なーんか後ろから物音がする気が……」
────ガサガサガサッ!
「下手くそか!バレバレだっつーの!」
ライラックは巨大ハンミョウに付いて行っている道中、後ろから気配を感じた。耳を済ましてみれば、明らかに物音がする。何か付いてきていると確信した彼は、音の方に杖を向けてこう言う。
「出てきてくださーい」
「はーい」
「いや出てくるんかい」
薄々プレイヤーなんじゃないかと思っていたが、本当にプレイヤーだったとは。
理由は……特殊イベントを求めて付けて来たといったところか。
だが出会ったのも何かの縁だ。ハンミョウを道標に歩きつつ何か話したりしようか?
「あのー。このまま付いて行っていいですか?」
「あー全然いいですよ、こいつが許すなら……」
そう、俺が良くてもこのハンミョウが嫌がる可能性があるのだ。
俺的には別に付いて来られても特に関係ない……と思うのだが。
しかし今のところ平気そうなので大丈夫なのだろう。
「なぁなぁ、こいつって何の虫なんだ?あ、あとタメでいいぞ。ゲーム内だし」
ああそうか。このゲーム虫ばっかりだから虫が好きな人しかやらないものだと思っていたが、普通にそこそこ人気があるんだったか。じゃあ詳しい人の方が少数派なのかもな。
「あれは恐らくオオエンマハンミョウで……だな」
「くっ…」
一人が笑いを堪えようとして少し漏れた。ちょっと敬語が混じっちゃっただけなのにツボ浅すぎない?
「そういや名前は?」
「ヨザクラです」
「ライズだ、よろしく」
「レイズでーす、よろしく」
「あ、俺はライラック。よろしく」
「よろしくねぇ」
レイズがニヤリ、と悪い笑みを浮かべたような気がするが気のせいだろうか……
うん、気のせいだな。
「質問いいですか?」
「いいよ。というかヨザクラは敬語なのね」
「まぁ、はい。それで、あの槍……って何かのスキルなんですか?」
「うーん、あれって気軽に言っていいやつなのか……?」
「あ、では教えて貰えたらこちらもお教えします」
お教えします、か。つまりヨザクラも何かしら情報を持っているということだな。
「じゃあ教えてもいいか……あれは【偽装展開:蜻蛉切】っていうスキルなんだけど」
「やっぱり」
「やっぱり??」
「えっと実は……本物の蜻蛉切を見つけたんですよ」
「でも取得条件が難しいので中々入手できなくて……」
「あーね、抜けない聖剣的なやつね」
「そうなんです。ライラックさんのはどうやって入手したんですか?」
どうやってと言われても幼虫串刺しにしてただけなんだけど……
「うーん、自分でもよくわからないかな」
「ふーん?四人で何を話してるのかなぁ!?」
「「「「!?」」」」
そこにはリスポーンしたはずのグラパーが。お前、生きてたのか……!?
「え、誰?」
「さっき派手に吹っ飛ばされてた人ですよ」
「あーあれか、よく生きてたな」
「決して死んだと思って置いていったわけじゃ」
「死んだことにして置いていっただろ、許さん」
いや、随分上に飛ばされてたし流石にリスポーンしてるものだと思ってたんだよ……
「……前みたいに許して?」
「そもそも半分以上戦ったのは僕だぞ、許さん」
くっ、許さんマシーンになったコイツは止められないぞ……。
「ほら、後で何かあげるから……」
「物で釣るとは外道な、許さん」
「じゃあ……」
「いや、許さん」
面倒なことになった。
ヨザクラ「よく戻って来れましたね」
ライズ「可哀想に」
レイズ「別に悪くなくね」
グラパー「こいつら誰だよ」
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